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【毎日短編台本-2月28日】 思い出はどこかで


基本情報

タイトル-思い出はどこかで
作-臼井智希
目安時間-5分


本編

人々がいる。これは1人でも、複数人でもよく、複数人の場合はセリフは分割して言うことを想定する。分割点は一切自由である。

人々「過去の栄光に縋る人、みっともないよね。黒歴史、マジで忘れたい。初恋の人が忘れられない。忘れたことは思い出じゃないんだから、思い出ってのは覚えてることなんだよ。忘れたいことも忘れたくないことも、忘れられることも忘れられないこともあるけど、少なくとも今は覚えてること。思い出って、褪せると思う?美化されると思う?私は美化されると思う。クズなところ多くて別れた元カレ、思い出すのはいいとこばっかだし。もっかい付き合おっかなって思う時もあるけど、絶対いざ付き合ったら後悔する。私は褪せると思う。なんか、そもそも断片的っていうか。全部覚えてるわけじゃないしさ。だから。え、だからこそ美化されるんじゃん。やなこと忘れるんだから。いや、むしろやなことばっか覚えてる。は?だから褪せるんだよ。やなことなんか忘れれば良いじゃん。忘れられないよ。忘れれば無かったと同じなんだから。忘れられないんだってば。なんで?なんでって。そもそもさ。そもそもそれって今に依らねぇ?どうゆうこと?なんかさ。彼氏に不満がある時に元カレのこと思い出したら美化されない?逆によ、めっちゃ美味いもん食ってる時に給食のこと思い出して、給食の思い出が美化されたりしないじゃん。今と比較してどうか、っていうか、今に満足してるかしてないかで変わるもんじゃない?え、てことは今に満足してれば過去は褪せるってこと?まあ。てことはさ、大切にしたい思い出がある時は、それに関わることで満足しないほうがいいのかな。そう、そうとも言えるかも?それってなんか悲しいね。でも、過去の栄光に浸ってる人って今栄光がないからなわけじゃん。て考えれば、そうかも感はあるよね。たしかに。...思い出ってあるのかな?どういうこと?あるのかな、過去って。あったと思うんだけど、頭の中でしかそれが観測できないような。それ、行きすぎると時間って何って話にならない?時間ってあるのかな。ないでしょ。結局時間っていうか、あるのは変化。変化してると思ってる脳でしかないんじゃない。てことは思い出はどこにあるの?だから、それも脳じゃないって。脳なの、やだな。やだってなに。私、心がいい。思い出があるのは心がいい。まあ、ならそう思っておけば。どこにあったっていいじゃん。どこかにあるって思っておけば。勝手に美化されたり、勝手に褪せたり、たまに忘れたり、するよ。ならいいか。」

終幕。


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