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【毎日短編台本-3月3日】 夜ごと想う恋は桜に似た音で (1人劇)


基本情報

タイトル-夜ごと想う恋は桜に似た音で
作-臼井智希
ジャンル-モノローグ、恋愛
目安時間-5分
登場人物
小夜子 高校生のように見える、ロングヘアでストレート。黒いセーラー服を着ている


本編

夜。小夜子の部屋。部屋には生活感がなく、異常に綺麗であると感じる人もいるだろう。黒いセーラー服を着た小夜子は、部屋の中にいるがやがて、窓の外の月を見て引き寄せられるようにベランダに出る。

小夜子「久しぶりですね。お元気ですか?最近はやっと、夜でも寒くないというか、コートとか、上着着なくても外出られるようになってきましたね。...あなたは、知っていたんですか?私が、あなたを好きだった、ってこと。...気づいていたなら、教えてくれれば良かったのに。私は、まさか私があなたを好きだとは、思ってもいなかったです。ね。自分が何を想ってるかなんて、意外と分からないものですね。え、鈍感なだけ?私が?...そう、なのかもしれませんね。最近、あなたがいなくなってから、想うんです。毎晩、毎晩、夜毎に1人で、お布団の中とか、お風呂の中とかで。あなたがいればな。あなたがここにいればなって。わかってます。伝えられなかったのは私ですから。ないものねだりだってのは、わかってるんです。でもあなたの声とか、足音とか、ふとした時の笑いとか。欲しかったなぁって、思います。...やっぱり寒いですね。中、入ります。風邪ひいちゃいますから。」

小夜子、部屋の中に戻り窓を閉じる。

小夜子「写真くらい、撮っておけば良かったな。って思いません?私、思わないんです。え?って思いますよね。思わないんです。瞼を閉じれば、いつでもあなたが見えるから。あの頃に戻ることはできないけど、瞳の中にあなたはずっといてくれるから。目の中だから、痛いけど、良いんです、それが。痛みがあるから喜びなんです。姿はいい。せめてあなたの音を聞かせて欲しいなって、強欲なので。あなたがいなくなってから、あなたがずっといる気がしてます。ずっと、あなたが見ているんじゃないかって。だから毎日ヘアオイルつけて、綺麗なストレートにして、バレないくらいに色付きリップつけて、可愛くしたいんです。これからの季節、桜が咲きます。私の唇も、桜色に、ほんの少しだけ染まると思います。ねえ、どうですか?毎日、毎晩、夜毎に咲いて、夜毎に散る。
恋って、桜に似てるなって思います」

終幕。


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