【毎日短編台本-3月28日】 仮面人生 (1人劇)
基本情報
タイトル-仮面人生
作-臼井智希
ジャンル-モノローグ
目安時間-5分
本編
舞台上には私が1人。そして、四つの仮面が吊られている。四つの仮面はそれぞれ、笑顔、泣き顔、怒り顔、そして無表情である。
私「自分が何人もいます。誰が自分か、わかりません。でも全部自分です。どれも自分です。」
順々に仮面に触れながら。
私「これも、これも、これも、これも。全部自分です。自分の一部じゃありません。自分です。ひとつひとつが、100パーセント分の自分、その力を持ってます。4人分ですよ。ほんと、力持ち。でも感情ってそういうものなんです。脳より後から来て、頭とか理屈の何倍もパワーがある。嫌になりますね。それが4人分。」
笑顔の仮面をつける
私「楽しいんです!私、好きなことしかしてないから。好きなことできてるから。だからいつでも楽しいんです。お布団でぬくぬくしてても、考え事してても、仲間といる時も、どんな時も楽しいんです。もちろんお風呂も!お風呂好きなんですよね。楽しいとテンション上がって疲れちゃうけど、疲れも気持ちいいしそれがお風呂でふぁーって、ふわーって溶けていくのも気持ちいいんです。」
笑顔の仮面を外し泣き顔の仮面をつける。
私「でもいつだって悲しいんです。期待通りに、思い通りにいかないとき。頑張ってないように見えるまわりも、頑張ってって期待してる自分も、なんか、嫌になります。主に自分が。嫌です。悲しいなって思います。面倒な話なんですけど、期待通りになっても悲しいし、期待を超えても悲しくなります。期待通りなら、超えられなかったなって。超えられれば、あ、私いらないなって。お風呂にいても悲しくなります。あ、私今世界に存在してないなって。お風呂ってひとりでしょ?私がお風呂にいても、つまり私がこの世にいなくても、この世は何の不備もなく回ってく。あーやだ。やだやだやだやだ!!!」
泣き顔の仮面を外し怒り顔の仮面をつける。
私「なんでわたしがこんな嫌な思いしなきゃいけないの!!!!!いっつもイライラしてます。なにも思ったとおりになんない。しかも、思ったとおりになって欲しくないから、思ったとおりになることもイライラする。じゃあどうしたいのか自分でもわかんない。わかんないからもっとイライラする。人にも自分にもモノにも。機械の反応が悪い時、人の反応が悪い時、自分の調子が悪い時、人の調子が悪い時、どんなときでもブチブチしてる。隣にいた人から覚えのある匂いがした時。携帯いじって私を見ない時。私を見る時。どんなときでもキリキリしてる。お風呂でも。身体にまとわりつきやがって。そのくせ浴槽は浅くて、身体を沈めて私を殺してはくれなくて。中途半端で。あぁ、イライラする。嫌い嫌いきらいきらい!!!!!あっち行って私!!!!!私が私に関わらないで!!!」
怒り顔の仮面を外し、無表情の仮面をつける。暗転。
私「溶ける。消える。無い。無い。無い。無い。無い。無い。無い...(以下、繰り返し)」
終幕。
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