見出し画像

名脇役・カーネーション

最近、カーネーションの魅力に気づいた。

花屋に勤めはじめの頃は、そこまで存在を気にしていなかった。華やかなバラやダリアやラナンキュラスなどの方が「やっぱりかわいいなあ」と気になる存在で、カーネーションかすみ草と同じでは”昔ながらの花屋さんにある花”だった。

ブーケを作るレッスンなんかに行っても、「カーネーションはメインのお花を引き立てる脇役」「ブーケにボリュームを持たせるためのお花」という扱いで、真ん中に来るお花の横、あるいはブーケのはしっこに来る存在だった。

ただ、カーネーションにも本当にたくさんの品種があり、定番の色はもちろん流行のくすみピンクやワインカラーといった大人っぽい色もあり、たびたびお店に入荷していた。
そんな折、先日入荷したピンクのカーネーションがなんだか気になった。ごく普通のピンクなのだけど、ピュアさがあるというか、無垢な感じだった。なんだか花びらラメが入ったようにもきらきらしている気がする。これはお花に含まれる糖分によるものらしい。綺麗だった。

そのカーネーションが入荷してから数日後、家にお花を飾ろうと思いお店のお花を選んでいた。普段だったらカーネーションは選ばないけど、やっぱりそれが気になったので連れて帰ることにした。
ちょっと咲き進んでいたそれはブーケの主役にして良いくらい華やかだった。こんなにまじまじカーネーションを見たのは初めてかもしれない。ほかのお花2~3本と合わせて、それが主役の簡単なブーケを作った。

家に帰って花瓶に生けたら、もう「かわいい~!」で頭がいっぱいになった。無垢ピンクで、ふりふりの花びら。よく考えれば、このコロンと丸いフォルムだからこそ、ブーケのはしっこに居ても違和感がない。花びらもふりふりしているけど、主張しすぎず、控えめなふりふり。胃がもたれないふりふり。メインのお花を邪魔しない圧倒的奥ゆかしさである。


今まで何本とカーネーションをブーケに入れてきたけど、感謝の気持ちが湧いてきたのは初めてだった。ありがとうカーネーション、ありがとう生産者様。おまけに日持ちが抜群である。最高。
ブーケを飾っても最後まで生き残るのはいつも君です。今も健在で、2週間くらいは経っているのでは。


母の日には主役を張っています。主役にもちゃんとなれます。また大量のカーネーションに埋もれる日々を楽しみにしています。




いいなと思ったら応援しよう!