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Simple / Natural and Looking Forwardー大貫妙子シンフォニックコンサート2024ー


せっかく三茶まで行くので、桜新町の”Autumn”に立ち寄りたかったが、ちょっと出発が遅れて時間がなくなったので、渋谷PARCOで細野正臣さん(のディスプレイ)に挨拶をしてから、人見記念講堂に向かう。

事前にいっぱいやろうかとも思ったが、地下鉄の駅で混雑してエレベーターを避けて階段を使ったせいか、あるいは初めて観る大貫妙子コンサートへの期待からか動悸が激しくなったので、会場前大学構内のベンチに座ってホールへ向かう人たちを眺めつつ、持参したサンペレを飲んで一休みした後に会場入り。

座席は1階11列、向かって左側の区域ながら通路に近い方、正面にピアノが後方から、その右手にセンターマイクが見える。ステージの後方はオケ楽団員で一杯なので、ドラムスを含むバンドメンバーの位置は最前列になっていて、随分と観やすい。あまり良席に当たらない身にとっては特等席に近く、再び心が弾む。

定刻17時の5分遅れでオケが入場。まずはピチカートで始まるインスト(ていうのかな?後からネットで調べると「カイエI」という曲だった模様)をゆったりと柔らかく奏でた後に、大貫妙子さんが左袖から、その他のメンバーが右袖から入場。

こんばんは、ゆっくり楽しんでください。
オープニングは”Tema Purissima”

最上級の純真無垢な音楽に浸る、
約1時間半の至福の時間が始まった。

個々の楽曲についてコメントするほど詳しくはないが、
前半は、「夏に恋する女たち」「黒のクレール」など人気の高い曲、
後半は坂本龍一との共作アルバム”UTAU”(2010)からの曲が多かったように思う。

オケとの共演という意味では、
管と弦がめくるめく陶酔の瞬間に導く「光のカーニバル」
オケとバンドの共演という意味では
地の底から響くティンパニの轟音にぶっといエレキギターを乗せた「グランプリ」
この2曲の演奏が最も心に残った。

訥々としたMCは、聞き取れなかったり聞き取れたり
イヤモニがうまく着けられないようで、
それをいじっている間、観客をハラハラさせたり
話しているうちに、どこまでやったか分からなくなったと言って
後ろにいた指揮の佐々木新平さんに教えてもらったり

そのどれもこれもが、今回3回目のシンフォニックコンサートが
千住明さんや坂本龍一さんがいた前2回とは異なって、
大貫妙子さん自身が手作りで創り上げたものであることを感じさせる。

アンコール時に最前列に座っていた人から出た
誕生日おめでとうございます!という声に応えて

ありがとうございます
どうしたって歳は取ります
過去には絶対に戻れない
だから前向きに生きていきます

その上で
「ピーターラビットとわたし」(オケのみ)
「色彩都市」(オケ+バンド)を。

これまで関わった人々の思いも引き継ぎつつ、
今、自分ができることを、無理をせずに、表現し続けていく
そんな気持ちを感じました。

今回は録画録音も入れずに、今、この時、この場所でしか共有できない音楽の原点に戻ったようなコンサートであったと思います。

コンサート終了後、公式SNSでつぶやかれていた「一期一会」という言葉が心に沁みました。

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