独身子なし女を志す不安の話
今Twitterでまわってきた「ほんとに独り身で良いの?」の話、ちょうどここ何ヵ月か考えてたことでダメージを追ってる。
まあきっかけとなったツイートで紹介されていたnoteのターゲット層は私と違うところにあると思う。
異性から求められることに価値をおいてないし、若さ美しさが価値という考えでもない(健康という意味では若さは価値だけど)し、恋愛したいわけでもないし。
だから本当なら揺さぶられる内容ではないはずなんだけど、しんどくなってしまった。
私は結婚願望も子持ち願望もない。ただ将来への不安は芽生え始めた。というのも、縁のあるご老人が亡くなって葬式やら喪主の旦那さんやらいろんな整理の様子やら中の良さそうな大家族やらを垣間見たことに端を発してる。つまりは、今までは老いとか死とか家族の役割とかへのイメージがかなり浅かった。親戚中でうちだけ遠方だったから祖父母さえそれほど身近になく育ったし、葬式は小学校低学年ぶりだった。たぶん。
私の周りには基本的に働ける程度の「老い」しかいない。多少身体の機能が低下していたり、何回か病気してたりしても、自分の面倒はみれる程度の老いしかほとんど見てこなかった。一番身近な老人である80歳過ぎくらいの人だって、縁者が年に何回か様子を見に行ったり、病院の検査結果を一緒に聞きに行って理解や記憶を補ったりしてるけど、基本的には趣味もやりつつ独居でがんばっている。その次に高齢なのは70代半ばくらいであろう人でまだバリバリ働いていて、創作活動もされている方かな。
だから誰かの手を借りないと歩けないほどになった時に頼れる人がいるかとか、自分の遺品の整理をどうするのかとか、そういうことが想像できてなかった。
その視点を得た今、自分で世話しきれないことをどうするかという点において、自分より若くて健康で世話焼いてくれる程度に関係が良好な人がいるのはアドバンテージだなという意識が生えてきた。それで、「ほんとに独り身で良いの?」の揺らぎにつながる。
ただ、これは前々からの考えだけど、そもそも寂しさや便利さを想定して結婚とか出産・子育てするのはどうかと思う。
支えあって生きていけるパートナーがほしいってのはわかる。でも今すぐじゃなくて遠い未来の拠り所として期待するのは、それはそれで無計画じゃないのか。
前述の80歳だって30年くらい前に伴侶と死に別れてるので、ながらく「独り身」だ。独り身の期間のほうがもはや長い。時々様子を見に行っている縁者は元々は15分程度の距離に住んでいたのが、20年くらい前に仕事の都合で3時間かかる場所に引っ越した。結婚して子どもを産んで育てあげても、結局けっこう長い間ひとりになってるんだよな。ただ近所に友達が多いので陰鬱な雰囲気ではない。
今の時代わりと「独居で近所に頼れる人がいない」状態になる可能性高そう。子どもが、転勤とまではいかなくても勤務地に近いところに引っ越していくとか普通にあるし。
あと子どもは別個の人格を持った人間であって自分のための装置ではないし、そもそも子どものほうが長生きする保証もないし、良好な関係を築ける保証もないし、健常児とも限らない。
健康的に育てるとか関係性とか、実際に子どもができたらもちろん努力はするけど、思い通りに行くとは思えない。子どもは私の一部じゃないから。私の一部であっても思い通りにはいかない。感情とかほんとそう。
身体能力とか収入とか物価とか考えると一人か、せいぜい二人しか産めないだろうから、子ども側の負担大きすぎる。少子化に伴う社会的な問題は、すまん。せいぜい労働して納税します。
親の片方がこのタイプだけど、将来的に面倒みさせるために子どもが欲しいって、子どもに対して不誠実じゃないかと思ってしまう。いつか来そうな寂しさに対してとかも、ペットじゃないんだから。
いつぞやに職場の人が「大人になると自分に成長が感じられなくなってつまらないけど、子どもがいると毎日成長を実感できるから楽しい」と言っていた。命懸けの娯楽か? まあたしかに無理やり新しい世界に引きずり込まれるって意味では刺激的で楽しいのかもしれないけど、大人になっても成長を感じられる場面はあると思うぞ。60歳くらいからフラワーアレンジメントを始めて何か独自製法の免許皆伝を受けて仕事始めた人とか知ってるし。ていうか能動的に楽しむ力がなかったら子どもが巣立った後に詰まない? 大丈夫そ? 空の巣症候群だっけ。
あと子ども欲しい動機に対して云々の他に、現代社会で子どもを真っ当に育てられるのかという不安、とても大きい。
私が子どもの頃と比べて、それはもう想定しなきゃいけない事態が増えたと思う。技術の発展とか特にそう。
インターネット、こんなに誰でも触る世界ではなかった。GPSのタグとか小型カメラとかも身近じゃなかった。生成AIの登場で、気を付けていても被害者になる可能性も高くなった。あんなんどう教えれば良いんだ。公開SNSに載せるなって言っても、クローズドなSNSから身近な人が悪意なく流出させることも、信じてた人が悪用することもあるだろ。好奇心から我が子が使うようになるかもしれない。権利問題とかちゃんと説明できるだろうか、とか。
そもそもスマホやらパソコンやらで見えにくい関心や交遊関係が多くなった中で、全部先回りすることも、関心を察知して教えることも無理が過ぎる。監視したいわけでもなし。ちゃんと調べて裏取りして考える癖をつけさせるか?育児方針を考えるための社会への理解が私に足りてない。
人権意識とか私はちゃんとアップデートできてるだろうか。倫理観をちゃんと教えられるだろうか。私自信怪しいところがあるのに?
たとえば男の子だったら性加害者に、女の子だったら性被害者にさせないように育てるの、とても難しいと思う。
それにそういったものとはまた別に、自己肯定感を育む接し方ができるだろうか。私に?
あともはや外で遊べる夏は無いから、運動をどこで担保しようとかもある。
子どもに手渡したい世界でもない。日本は人権意識はいまだ朧気、主権者の自覚はとても薄い、汚職は横行し、三権分立は虫の息、文化や知は破壊されて、環境破壊も止まらず、可処分所得はごりごり削られて、年金ももらえるか怪しく、世界はジェノサイドを止めようとしない。
もちろん改善する努力はする。大人として。
選挙は欠かさず行ってるし、政治や社会問題について声を上げ続けている。そういう問題に対して納得できる倫理観を持った企業の商品を選ぶようにもしている。国際的な機関や政府や報道機関にコメントを送ったり、署名とかも。
それでもどうにも希望が持てない。
あと純粋にお金がかかるから、子育てしてかつ老後の資金貯めるの無理じゃない?ってなる。
あと正直、妊娠出産は怖い。己に自分じゃない生命体を宿して、内臓メタメタにしながら産んで、自力で稼ぐ手段を手放さざるをえないかもしれなくて、健康も自立も損なわれて、最悪死ぬ。なんで女だけそんなもん背負わなきゃならんのか。
それから、共同親権法が成立しちゃったから、もし万一パートナーがやばい男だった場合、逃げられなくなるのも怖い。「なんとかなる」と思えない世界で「一回やってみる」はできない。
どうしても子ども欲しければ養子でお願いします。それも社会貢献の一つの形だよ。
私は友達と、趣味と、教養と、社会との接点があれば楽しくやっていけるんじゃないかな、とは思う。すくなくとも自分がそれなりに動けるうちは。
でもやっぱり不安はある。何かあった時に深いところまで相談できる相手がいるのかとか、遺品の扱いとか。
……パートナーがいても賭けなんだよな本当に。うちの両親は深い相談ができる間柄というか、能力というか、そういうのがなかった。よその家でも、子どもが中高生の時に離婚してたり、熟年離婚してるとこもある。
どうあがいたって一人になる可能性はあるんだから、結婚するにせよしないにせよ覚悟はずっと決めておいて、それでも楽しく生きる力を身につけるのが良いだろうな。
だから一人で生きていけるようになるべくお金を貯めて、成年後見人とか遺品整理とかそういうサービスを探して、備えると決めた。
決めてたけど、冒頭に書いた大人になって初の葬式で色々と見て、よりリアルに考えて不安でたまらなくなった。大家族でみんな近所だとあんなにスムーズなのか……でも都会の民だからそんな状況なかなか作れんし、私の能力的にも難しい。
あ、先達の死を意識すると自分の家の歴史にちょっと興味が湧いたけど何をどう訊けば良いのかわからん。知ってる人がいるうちに聞いておきたいよな~なんかご先祖様が殿様から刀を拝領したらしいんだよ~。
弔いは誰かが一瞬手をあわせてくれたら良いかなって気がする。孤独死の現場に来た警官とかでも良い。無縁仏もまったく供養されないわけでもなし。
自分を覚えていてくれる人がいなくなる寂しさを感じるようになるよ~みたいな話は、どうせ歴史に名が残るような人間じゃないんだから子孫がいたとしても死後30年も続かんだろと思う。そういう記憶って明確な記憶じゃなくても、いつか誰かにされた振る舞いが米粒ほどでも人格形成に影響を与えたりするので、知らず知らずのうちに世界に溶け込んでいるものじゃないかな。
ていうか私は神社の支援したことがあるので芳名帳か何かに載ってる。神様が覚えてるから最強だよ。
話が逸れた。
とにかく不安を抱えて生きていくしかないんだろうなあ。楽しいは楽しいだろうし。
なるべく友だちとの関係を切らさないようにして、なるべく趣味を持ち続けて、なるべく新しい世界に触れて。
結局そういうところに行きついたところで、どのくらい先輩なのか存じ上げないけどこのあたりのツイートでちょっと気楽になりました。
自分に誠実に強く楽しく生きていこうな。
<2024/7/26追記>
遺族年金の改悪:自立する手段を手放すと貧困まっしぐら
強制的共同親権:パートナーがやばいやつだったら子の成人まで逃げられない
扶養控除の縮小・学費等の値上げ・スタグフレーション・子の遊び場の減少・有料化・老後資金4000万円問題:子を養う余裕なし