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【毎日短編台本-2月26日】 あめ、あめ (1人劇)


基本情報

タイトル-あめ、あめ
作-臼井智希
ジャンル-ホラー、不思議、一人劇、会話劇
目安時間-5分
登場人物
小夜氷織(さよ-こおり) 図書委員を名乗り、制服を着ていて女子高生に見える。
自分 図書室で本を読んでいた。


本編

雨が降っている、放課後の高校図書室。
自分が本を読んでいる。自分は舞台上にはおらず、セリフも音として聞こえることはない。このセリフが読まれたと想定し、その間を開け、反応する小夜の演技によってのみ自分の存在が表現される。
小夜、本棚の隙間から自分に気がつく。

小夜 あれ、まだ残っていらしたんですか
(自分 あ、はい。)
小夜 すいません。そろそろ閉室時間なので閉めちゃうんですよ。
(自分 あの、あなたは?)
小夜 あ、小夜、氷織といいます。図書委員なんです。あ、そんな焦ってもらわなくても、まだ大丈夫ですよ。閉めるまであと10分くらいありますから。すいません。読書の邪魔をしてしまいましたね
(自分 あ、いえ。すいません。あの)
小夜 はい?
(自分 この本の続きって置いてますか?)
小夜 あ、
(自分 はい?)
小夜 あの、すいません。置いてないんですよ
(自分 そうですか)
小夜 ただ、その本、もう一度見せてもらっても良いですか?
(自分 はい)
小夜 ...やっぱり。あの、私ので良ければお貸ししましょうか?
(自分 え!?)
小夜 私、このシリーズ好きで、全部持ってますから...あの、良ければですが、どうですか?
(自分 じゃあ、ありがたく。お願いします)
小夜 わかりました。また明日来てください。持ってきますから。
(自分 古い小説なのに、好きなんですね)
小夜 そんなに古い小説でしたか?
(自分 ほら)
小夜 あ...ほんとですね。では、また明日。そろそろ帰る準備をお願いします。

小夜、立ち去る。
場面変わって、数分後の図書館の入り口。
自分と小夜がいる。

小夜 すごい雨ですね...夕立ですかね。
(自分 天気予報だと、あと10分くらいで止みそうだけど)
小夜 すぐ止みそうですか。でしたら、中で待ちましょうか。秘密ですよ?
(自分 わかった)
小夜 そうだ。これ、いりますか?
(自分 飴?)
小夜 はい。ミルク飴です。
(自分 もらっていいの?)
小夜 どうぞ。......どうですか?
(自分 美味しい)
小夜 好きですか?
(自分 うん)
小夜 なら良かった
(自分 なんか、不思議な人だね)
小夜 そうですか?...あの本
(自分 うん)
小夜 主人公の男の人が、幽霊の女の子の正体に気付くところ
(自分 面白いよね)
小夜 面白いですよね。いままで何もわかってなかった男の子、可愛いなって
(自分 うん)
小夜 ですよね...

無言の2人。雨音と、飴を舐める音、小夜が自分の服を触る衣擦れの音だけが聞こえる時間。

小夜 あ、あめ。終わりましたね。じゃあ、また明日。

終幕。


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