The Great Battle of students
敵は全く撃って出ない。
こちらの攻撃を防ぐことに注力している。
そして、我々はその守りを崩さずにいる。
良くない流れだ。
迅速な攻撃が全くできていない。
このままでは敵の援軍が到来し、我らは終わる。
堀北は相対する尾上軍を見ている。
アイツらは我が軍を上らせまいと躍起になってはこなかった。
戦い途中で気づいたが、奴らは中途半端に我が軍を城壁に上らせ、逃げ場を失った我らを叩いていた。
おそらく、城壁上での布陣もそれに準ずるものになっているのだろう。
最初から一生懸命戦うのではなく、一定の狩場を作り、誘い込んだ上で瞬間的に叩く。
巧妙な戦い方だ。
さすがは上律第一将ということか。
「全軍撤退」
この4文字が堀北の脳裏によぎる。
このままでは間違いなく負ける。
一度、城の包囲を解き、来たる援軍に備え、布陣を整えたほうが良いのではないか。
そうすれば無駄な被害を出さなくても済む。
無論、尾上と鈴山を討つという当初の目的は失敗に終わるわけだが。
だが、俺がそんなことを冨樫さんに進言できるはずがない。なにせ、俺が負けているのだ。
俺が負けているから引きましょう、なんざ口が裂けても言えない。
戦略的意味のある撤退だが、それは俺が負けているからだ。勝っているならそんなもの必要ないのだ。
戦う以外の余地はない。
こんな考えだった。
1日目が終わった俺の脳裏にあったものは。
だが変わった。
冨樫さんの伝言によって。
「半数を連れて、俺と合流しろ。」
明日からの北門の攻めは俺の副官らにやらせる。
俺は南門に出向き、冨樫さんと共に攻める。
聞いた話によると、南門の将、鈴山は多くの私兵を別の城に置いてきているらしい。
どうやら冨樫さんは此度の戦のターゲットをその鈴山1人に絞ったようだ。
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