牙狼VR 雑なデスゲームだった前半戦から、「牙狼とは何か」を問いかける後半戦へ
ハローワールド ランガタロウちゃんねるのランガタロウです。
前回の記事↓
「これは本当に牙狼なの!?」と度肝を抜いたデスゲーム作品
『GARO-VERSUS ROAD』
がこのたび最終回を迎えたので記事を書かせていただきます。
「魔界から現れ人を食らう魔物ホラー ホラーを狩り人を守る魔戒騎士
その中でも最強と呼ばれる黄金騎士の鎧”牙狼”それを受け継ぐ騎士たちの物語」
がこれまでの牙狼シリーズでした。
しかし今作VRでは「魔界の存在すらしらない一般人たちが優勝すれば願いが叶う鎧 牙狼が手に入るというデスゲームに巻き込まれていく」
という前提条件がまるで違うストーリー
優勝者が決まるまで牙狼の鎧を着ることが現れないことによる
「怪人もヒーローも不在のまま行われる人間同士の殺し合いと、そこから生まれる憎しみで何かを目論む黒幕」という構図から生まれたのは想定外の怪作でした。
物語前半戦は以前の記事に書いたように何が目的かもわからぬ、雑なデスゲームが展開され「こんなんで大丈夫か?!」というめちゃくさで興味を惹かれる作りでしたが。
後半戦から物語の意図が明確になりこう、いい感じに終わりました
牙狼を受け継ぐもの無き世界で
牙狼シリーズはマルチバース設定を採用しているので
「この世界では○○家が牙狼の後継者になった」って感じで話が変わったり
時代が変わったりするわけなんですけど。
今回の世界は「牙狼の後継者が完全に途絶えた世界」というかもはや
「牙狼シリーズの常識をしっている人が登場人物の誰もいない世界」とまでいってしまえる大胆すぎる世界。
明らかに「作ってる側が牙狼をよく知ってるからこそあえて作れる、牙狼を知らない人間しかいない世界」という作り込みが異常なレベルに到達しており、シリーズお馴染みのソウルメタル(持った人の気持で重さが変わる)の持ち上げ方すらわからなずに高位の法師が「選ばれしものか一番強いやつしか抜けないんじゃろ」みたいなトンチンカンな知識をお出しする始末。
この世界観の魔戒騎士たちはどうやってホラーを狩ってるんだろう?レベルで継承者が途絶えている状態で本当にどうしようもない。
しかしながら、本家牙狼シリーズが映画月虹の旅人で完結し 令和最初のドラマ牙狼シリーズ一発目として「誰も正しい牙狼を知らない世界」を繰り出してくることにはメタなエモさがある。
「守りし者」「継承される騎士の心」「陰我を断ち切る怒りの刃」
お馴染みの要素を全て間違って真反対に実践するデスゲームの黒幕
デスゲームに巻き込まれた一般人でありながらも「死んでしまった友人の思いを継承するために死ぬことは許されない」「何が守りしものだ!こんな誰もいない世界で誰を守るっていうんだ!」と牙狼シリーズ主人公としての正解にだんだん近づいていく久遠。
最後の戦い ついに力を貸してくれる牙狼の鎧を来た久遠が剣術の戦いで圧倒的に負けてしまうが、剣を捨て、本来のスタイルである素手の格闘に戻った時にラスボスを圧倒する姿に載せられる文脈はとても素晴らしい。
牙狼シリーズにおいては騎士の剣術は親から子へ師から弟子へ受け継がれ、剣裁きが身分証明になるほどに重要なもの。それゆえ何者でもない一般人である久遠が牙狼の剣術を使えるわけもないが。この戦いの中で死んでいった参加者たちの思いと技を受け継いだ「拳」だけは彼に残っている。
最後の戦いが終わり変わってしまった世界で「ただ生きる」とだけ答え
牙狼剣に背を向けて旅立つ、彼は継承権を得たが、人々を守る騎士ではなくただの一般人であるがゆえに…。
実際このラストはめちゃくちゃ良かった牙狼というものに誠実な終わりだったと思う、このまま久遠が牙狼をついだりしたらそれこそ台無しだったので。
それはそれとして
ここまでめちゃくちゃ良かった部分を箇条書きにしてきたし
面白かったならそこで終わっときゃいいんだけど。
牙狼VRは傑作というより怪作の棚に入る作品だ、以前の記事に書いた序盤のめちゃくちゃさに留まらず、主人公と親友の間にあるドラマを積み重ねないまま主人公の親友の死という一大イベントが起きてしまったりと尺の割り振りに不器用さが目立つ。
かといって駄作でもない面白さがあるのが不思議で、この「主人公と親友の間にあるエピソードをまったく描写していないが 役者さんがものすごく役にのめり込んで必死の形相で泣き叫ぶので とにかく二人にはそれだけの関係があったことだけは伝わってきてしまう」という 本来ならシナリオ構成の不備を指摘して終わるようなところに変な面白さが乗っかる謎の現象が多発しそういう部分も目が離せなかったりするし、牙狼VRという作品の個性でもあったと思う。
余計な一文だったかもしれないが、牙狼VRを毎週見続けられたのは後半戦こそ上の文に書いたようなシリーズファンに向けてのエモーショナルな面白さであったが、前半はずっと「それはそれとして」の部分の面白さに惹かれてのことだったのでそれを見失わぬためにも記しておきたい。
みんなも見よう 牙狼VR
そして気になったら歴代シリーズも見てくれ