The Great Battle of students
松田はすでに冨樫の前から消えていた。
いや、というより消えるために戦を動かした。
冨樫と舌戦し、尾上らの奇襲が成功した後、松田と小田は兵を広げ、広域な戦いを展開した。
これは後ろで奇襲を受けている敵に対して、前で兵の壁を作る事で心理的圧迫感を与えていた。
それともう一つ。
兵を広げた事で、大将の位置が判別しにくくなったのだ。
一箇所に兵がまとまっていれば、その中央に大将がいる事は容易に想像できる。だが、散らばっている中では、どの塊に大将がいるかは一度では判別は難しい。
結果、冨樫らは松田を見失うとともに、尾上らに気を取られる形となった。
全ては松田の思惑通りとなるのである。
松田は主戦場から離れ、手勢を連れ、1人でとある所へと向かっていた。
そこはこの戦の全てを見渡せる場所。
少し前まで激戦が繰り広げられていた場所。
そう、板橋城である。
松田は南門手前まで軍を展開し、南門から的に気付かれる事なく入城した。
そして、1人、城壁の上から全てを見渡していた。
ゆえに、彼はすでに動いている。
北門を迂回している堀北の動きに対応するように。
向かうは東門。
尾上らの背後へ。
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