規則正しく生きた結果
学校で規則正しく過ごせと言われた。
髪の色も長さも、みんなに合わせて過ごした。別に自分っていうものがなかった私にとってはなんら苦悩もなかった。
みんながそうしているからそうしてる。
それだけで、特に面倒なことも起きないんだから。
学校で出た課題を先生の言われた通りに終わらせた。
自分の感想や、自分のやり方を通すよりもその方が成績がいいし。面倒なことにならないからそうした。
大人の言う通りにしていれば、面倒なことにならないから。
でも自分が大人になったら、困ったことになった。
自分が大人だから、誰かの言うことを聞いていればいいというわけではなくなった。自分が自分で判断して生きる、誰かの言うことを聞いて育ってきた私にはそれがとても難しいことだとわかってしまった。
「手順書の通りにやりますから、マニュアルの通りにやりますから」
最初はうまくいっていた、いや上手くいっていたと思っていたのかもしれない。気がつくと手順書やマニュアルにない部分のカバーができなくなっていた。
あれ。
おかしい、おかしいおかしい。私は言う通りにしていたのに。
これで面倒なことにならないのに、なんで面倒なことになってるの。
おかしい。
普通に考えて、こうするべきでしょ。って言われると。
私がおかしいのか?
と、思いながらも謝罪をしてその場を収める。反論して面倒なことになるのが嫌だったから。そうした方が早いと思っただけで、別に納得しているわけじゃないけれど仕方がない。
だから怒られないように、それを覚えるけれど。今度は別の人にそれを怒られる。私は「〇〇さんからそう聞いて、そうしたんですが」と答えてわかってもらおうとするけれど、そうだとしても……と責める回答が返ってくる。
「正しい指摘かどうか、あなたが決めないとダメでしょ」
……だってさ。
いままで誰かの言う通りに生きてきたのに、突然これだよ。
自分に選ばせもしなかったくせに。いまさら自分で判断しろ、お前の判断ミスだと罵る。
今更自分で選べなんて酷い話だな。