見出し画像

詩:【そして宝石になる】/朝霧 藍子

あんなにも大切だったのに
わたしの記憶からあなたの欠片が
ぽろりとこぼれ落ちていくのです

こぼれていくあなたの欠片を
すくいとろうと手をのばしても
さらりとすべり落ちていくのです

あなたの姿も
あなたの声も
あなたの仕草も
あなたの匂いも
もうおぼろげになってしまって
いま残っている欠片は
あなたの名前だけ

あんなにも大切だったあなたの欠片が
わたしの記憶からとめどなくこぼれ落ちていくように
あなたの記憶からもわたしはすべり落ちているのでしょう

どんなにあなたの欠片がすくなくなっても
あなたと歩いた公園の桜も
あなたと見上げた夜空の星も
あなたと感じたすべての想い出は
色褪せることなく鮮やかなまま
きらきらとわたしの心を照らしつづけているのです


+++++++++++++++
朝霧 藍子
+++++++++++++++


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?