なんとかなった話
僕の初めてのヒッチハイク。
高校2年生の夏、伊豆半島の先っぽを友達と二人で目指すため、用賀の交差点で、でっかい紙とでっかい声を通る車に向けて5時間がたった。
その後、赤い車に乗った一人の女性が乗せてくれて人生初のヒッチハイク1回目はなんとか成功した。
その女性は元一児の母らしく、僕たちが自分の子供のように見えてきてついつい乗せたくなったらしい。
ちょっと一人目からレベルの高い人だった。その女性は去年夫と別れてしまったらしくて、子供の親権もとられてしまって散々、って話を話してくれた。
ウキウキワクワクのヒッチハイクは深刻ムードで始まったのさ。降りてバイバイする時に真っ赤な車も少し怖く見えてしまった。
僕たちはせっかくだからと、サービスエリアごとに降りていろんな車に乗せてもらうことにした。
次に乗ったのは大阪に帰る所のサラリーマンで彼とはヒッチハイクっぽいであろう、僕も若い頃はねー、色々と旅して回ってどうのこうのって話をして楽しかった。
やっとヒッチハイクっぽい感じになってきた。次は大田区に住んでいる元二児の夫と韓国人の現彼女、静岡に旅行にきてるらしい。
僕たちは運がいいのか悪いのか。また気を使わなければいけないタイプで嫌だった。そんなこと気にしないでって言ってるけどそしたら
「わざわざそれを言わなくたってよかったよ」と思う。
でもよかったところは彼女の前なら彼氏はとことん優しい、お小遣いなんてもらっちゃった。
やっぱりなんかもっと清々しい気持ちで車に乗りたかった。現地のおばあちゃんだとかトラックの運ちゃんとか旅感が僕たちに必要な気がしていた。
そうこうしてる間に海が見えてきて山道って感じにもなってきた。ついにアウディで山道を走っているヒッチハイカーラクにも難関が迫ってきた。
とても酔ってきてしまったのだ。もちろん乗せてもらってお小遣いまでもらって絶対に吐けない。ヤッバイ。綺麗な水平線は全然僕を落ち着かせてくれなくて彼女さんはなんか色々言ってるけど山道のくねくねの方が大きい声で僕に吐け吐けと語りかけてくる。
一緒にヒッチハイクしてる友達を心で思い彼女を無視。必死で心を落ち着かせて伊豆半島の先端のビーチまでたどり着けた。
ついたのは午後5時過ぎ、ことなきを得てビーチで旅感を満喫していると友達とこの後どうするかの話しになった。寝る場所の問題だ。
でも前回も二人で旅をしていて大雨の中ビーチにふたりで寝たことがある。だからまた今年もそれでいこうとなったはいいものの。空腹はどうしようもない。もらったお小遣いも食べ物買うお店が一つもなければ意味がない。
お腹すいた。
街灯もないし真っ暗になっちまう。泳ごうなんて思ってたけど無理だった。結局また下った山道を上ってお店を探すことにした。
でもよかったのが近くにホテルがあってそこにお邪魔することにした。
でも入ったら誰もいなくて、すいませーーーんっっっって叫んでたら。
中国人のおばあさんが出てきて驚かれてた。話をしてくと、分かったのだが、そこはもう中国人が買い取って別荘として使ってるらしく…。
なんか普通に僕たち勝手に家にお邪魔してしまったらしい。
優しい中国のおばさんのおかげでご飯までたどり着いた。全然知らない中国の食べ物がいっぱい出てきて楽しい。
そして気づけば中国人7人くらいに囲まれてみんなでわちゃわちゃご飯食べてお皿もしっかり洗って、いざこっからが勝負。
ラク、ご飯はたべれたぞ。
心で今日のベストの終え方を考えてワクワクしだす。
僕を泊まらしてくれるか、そしてあわよくばお風呂にも入れるかってゆう戦いを僕たちが仕掛けなければならなかった。
外はもう真っ暗だからこれでありがとうございましたーって外に出るのなんて絶対いや。なんとなーくこの後の話を聞いてみたり言ってみたり。
全然わかってくれないよ。もーー。
そしたらお皿洗ってたら長老みたいなおじさんが泊まれば的なことをふと言ってくれた。最高おじさん!!って思ってたら中国語で会議しだすんだ。
空気が急に変わったのが僕にでもわかる。
何を話してるかもなんとなく中国語だけど伝わる。
オッケーみたいだ。一安心で部屋まで連れてってもらってお風呂の場所もちゃんと聞いて就寝できた。
なんとかなった話。
こんなにうまくいくもんかって自分でも驚き。来年このホテルが僕の名前「雅楽」でオープンするよって言ってるけどどーなんだろうか。
その後、朝になって僕たち二人は昨日行った海に戻って朝風呂ならぬ朝海をしてザ.旅を満喫してホテルに戻って中国人パンパンに乗るミニバンである程度交通量が多いところまで連れてってもらったんだけどその途中途中の空き家に書いてある不動産屋さんに電話して片っ端から買ってった。
さすが中国人だった。びっくりしちゃった。お金持ちのお財布のゆるさというかなんというか…。
結局、乗せてもらった車10台。乗せてくれた人18人。お互いにもう絶対会わないであろうという謎の確信が広がり中途半端に仲良い人よりも濃い話ができたきがするんだよね。
この次の週はヒッチハイクで大阪まで行ってきましたとさ。