詩:【そして宝石になる】/朝霧 藍子
あんなにも大切だったのに
わたしの記憶からあなたの欠片が
ぽろりとこぼれ落ちていくのです
こぼれていくあなたの欠片を
すくいとろうと手をのばしても
さらりとすべり落ちていくのです
あなたの姿も
あなたの声も
あなたの仕草も
あなたの匂いも
もうおぼろげになってしまって
いま残っている欠片は
あなたの名前だけ
あんなにも大切だったあなたの欠片が
わたしの記憶からとめどなくこぼれ落ちていくように
あなたの記憶からもわたしはすべり落ちているのでしょう
どんなにあなたの欠片がすくなくなっても
あなたと歩いた公園の桜も
あなたと見上げた夜空の星も
あなたと感じたすべての想い出は
色褪せることなく鮮やかなまま
きらきらとわたしの心を照らしつづけているのです
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朝霧 藍子
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