タクシードライバーにライドシェアについて聞かれた話。

沖縄の交通事情&タクシー業界の現状と課題:ライドシェアは救世主となる?

はじめに

なぜこのようなnoteを記載することになったのかということから説明します。実は親族にタクシードライバーをしている方がいてライドシェアについて聞かれたので、その方に向けた記事です。よって一人の読者に向けた記事であることが前提ですw(なので記事のクオリティは担保出来ません)

余談はここまでで早速の本題にいきます。

2024年は、東京のみならず地方でもライドシェア導入の動きが加速し、大きなインパクトをもたらしました。生まれ育った沖縄でもnewmoが進出するなど、個人的に注目していたので、沖縄の交通事情やタクシー業界の現状と課題を分析してみました。 今回は、定量的なデータに基づいた考察を心がけ、業界の課題に対してライドシェアが真の解決策となるのかどうか、深く掘り下げていきます。

1. 沖縄県:人口動向と車社会

(1) 人口増加中!でも…

沖縄県は、全国でも数少ない人口増加県です。2020年の国勢調査では、総人口146万8,410人、世帯数61万2,749世帯と、前回調査(2015年)からそれぞれ2.4%、9.3%も増加しています。


沖縄県の人口増加

しかし、増加する人口を支える交通インフラが十分に整備されているとは言えません。これは沖縄県在住の方および沖縄に観光されたことのある方だと共感してもらえると思います。

(2) 車社会のジレンマ

沖縄県では、公共交通機関の整備が遅れているため(バス時間通りこない、モノレール那覇市内でのみ運転)、県民の移動手段は自家用車に大きく依存しています。 2019年のデータでは、1世帯あたりの自家用車保有台数は約1.7台と、全国平均を上回る「車天国」状態です。


沖縄県の自家用車保有台数


一世帯当たりの保有率



これは、一見するとライドシェアのドライバー確保には有利な条件のように思えますね。しかし、裏を返せば、それだけ公共交通機関への依存度が低く、タクシーやライドシェアの利用を促進する上での障壁となる可能性もあるかなと。

2. 観光客:レンタカー天国に変化の兆し?

(1) コロナ禍からの復活!

沖縄といえば、国内外から観光客が押し寄せる「観光立県」。コロナ禍で大きな打撃を受けましたが、2024年には前年比17.8%増の970万3千人の観光客が訪れたのではないかと言われ、復活の兆しを見せています。これは、昭和47年以降で3番目に多く、過去最多だった2019年の95.8%の水準まで回復しています。

沖縄県の観光客数の推移

(2) タクシー、チャンス到来!?

観光客の主な交通手段はレンタカーですが、高齢者や外国人観光客など、レンタカーを利用しない層も増加しています。彼らにとって、タクシーは重要な移動手段となるのですが現状どうでしょう。 タクシー業界は人材不足や高齢化といった課題を抱えており、増加する需要に対応しきれるのか疑問ですね。

ではタクシー業界の現状を見てみましょう!

3. タクシー業界:楽園の陰で…

(1) 供給過剰? それとも不足?

沖縄県には1,577社ものタクシー事業者がありました(2003年度末時点)。めっちゃ多いなw しかし、帝国データバンク沖縄支店によると、2020年には、県内タクシー会社の倒産件数が過去最多を記録。運転手不足は深刻化しており、2021年度には5,246人と、ピーク時の約半分にまで減少しています。 そこから需要と供給バランスが崩れたようです。また高齢化も進み、60歳以上の割合が78.1%に達しています。

一見すると供給過剰のようにも見えますが、実際には需要増加に対応できない「供給不足」の状態に陥っていることが分かります。那覇空港でもタクシー待ちで大行列です、、、

(2) 需要は増加…なのに!

観光客の増加に加え、高齢化によるタクシー需要の増加も見込まれます。 しかし、タクシー業界では一般的に、昼勤や夜勤、休暇などの勤務シフトや車両の稼働率を考慮した場合、車両1台につき2.7人のドライバーがいることが適正とされているようです。 2021年度の沖縄県のタクシー運転者数は5,246人、車両台数は3,704台です。このルールに則った場合、約1万人が適正人員となり、約4,700人の過不足。 つまり、観光客増加でタクシーの需要は増えているにもかかわらず、供給側が追いついていない状況です。

(3) 運賃値上げも…

2024年には運賃改定が行われましたが、沖縄総合事務局の調査によると、運賃改定後に「全運転者に係る運転者1人平均時間あたり賃金の支給率」が前年同期と比較して低下した事業者は確認されませんでした。 これは、運賃改定による運転手の労働条件改善効果は限定的であった可能性がありますね。

(4) 業界の課題:山積み!

  • 競争激化: レンタカー、バスなどの他の交通機関との競争激化

  • 人材不足: 高齢化、若者のタクシー業界離れによる深刻な人材不足

  • 高齢化: 運転手の高齢化、若手不足による業界の担い手不足

  • 労働条件: 長時間労働や低賃金など、運転手の労働条件の厳しさ

4. ライドシェア解禁。newmo沖縄に上陸!

(1) タクシー業界に新風

ライドシェア事業を展開するnewmoさんが、2023年に沖縄にnewmo沖縄株式会社を設立しました。 AI配車システムやドライバーの労働環境改善など、新たな取り組みが活発になるでしょう。沖縄以外にもその他の地方に展開しており、各エリアの交通課題をライドシェアが軽減してくれること期待大です!

沖縄県におけるライドシェアの運行イメージ図

(2) 沖縄での勝算は?

観光客の増加や公共交通機関の不足など、マクロ&ミクロな観点からみても沖縄はライドシェアにとって魅力的な市場なのは一目瞭然ですね。 しかし、自家用車保有率の高さ(これは逆に追い風?)やタクシー業界との競争(この辺りはM&Aがカギ?)、そして地域特性に合わせたサービス展開など、課題も多く存在します。

(3) ドライバー集まるか?

沖縄は自家用車保有率が高い点は、ライドシェアのドライバー確保に有利な条件のように思えます。 しかし、高齢化や人口減少、そして観光客の需要変動などを考慮すると、安定的なドライバー確保には工夫が必要となると思います。

(4) 法的枠組みとnewmoの戦略

日本では、従来「白タク行為」としてライドシェアが規制されていましたが、タクシー不足が深刻な地域や時間帯に限り、タクシー会社が運行管理を行うことを条件に、一般ドライバーが有償で顧客を乗せられる「日本版ライドシェア」が限定的に解禁。 newmoさんはこの動きを捉え、タクシー会社との提携によるハイブリッドモデルを採用し、供給拡大という戦略をとっています。

(5) 交通渋滞への影響は?

ライドシェアは移動手段の選択肢を増やす一方で、沖縄の交通渋滞に与える影響も懸念ありですね。沖縄の渋滞は結構ひどいです(特に58号線と330号線)。都市部における道路混雑時の 旅行速度は、東京23区などの三大都市圏と同等の低い 水準のようです(渋滞で車が前に進まない状況を示していますね)。よってインフラ整備が重要なのですが、基地問題や権利関係で時間がかかりますね。需要やビジネスチャンスはあれど狭いサーキット上で車の台数が多くなることは利便性を逆に損なう形になる?


タクシー業界再編の動き

近年、タクシー業界ではM&Aが活発化しています。 事業承継問題や競争激化、そしてライドシェアの登場といった要因が、業界再編を加速させていると考えられます。

タクシー業界地図


沖縄のタクシー業界においても、M&Aによる経営規模の拡大や効率化、サービスの差別化などが進む可能性があります。これは、競争力を強化し、新たな時代に対応するための戦略として重要となるでしょう。

5. 結論:沖縄の未来は?

沖縄のタクシー業界は、ライドシェアという新たな競争相手?協業相手? 業界は下記の取り組みをいち早く着手出来る企業が残っていくでしょう。

  • サービス向上: 顧客満足度向上による差別化

  • IT活用: 効率化によるコスト削減、サービス向上

  • 新規事業: 観光客向けサービスなど、新たな需要の開拓

ライドシェアは、タクシー業界の課題を解決する万能薬ではないかもしれません。 沖縄の交通課題は複雑であり、多角的な視点からのアプローチが必要だからです。

タクシー業界は、ライドシェアとの競争を「サービス向上」、「IT活用」、「新規事業」といった形で「進化の糧」として捉える必要ありますが、この変化に対応出来る会社はあるのでしょうか?

ライドシェアは、既存の公共交通機関を補完する役割も担えるかもしれないですね。バス停や駅へのアクセス手段を提供することで、公共交通の利便性を向上させるという移動の導線の潤滑油にもなれる可能性ありですね。

沖縄の交通の未来は、タクシー業界、ライドシェア事業者、そして行政が連携し、それぞれの役割を果たすことで、より良いものへと発展していく可能性を秘めているのでオール沖縄で頑張りましょう!

引用文献
交通システムに関する比較・整理, 1月 19, 2025にアクセス、 https://www8.cao.go.jp/okinawa/6/67_29houkoku_3-5.pdf
意外と少ない観光客利用「沖縄タクシー」独特実態 ラフな私服で悠々自適なドライバーも多い, 1月 19, 2025にアクセス、 https://toyokeizai.net/articles/-/584184
日本版ライドシェアの期待と課題(沖縄テレビ)2024/9/19 - YouTube, 1月 19, 2025にアクセス、 https://www.youtube.com/watch?v=8WJIka9taGQ
「今のnewmoはどうなっている?」がまるっとわかる4つの質問を経営メンバーにぶつけてみた, 1月 19, 2025にアクセス、 https://note.com/newmohq/n/n29b6eff49627
私たちについて | newmo沖縄株式会社の会社情報 - ジョブアンテナ, 1月 19, 2025にアクセス、 https://www.jobantenna.jp/at/295046/aboutus/
交通の再構築(リ・デザイン)による持続可能で心豊かな生活と観光の実現, 1月 19, 2025にアクセス、 https://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Unyu/jikayouyuusyou/koutuu-saikoutiku_240711.pdf
newmo、事業戦略発表会を開催 - PR TIMES, 1月 19, 2025にアクセス、 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000137033.html
ライドシェアサービスを展開する「newmo」が63億円調達 名古屋・沖縄に新会社を設立 - 創業手帳, 1月 19, 2025にアクセス、 https://sogyotecho.jp/news/20241114newmo/
3年間で2割減--ドライバー不足に悩むタクシー業界、神戸と沖縄で進む稼働率向上のコツ, 1月 19, 2025にアクセス、 https://japan.cnet.com/article/35209007/


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