
【日立製作所・Sler】ChatGPT就活ガイド|インターン未経験者向けの企業研究&選考対策
本レポートは、ChatGPT-Proの「Deep Research」機能を活用し、「日立製作所」の企業情報を徹底的に調査・分析したものです。公式IR資料、決算報告書、業界レポート、競合比較データ、選考体験談など、多角的な情報を統合し、インターン未参加の就活生でも企業理解を深められる内容になっています。
こんな方におすすめ!
✅ 日立製作所の事業や強み・弱み、競合企業との違いを知りたい
✅ エントリーシート・面接の対策を万全にしたい
✅ Webで調べても情報がまとまっていなくて困っている
この記事では「事業・競合分析」「中期経営計画のポイント」「面接・Webテスト・GDの具体的な対策」まで、就活で本当に役立つ情報を網羅しています。
企業概要・基本情報
創業・沿革:
日立製作所は1910年に小平浪平(おだいら なみへい)氏によって創業されました
もともとは鉱山の電気修理工場からスタートし、5馬力のモーター製造に成功したことが契機となり、電機メーカーとして発展しました。その後、家電、電力システム、情報通信など多角的に事業を拡大し、第二次世界大戦後の復興期や高度成長期において日本を代表する総合電機メーカーとなりました。2008年度には大型の赤字を計上しましたが、これを機に経営改革を断行し、「社会イノベーション事業」というコンセプトのもとIT(情報技術)とOT(制御・運用技術)を融合した事業領域へとシフトしました
近年は事業ポートフォリオの再編を進めており、2020年代に入ってからは日立金属・日立建機・日立物流などの子会社株式を売却し事業構造を転換する一方、米グローバルロジック社の買収(2021年)やABB社から電力網事業を買収して完全子会社化(現在の日立エナジー、2022年)するといった大型M&Aも実施しています
これらにより、現在の日立グループは「デジタルシステム&サービス(IT分野)」「グリーンエナジー&モビリティ(エネルギー・交通分野)」「コネクティブインダストリーズ(産業・社会インフラ分野)」の3つのセクターを中核事業に据えています
2023年10月には自動車部品子会社の日立Astemoの株式を一部譲渡して連結から外し、自動車分野を切り離すなど、選択と集中を進めています
主要製品・サービス:
日立は重電からデジタルまで幅広い事業を展開しています。現在の主力は先述の3セクターで、それぞれ提供する製品・サービスが異なります
特に「デジタルシステム&サービス」セグメントでは、システムインテグレーション(SI)やコンサルティング、クラウドサービスといったITソリューション事業を中心に、ストレージ・サーバなどのITプロダクツ製品、金融機関向けATM機などのハードウェア、ならびに基幹系ソフトウェアなどを手掛けています
また、「グリーンエナジー&モビリティ」では発電用変電設備、再生可能エネルギー関連システム、鉄道車両・信号システムなど社会インフラ関連の製品・エンジニアリングサービスを展開しています
「コネクティブインダストリーズ」ではエレベーター・エスカレーター等のビルシステム、住宅家電・空調のライフソリューション、半導体製造装置や医療分析装置等の高機能製品、工場向け設備機器・産業ソリューションなど多岐にわたります
このようにB2B事業が中心ですが、日立グループとして家電やITサービスを通じて一般消費者とも接点を持っています。
企業理念・ビジョン:
日立の企業理念は「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」です
現在はこれを発展させ、「社会イノベーション事業によってデータとテクノロジーで持続可能な社会を実現し、人々の幸福に貢献する」ことを掲げています
コーポレートステートメントは「Inspire the Next(未来を切り拓け)」であり、常に未来志向で革新に挑戦する姿勢を示しています。経営陣は執行役社長兼CEOの小島啓二氏をトップに、社内カンパニー制の各セクター長やCFO等が執行役員として経営を担う体制です。社外取締役も複数迎え、コーポレートガバナンスの強化にも取り組んでいます。また近年はジョブ型人財マネジメントを導入し、人材の専門性と自主性を重視した組織づくりを進めています
直近の財務情報:
日立製作所(連結)の2023年度(2023年4月~2024年3月)業績は、売上収益9兆7,287億円(前年比10.6%減)、調整後営業利益7,558億円(同1.0%増)、税引前利益8,258億円(同0.7%増)、当期純利益5,898億円(同9.1%減)となり、減収増益を記録しました
売上減少は、一部事業の売却・非連結化(例: 日立金属や日立Astemo)によるものですが、主要3セクター合計では売上が前年より+12%の8兆5,643億円と好調に伸びており、日立全体の収益基盤はむしろ強化されています。また売上総額に占めるデジタル関連のLumada事業収益は2兆3,340億円(前年比+19%)に達し、全社売上の約27%を占めています
営業利益面でもLumada事業の利益率は約15%と高く、全社利益の39%を稼ぐまでになっています
一方、連結従業員数は約26万8千人(2024年3月末時点)で、前年度から約5.4万人減少しました
これは前述の日立Astemoが連結から外れた影響によるもので、現在の人員体制は事業構造変化を反映した適正規模になっています。SIer事業(デジタルシステム&サービス)部門の売上はこの年2兆5,986億円に達し、全社売上の約26%を占めています。また同部門の従業員数は約10万6千人と、グループ人員の4割弱を占める最大セグメントです
直近の企業動向:
M&A面では、グローバルロジック社買収(北米のソフトウェア開発会社)によりデジタル人材とグローバル開発拠点を獲得したことが特筆されます。これによりLumada事業におけるデジタルエンジニアリング売上が拡大し、2024年3月期にはグローバルロジックの売上が約2,820億円に達する計画です
また、日立エナジー(旧ABBパワーグリッド事業)は再生エネ需要の追い風で売上高1兆円規模に成長しています
一方、事業再編も最終段階に入り、2022~2023年にかけて日立金属・日立建機・日立物流・日立Astemoといった主要子会社を相次いで売却または資本関係変更しました
これらにより得た資金を成長分野に再投資しつつ、グループの重複事業を整理しています。戦略提携では、生成AI(Generative AI)の社会実装に向けて2024年6月に米マイクロソフト社との包括的提携を発表しました
今後3年間で数十億ドル規模の協業投資を行い、Azure OpenAIサービスやMicrosoft 365のCopilot機能等を自社Lumadaソリューションに組み込んでいく計画です
また、米NVIDIA社とも協業し、自社のLumadaソリューション群とNVIDIAのAI基盤を統合して新たなAIソリューション創出や、NVIDIAのGPU技術と日立ヴァンタラ社のストレージを組み合わせたAIインフラ製品の提供を進めています
新規事業の創出面では、Lumada事業を2016年に立ち上げて以降、顧客との協創によるDXソリューション提供に注力しており、製造現場の予兆保全や金融・公共分野のデジタルサービスなど多数のユースケースを開発しています
リストラ面では、汎用家電事業の再編(白物家電はジョンソンControlsとの合弁会社に移管)や、国内外拠点の統廃合、希望退職の募集(過去の経営不振時)等を適時実施し、現在は固定費構造の改善も進んでいます。
競争優位性:
日立の強みは何と言っても事業領域の広さとOT×ITの融合力にあります。鉄道や発電プラント、エレベーターなどの社会インフラや産業機器といったリアル(物理)領域の技術・実績と、AI・クラウド・データ分析等のデジタル技術の双方を社内に有し、それらを組み合わせて顧客の課題解決につなげられる点は他社にない特徴です
実際、「OT(Operational Technology:制御・運用技術)とITとプロダクトを併せ持ち、デジタル技術で課題解決できる」ことが日立の提供価値であると有価証券報告書にも明記されています
また、100年以上の歴史で培った高品質・高信頼性のブランドイメージ、国内外の官公庁や大企業との長年のリレーション(信頼関係)、グループ内の豊富な人財リソース(多様な専門分野の技術者約28万人)も競争優位の源泉です
さらに近年成長中のLumada事業は単なるSIではなく、成功事例を汎用ソリューション化して横展開するモデルを採用しており、プラットフォームビジネス的なスケーラビリティを持つ点でも付加価値が高いと言えます
総合力と信頼性を武器に、「社会課題を解決するイノベーション企業」として国内外で独自のポジションを築いているのが日立の企業像です。
競合比較
国内競合(売上・事業領域・強み弱み):
日立のSI事業の国内主要競合としては、富士通、NTTデータ、NECといった総合ITベンダーが挙げられます。市場シェア的には、国内ITサービス売上高ランキングで富士通(1位)、NTTデータ(2位)に次ぎ、日立製作所とNECが僅差で3位・4位を争っています
IDCの調査によれば2023年はNECが前年比+12.1%と成長して日立を僅差で抜き3位となりましたが、売上差はわずか1億円程度という接戦でした
以下、IBMジャパン(5位)、アクセンチュア(6位)が続いています
各社の特徴を見ると、富士通は従業員数・国内売上ともに最大規模で、ハードウェア(サーバ・スーパーコンピュータ等)も内製する点で日立と似ていますが、直近はDXサービス企業への転換を掲げ、ハード事業の整理も進めています。強みは官公庁や金融業の基幹システムに強固な地盤を持つことですが、大規模案件の採算悪化で苦戦した例もあり、事業構造改革中です。NTTデータはNTTグループのシステム子会社から成長した独立系SIで、銀行の勘定系システムや自治体向けなど超大規模案件の実績が豊富です。電力・通信などインフラ系よりも、金融・公共・法人向けITに特化しており、海外では北米やインドにも積極展開しています。強みはNTTグループ案件による安定した収益基盤と、専門特化によるノウハウ蓄積です。一方で製造業や社会インフラ分野は弱く、日立のようなOT領域は持ちません。NEC(日本電気)はかつての通信機メーカーから、現在は公共・エンタープライズ向けITサービスが中核となっています。マイナンバー制度や防衛・宇宙関連システムなど政府案件に特に強みがあり、顔認証などデジタル技術も持ち合わせます。弱みとしてはグローバル展開が限定的で国内依存が強い点が挙げられます。IBMジャパンは外資系ですが国内市場で存在感が大きく、メインフレームからコンサルまで幅広く手掛けています。近年はクラウド(ハイブリッドクラウド)やAI「Watson」の提案に注力しています。アクセンチュアも外資系ながら日本法人が急成長しており、業種横断のDXコンサルとシステム開発力で攻勢を強めています
これら競合に対し、日立の強みは、製造業や社会インフラのドメイン知見を有する点です。他社は純粋なITサービス企業であるのに対し、日立は鉄道や発電、ヘルスケア等、グループ内に事業部門があり、OT領域の知見を活かした提案が可能です
例えば、カーボンニュートラル対応では、発電所や工場の実情を理解した上でエネルギー管理のDXを提案できるなど、現場感のあるコンサルティングが強みです。一方、弱みとしては、組織が巨大で意思決定に時間がかかる点や、事業ポートフォリオが広いため、経営資源配分が分散しがちな点があります。富士通やNECが近年、ビジネス領域を絞り込んでいるのに対し、日立はまだ多角的であるため、焦点の定め方が経営課題となりえます。
海外競合とのポジショニング:
グローバルに見た場合、ITサービス企業のトップはアクセンチュア(売上約4兆円規模)やIBM(テクノロジーサービス部門)、タタ・コンサルタンシー・サービス(TCS)、インフォシスなどのインド系、さらにDXコンサル系(デロイト、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)等)が凌ぎを削っています。日立のSI事業規模(DSSの約2.6兆円)は世界でもトップ10前後には入りますが、上位とは差があります。もっとも日立の場合、単純比較が難しいのは、自社にハードウェア製品売上が含まれる点です。ITサービス専業ではないため、売上規模=サービス提供力とは一概に言えません。ポジショニングとして日立が目指すのは、「ITサービス企業」であると同時に、「社会インフラを理解したデジタルソリューション企業」という立ち位置です。他のグローバルSI大手が金融・製造業等クライアント企業の業務効率化に注力するのに対し、日立は社会課題の解決やサステナビリティに直結する領域で強みを発揮しようとしています。この点で、GEやシーメンスといった電機・インフラ企業のデジタル部門がある種の競合とも言えます。例えば、シーメンスは産業機器とIoTプラットフォーム「MindSphere」で製造業DXに注力していますし、GEもかつて「Predix」というIoT基盤を展開していました。日立のLumada事業も同様に、自社プロダクト+デジタルのソリューション提供という点で、単なるIT企業とは異なる領域を開拓しています。海外市場では、鉄道システムでアルストムやシーメンスと競合しつつ、そこで得た知見を活かして運行管理のIT化提案をする、といった複合的な競争環境があります。
差別化戦略:
そうした中、日立のSI事業が取るべき戦略は、自社のコアコンピタンスである「OTとITのクロスオーバー」を前面に打ち出すことです。他社が真似できない社会イノベーション領域(エネルギーの効率化、防災・減災ソリューション、スマートシティ、ヘルスケアIT等)に経営資源を重点投入し、そこでの成功モデルをグローバルに横展開する方針を掲げています
実際、中期計画でも「Digital(デジタル)」「Green(グリーン)」「Innovation(イノベーション)」を成長の柱としており、単なるITベンダーではなく、DX+グリーンの複合提案で差別化しようとしています
また、日立は協創(Co-creation)活動を積極推進しており、顧客やパートナーと一緒に課題解決策を創り上げるスタイルを取ります。東京丸の内に「Lumada Innovation Hub Tokyo」を開設し、グローバルロジックのデザイナーやデータサイエンティストと顧客現場の専門家がワークショップ形式でソリューションを創出する場を設けるなど、従来のSIとは一線を画すアプローチです。
こうした活動も他社との差別化ポイントと言えます。さらに、マイクロソフトやNVIDIAとの戦略提携によって先端技術を積極的に取り込み、オープンなエコシステムの中心プレイヤーとなることも志向しています。総じて、日立は国内外の競争環境において、自社の複合的な強みを活かしたニッチトップ戦略と協創型の付加価値提供によって差別化を図っています。
中期経営計画・戦略
2023~2025年度の中期経営計画概要:
日立は2022年4月に「2024中期経営計画」を策定し、2024年度(2025年3月期)までの3年間を対象とした経営目標を掲げています
同計画の基本方針は「データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現し、人々の幸福に貢献する」ことであり、そのための成長の柱に「デジタル」「グリーン」「イノベーション」の3つを据えています
グループ全体でOne Hitachiとしてグローバルな成長を目指し、これら3分野で社会価値と経済価値を両立させるシナリオです。主要KPI(業績目標)としては、売上収益の年平均成長率5~7%(2021年度~2024年度CAGR)、Adjusted EBITA率12%(2024年度)、EPS(1株当たり利益)600円(2024年度)、コア・フリーキャッシュフロー累計1.2兆円(3年間)、ROIC10% 等が掲げられています
実際、2023年度時点で売上CAGRは概ね目標レンジ内、EBITA率は10.1%と目標12%に近づきつつあり、多くのKPIは達成見込みとされています
また非財務目標としてデジタル人財の育成目標9.7万人(2024年度)や、サステナビリティ目標としてバリューチェーン全体のカーボンニュートラル2050年までに達成なども設定されています
要は、「グローバルに成長しつつ高収益体質に転換すること」と「環境・社会課題に対する責任を果たすこと」の両面を中計で追求している形です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略:
中期計画におけるデジタル分野の施策として、引き続きLumada事業の拡大が最重要テーマです。2024年度にLumada事業売上高2.65兆円を計画しており、これは2021年度実績(約1.96兆円)から大幅な増加となります。そのために、(1) Lumadaソリューションのラインナップ拡充、(2) Lumadaを支えるクラウドプラットフォーム強化、(3) 国内外でのLumada協創拠点の展開を進めています。特に生成AI(Generative AI)の活用はDX加速の鍵として、2023年5月に社内横断組織「Generative AIセンター」を設置し、生成AIの活用指針策定やユースケース創出を進めています
さらに、マイクロソフトとの協業により、Azure Open AIやGitHub Copilot等の先端サービスをLumadaに組み込み、生成AI×Lumadaで新たなデジタルソリューション提供を目指しています
この協業では今後3年間で数十億ドル規模の投資を想定し、社内27万人の業務効率化にも生成AIをフル活用する計画です
また、各セクターにChief AI Transformation Officer(CAIO)を配置し、生成AIを含むAI活用を事業横断で推進する体制も整えました
日立はDX人財育成にも力を入れており、マイクロソフトの研修プログラムを活用して5万人以上の生成AI人材(GenAIプロフェッショナル)を育成する計画です
クラウド分野では、Lumada Solution Hubという自社クラウド基盤上で様々なソリューションを部品化・再利用しやすくする取り組みを推進しています。これにより開発のスピードアップとコスト効率化を図り、顧客ごとのカスタマイズを迅速に実現できるようにしています。DX戦略全体として、Lumadaを核に「データ駆動型経営への転換」を自社と顧客の双方で進め、デジタル時代のサービス企業へ変貌することが狙いです。
グローバル展開:
中期計画ではグローバル売上比率の向上も大きなテーマです。北米・欧州・アジアでのLumada事業拡大に向け、現地法人や拠点の強化、M&Aも検討されています。実際、グローバルロジック買収は北米・インドの拠点拡充に寄与しましたし、鉄道分野では2021年にフランスのタレス社の鉄道信号事業を買収(2023年に統合完了)するなど欧州でのプレゼンスを高めました
中南米や東南アジアでも、日立エナジーや日立建機(現地パートナーと協業継続)など既存ネットワークを活かしてITソリューション提案を強化しています。2023年度の海外受注も順調で、グローバル全体のLumada案件が増加傾向です。日立は2030年に向けて「グローバルトップ5のソリューションプロバイダー」になるビジョンを掲げ、欧米を中心に現地顧客との協創拠点設置や現地人材採用を進めています。海外展開では各地域の商習慣や競合環境に対応する必要があり、グローバルロジックや日立エナジーといった現地色の強い子会社の経営自立性を尊重しつつ、全体でシナジーを生む体制を整えることが求められます。中期計画ではそのバランスを取りながら、北米・欧州でのLumada売上倍増を目指しています。
サステナビリティ施策:
日立は「グリーン」を成長の柱に据えるように、環境・社会面での戦略も中期計画の重要事項です。日立は自社のカーボンニュートラル達成目標を掲げ(自社事業所は2030年度まで、バリューチェーン全体では2050年までにCO2ネットゼロ)、事業運営でも再生エネ電力調達や製品の省エネ設計を推進しています。同時に、エネルギーの安定供給と脱炭素に貢献する事業を加速しています。例えば、パワーグリッド(送配電)の高効率化ソリューション、蓄電システム、鉄道の回生ブレーキ電力活用などです。グリーンエナジー&モビリティセクターがその中核で、HVDC(高圧直流送電)案件など大型受注も増えています。社会インフラの電化・デジタル化という流れに沿って、電気自動車向け充電インフラや水素エネルギー関連制御システム等、新規領域にも参入しています。サステナビリティレポートにおいてはSDGsへの貢献を明示し、気候変動対応、循環経済の促進、人権・多様性の尊重などESG課題に取り組んでいます。特に人的資本では女性管理職比率の向上やグローバル人財育成など目標を設定し進捗管理しています。DXとグリーンを掛け合わせ、「環境配慮×デジタル」のソリューション開発も増えています(例:ビルエネルギー管理のAI最適化、サプライチェーンのCO2見える化サービス等)。中期計画ではこれらを通じ、「環境価値」「社会価値」「経済価値」の三価値向上を経営目標としています。
今後の成長戦略と投資領域:
2025年以降を見据え、日立はさらに選択と集中を進めるとみられます。注力する投資領域は、(1) デジタルソリューション(Lumada強化、AI・クラウド・セキュリティ)、(2) グリーン技術(電力インフラ、モビリティ、環境ソリューション)、(3) グローバル市場展開のためのM&A・提携です。実際、中期計画で公表した研究開発費は3年間で1兆1,000億円と前中計比+2,000億円増額しており、その多くがデジタル・グリーン分野に振り向けられています
例えば、量子コンピューティングや次世代半導体設計支援など将来技術の研究も継続中です。加えて、事業構造面では製造子会社の再編をさらに進め、よりソリューション事業に経営資源を振る計画も囁かれています。コネクティブインダストリーズセクターでは一部上場子会社(例:日立建機、日立金属※売却済、日立ハイテクなど)の扱いも検討課題で、必要に応じて追加の資本戦略が取られる可能性もあります。加えて、ソフトウェア分野で不足する領域があれば中堅企業のM&Aも検討されるでしょう。地域別には、北米でデジタル人材の拡充、アジア新興国で社会インフラ需要の取り込みを狙っています。例えば、インドでは鉄道やIT人材育成、日本企業の現地DX支援などで政府・企業と協力関係を築いています。また、リスク管理として、グローバルサプライチェーンの強靭化(地政学リスクへの対応)やサイバー防御強化への投資も惜しまない方針です。今後とも成長分野に大胆な投資を行い、「選択した事業では世界トップクラス」を目指すのが日立の成長戦略といえます。
リスク要因:
日立が直面する主なリスク要因としては以下が挙げられます。
(1) 市場環境の変化: 世界経済の減速や景気変動により設備投資需要が冷え込むリスク。特に社会インフラ案件は景気後退時に延期される可能性があります。また、地政学リスク(紛争・緊張の高まり)がプロジェクト遅延やサプライチェーン寸断を招く懸念もあります。
(2) 競合激化と価格圧力: ITサービス市場は競争が激しく、価格引き下げ圧力や人材流出のリスクがあります。新興企業の台頭や異業種からの参入も脅威です。
(3) 技術トレンドへの遅れ: DXやAIの潮流に乗り遅れ、自社のレガシーシステムが技術的負債となるリスク。クラウドやAI分野での技術革新が早い中、継続的な研究開発と人材スキルアップが不可欠です。
(4) 法規制・コンプライアンス: プライバシー保護法制やAI規制、輸出管理規制などの法制度変更が事業モデルに影響を与える可能性があります。
(5) 大型案件の失敗リスク: 超大規模案件では納期遅延、コスト超過、品質不良などのリスクが伴い、信用失墜に直結する可能性があります。
(6) 財務面: 自己資本比率は高いものの、M&Aに伴うのれん償却負担や為替変動、年金債務など長期的な財務リスクも存在します。日立はこれらのリスクに対してリスク管理委員会の設置や事業ポートフォリオの分散を通じて対応しています。
採用情報・就活対策
SIer事業における採用方針・求める人材像:
日立製作所およびグループ各社では、新卒採用においてジョブ型採用の考え方を取り入れています。技術系職種では、応募時に希望分野をある程度絞り込み、「ジョブマッチング」と呼ばれる面談を通じ、学生の専門性・適性と配属候補部署のニーズをすり合わせるプロセスを重視しています。事務系職種(文系総合職)でも、学生一人ひとりの志向に合った事業部門への配属を実現するため、最終面接で希望確認が行われます。そのため、日立では「自分のキャリアは自分で切り拓く」という姿勢を持った人材を求めています。具体的な求める人材要件として、2021年の採用方針で提示された「3つのアビリティ」―
・専門性(自らの専門分野で卓越する力)
・リベラルアーツ(幅広い教養と好奇心)
・ダイバーシティ(多様性を尊重し、多角的に考える力)―があり、これに加えて、社会貢献マインドや課題発見・解決力も重視されます。SIer事業では、技術系ならICTへの高い興味とスキル(AI、クラウド、セキュリティなどの知見)、事務系でもITリテラシーやプロジェクトマネジメント能力が求められます。大規模プロジェクトはチームで進めるため、コミュニケーション力やチームワーク、自ら困難に粘り強く挑むチャレンジ精神も評価されます。「前例より、挑戦を選ぶ人」「会社を超えて社会を想う人」といったメッセージが新卒採用サイトでも掲げられており、変化を恐れず社会的使命感を持つ人物像が期待されています。
選考フロー:
日立製作所(本体)の新卒採用選考は、エントリーシート(ES)提出・Webテストから始まり、その後、グループディスカッション(GD)、面接(複数回)へと進みます。技術系の場合、書類選考後にジョブマッチング面談が設定され、志望分野の現場社員と専門的な話をする機会があります。事務系の場合、一次選考として5~6名程度の学生でGDを実施し、ディスカッションやプレゼンの内容、協働性が評価されます。GDのお題は、環境保護や高齢化社会への対策など社会課題に関するテーマが出されることもあります。GD通過後、一次面接(人事・現場による面接)、最終面接という流れです。最終面接では、「プレゼン選考」と称し、通常の役員面接に加えてプレゼンテーションが課されます。プレゼンでは、自身の強みや入社後にやりたいことを資料または口頭で発表し、質疑応答が行われます。このプレゼン選考の目的は、学生の志向や適性が希望職種とマッチしているかを見極めるためです。なお、技術系も事務系も基本的には選考フローに大差はありませんが、技術系は専門内容に踏み込んだ質問が多く、事務系はより人物重視の質問が中心になる傾向です。各選考プロセスでは、面接官は論理的な受け答えと熱意、柔軟性を評価します。
企業研究・志望動機作成のポイント:
日立のような巨大企業を志望する場合、企業研究の深さが志望動機の説得力に直結します。最新の有価証券報告書や統合報告書に目を通し、日立が現在注力している社会イノベーション事業やデジタル戦略について把握しましょう。例えば、Lumada事業の内容やその強み、2030年に向けたビジョンなどを理解した上で、「なぜ日立なのか」を明確に述べる必要があります。志望動機には、日立ならではのOTとITの融合による社会課題解決への強みや、協創型ソリューションへの魅力を具体的に語ると効果的です。自己PRでは、学生時代の経験をSTAR法に基づいて整理し、困難な状況をどのように乗り越えたかを具体例とともに述べると良いでしょう。面接では、結論ファーストで簡潔に話し、具体的なエピソードで裏付けるとともに、自分の強みや将来のビジョンを明確に伝えることが重要です。
過去の面接質問例と回答のコツ:
希望する部門に配属されなかった場合の対応
→「どの部署でも日立全体のビジョンに共感しているため、与えられた環境で最大限の成果を出す努力をします。」
自分のやりたいことに関われない部署への配属の可能性
→「自らの専門性を活かしつつ、他部署でも社会課題解決に貢献できると考え、柔軟に対応する覚悟があります。」
なぜ数あるメーカーの中で日立を志望するのか
→「御社はITとインフラの両面から社会を支えており、自分も工学を学んだ強みを活かして幅広いフィールドで社会貢献できると考えたためです。」
学生時代に最も力を入れたこととその学び
→STAR法を用いて具体的な状況、課題、行動、結果を説明し、そこで得た学びと自分の成長を強調します。
チームで困難な問題に直面したときの対応
→「チーム内で意見を集約し、役割分担を明確にして問題解決に取り組み、プロジェクトを期限内に成功裏に完了させました。」
入社後に期待する成長・キャリア
→「御社のDX事業に関わり、Lumada事業を通じたデジタルソリューションの開発に貢献しながら、専門スキルをさらに磨き、将来的にはプロジェクトリーダーとして社会課題解決に寄与したいと考えています。」
面接では、結論ファーストで簡潔に話し、具体的なエピソードで裏付け、自分の強みや将来のビジョンを明確に伝えることが重要です。