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育児休業に対する意識
突然ですが皆さん、育児休業についてどのようなイメージを持っていますか?
働くママたちのための制度?男性は利用できない?
この記事では独自に行ったアンケートをもとに意外と知らない『育児休業』について考えていきます。
目次
①ソーシャルアクションとは?
②男性の育児休業取得について
③育児休業を取得したいのか
④総括
①ソーシャルアクションとは?
ソーシャルアクションとは、地域に生じる様々な課題の解決やより良い社会の実現を目標として社会に働きかけることです。
私たちは武蔵野大学社会福祉学科の学生で、ソーシャルアクションを実践するという授業の一環でこの記事を執筆しました。
②男性の育児休業取得について
2023年度の男性育休取得率は30.1%と、2022年度の17.1%と比較しても、かなりの上昇傾向にあることは間違いないと思います。しかし、女性の育休取得率である84.1%(2023年度)と比べると…
圧倒的に低い傾向であると私たちは感じてしまいます。本アクションにおける一つのキーテーマでもありました。
グループメンバーの1人が実際に母親(50代)から聞いた話ではありますが、当時の仕事場においては「男性が育児休業を取った事例はほとんどなく、他のメンバーの負荷をかけることへの抵抗感が強かったと思う」と語っていたそうです。これは実際に三菱UFJが行った調査及び厚生労働省の資料でも明確になっています。
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「男性の社員や有期契約の社員の育児休業の取得について、会社や上司、職場の理解がなかったから」
という回答に加え、
「職場が育児休業の取得しづらい雰囲気だったから」
という回答も気になります。前述したように、男性の育休取得例が少ないことの原因なのでしょうか。それとも、古い考えなのかもしれませんが、今の日本においては
「男性は仕事優先、女性は育児優先」
という考え・風潮が若干根付いてしまっているのでしょうか。
私たちは「本当は育休を取得したい」という気持ちがあったのにも関わらず、それを実現出来なかった場合においては、働きかけを行わなければいけないと考えています。また、育休を利用し、仕事と育児を両立した場合、どちらも女性に負担が偏ってしまうことのないためにも、働きかけが必要だとも考えています。
タイトルにもありますように、私たちは「育児休業に対する意識」に着目しています。私たちが独自に行ったアンケート調査では50人中(無回答1人は含まない)47人が男性の育休取得率増加に対して、肯定的という結果でした。
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「取得率」について私たちが質問を行った理由は、「男性の育休取得に関する認識・考えの把握」に加え「男性の育休取得率が増加・低下」と「職場における育児休業の取得しづらい雰囲気、会社や上司、職場の理解普及の関連性」を把握することにありました。そして、上記の質問は理由ついても収集を行っており、
「取得率が上がった方が良い」と回答した方の理由としては
・男性は子育てと仕事の両立をしなくていいという大義名分にされてしまうから。
・子育ては親子2人でするものだから
・育児にも男性の参画が必要だから
・全体的に取得率が上がる
・もっと気軽に使える制度であるべきだから
などが挙げられていました。後半2つの理由に関しては「職場における育児休業の取得しづらい雰囲気、会社や上司、職場の理解普及の関連性」に当てはまるものであると考えられますね。
他にも多くの意見(理由)をいただき、43件(無回答7件は含まない)全てに目を通しましたが、
「子育て・育児は男女ともに行う必要性がある」
「男性も育児に参加して、体感するべき」
といった回答が多いという印象を私たちは受けました。
この記事をご覧になっている方の中には「本当は育休を取りたいものの、仕事場の立場上あるいは状況によって難しい場合もある」と考えている人もいるかもしれません。しかし、上記のアンケートで挙げたように、男性の育休取得に対する意識は「取得率増加」に向かっている傾向にあります。加えて、夫婦ともに育児参加をする必要性が高まっているように感じます。
前述したように取得率増加は「職場における育児休業の取得しづらい雰囲気、会社や上司、職場の理解普及」にも関わっていると考えています。そのため、男性の育休取得率増加は、取得しやすい環境の形成にも繋がるでしょう。今回判明した傾向や意識は会社や職場への理解普及に大きく関わるものであると私たちは考えています。この記事をご覧になっている方が男性の育休取得に関する考え・気持ちが少しでも変化し、深まれば幸いです。もっと、深く言えば、その考え・気持ちが自分自身の行動もしくはパートナーに対しても向いていただればより嬉しいです。
③育児休業を取得したいのか
ここからは、「今、現在育児休業を利用したいか」を主体にした内容です。育休に関わる人と問われれば、当然働いている人に視点が向くと思います。しかし、育休に関するアクションを考えた際に私たちはこう考えました。「将来的に育休取得の選択を迫れられる学生や未婚の方、就職しているかつこれから育児を控えている方なども今後の育休のあり方や取得率に関わる人たちなのでは」と。そのため、私たちが実施したアンケートは前述した方々も対象としました。
アンケートの細かい詳細ですが、アンケート回答者の内51人中36人は育休取得者または育休取得の判断を行った方です。そのため、残りの15人は学生や未婚の方、就職しているかつこれから育児を控えている方などです。
まずは学生や未婚の方、就職しているかつこれから育児を控えている方なども含めた全体的な集計内容を見ていきます。まず「今現在あなたは育児休業を利用したいと思いますか」という質問においては44人中(無回答7人は含まない)は38人は「育児休業を利用したい」を利用したいという回答でした。回答者の約86%は育休を必要なものとしていることが読み取れますね。
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この質問においても「男性の育休に関する内容・質問」と同様に理由も収集しています。割合が高い順に記載していきます。
・パートナーや子どもとの時間を作ることができる。(48.8%)
・育児と仕事が両立しやすくなる。(17.1%)
・給付金を受け取れる。(14.6%)
・合理的に仕事を休むことができる。(4.9%)
これらの内容は他の機関・団体などが行った育休に関する調査(アンケート)をもとに私たちが用意した回答候補です。この候補以外にもその他6件の回答もありました。これまでの内容を踏まえると、育休のニーズ・必要性は高まっていると言えますね。加えて、「育休に対する人々の意識」が高い傾向にあるとも若干感じました。特に「パートナーや子どもとの時間を作ることができる」という回答の割合は半分に近いものであったことからも、「家族と関われる時間の確保」という点における育休への意識は高いものであると考えられます。
次は育休取得者または育休取得の判断を行った36人について見ていきたいと思います。そもそも育休を利用・取得した人は36人中10人ほどであり、残りの26人は利用していないという結果でした。利用しなかった理由としては
・育児休業制度が整っていなかった(50代女性)
・両親が育児を行ってくれたから(30代男性)
・代替要員不足だったから(40代男性)
・当時の会社に育児休業を取る前例がなく、
出産のために退職した(50代女性)
などがありました。時代背景および当時の風潮・考えなどが多く絡んでいることもあり、利用しているもしくはしていた割合は多いとは言えないものでした。
しかし、前述した「今現在あなたは育児休業を利用したいと思いますか」という質問をこれらと絡めると、興味深いポイントが今回ありました。この質問の回答者を上記で述べた26人(育休を利用しなかった方)に絞り、収集した結果、その内の18人が育休を利用したいと回答しました。つまり、「当時は利用できなかったが、今は利用したい」と考えている人が多い傾向にあるということです。
学生や未婚の方、就職しているかつこれから育児を控えている方も含め、育休取得に対する意識が高めっていることが明確になったアンケート結果であったと私たちは感じました。大げさな言い方になるかもしれませんが、育休に関するニーズや必要性つまりは意識が人々の中で構築され、変化しているのかもしれませんね。もっと言えば、社会的にも育休を取りやすい環境になりつつあるのかもしれません。今、記事をご覧になっている方はこの結果を見てどのように感じましたか。決して、情報が多いとは言えませんが、これらの内容を踏まえて、育休に関するニーズや必要性を認識し、意識が変化してもらえれば、私たちはとても嬉しいです。ですが、そうでなかったとしても「育休の取得の有無」について少しでも考え、深めていただけるだけでも嬉しいです。
➃総括
今回は育児休業という内容上、育児と仕事の両方を行っていた方にアンケートに答えてもらうため、会社勤めの知人や家族、親戚など、多くの方にご協力いただきました。チラシなども作成し、職場の方にもご協力いただいた例もありました。その際にふと気づいた点があります。男性の育休取得においては会社によって環境や考えなどに大きく差があったことです。私たちはご協力いただいた企業の名称や業務内容、規模などは概ね把握しています。ご協力いただいた方とも「育休に関する職場の環境」についてお話を聞ける機会も中にはありました。
「うちの会社、最近は何人も育休を取っているよ」という意見と
「うちの会社では男性が育休を取る例がないんだよ」
という2つの意見に分かれていたイメージです。
一般的に考えると、男性に限らず育休取得率が高い会社は、環境が整った会社だと印象を受け、職場としても良い広報イメージとなり、利益に繋がるということになるのでしょうか。もしそうであれば、育休が取りにくい環境となってしまっている職場がその事に気づき、環境整備を行うきっかけになれば嬉しいですね。無論、育休の環境整備が整っている会社だけが良い会社と断定するのは早計かもしれませんが、アンケートでも明確になった「家族と関われる時間の確保」という点や一般的な利点として挙げられている「育児と仕事の両立」という点などにおいて、育休は重要な要となる可能性は高いでしょう。
繰り返しになりますが、この記事を読んでくださった方が、育休のニーズや必要性、あるいは意識についての考察を深めていただき、いざ育休取得の選択が迫った際の判断材料となっていただければ幸いです。ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。記事は以上となります。
よろしければ、コメントも是非!