ファンド分析 SBI・i シェアーズ・米国短期国債 ファンド
1. はじめに
巷ではSBI VIG(正式名称=SBI・V・米国増配株式 インデックス・ファンド)愛称:SBI・V・米国増配株式が話題ですが、今回は同時に発表された「SBI・i シェアーズ・米国短期国債 ファンド」を取り上げます。
SBI VIGを記事にしたブログや投稿は結構ありますが、SGOVを取り上げたブログはほとんどありません。そもそもSGOVってあまり聞き慣れないETFですよね。同時に発表されたAGG連動ファンドのAGGは有名ですが、SGOVはマイナーかと思います。
今回はマイナーETFであるSGOVに着目したポイントをお伝えし、効率的な利用方法を提案します。
2. SBI SGOVの利用価値
最初に結論です。
SBI SGOVの利用価値は円建てのドル建MMFの効果を得ることが目的です。為替リスク有の円から投資できるドル建MMFのようなものです。
SGOVは期間3か月未満の超短期の国債を投資対象とするファンドです。ETFなので取引所で取引されますが殆ど価格は動きません。(債券は残存期間が長いほど価格が大きく変動する)
ブ ルームバーグの情報を確認すると、経費率は0.05%で、直近利回りは4.69%とのことです。毎月分配のETFなので直近は多分4月の分配を示していると思います。先日のFRBによる0.25%の利上げが反映されるのは5月・6月の分配からかと思います。
SGOVのこの金利水準は概ねドル建MMFと同一です。既にドル資金を持っている投資家はドルで直接ドル建MMFを買えばOKです。
円建で待機資金を寝かせておくのが勿体ないと考える投資家で、為替変動のリスクを負っても構わない投資家はSBI SGOVを待機資金置き場として利用する戦略が採用できます。
SBI SGOVは為替の影響を受けるのが可能であれば「円高」のタイミングで購入できると嬉しいファンドです。円高のタイミングで購入してFRBが来年以降、利下げに転じて金利の旨味が無くなるまで待機資金置き場として利用するのが賢い戦略となります。
なぜAGG連動の「SBI・i シェアーズ・米国総合債券 インデックス・ファンド」ではなく、SBI SGOVが良いかと言うと運用債券の「残存期間」が影響します。現状、米国の債券市場は大きな逆イールドが発生しており、短期金利の方が長期金利よりも高い状態が続いております。
しかも逆イールドの度合いが拡大しており1.5%~1.7%程度の開きが生じております。この様な場合、中長期の債券から得られる金利よりも短期債券から得られる金利の方が高くなります。よって3か月以内の国債を対象とするSGOVはFRBの政策金利引き上げの影響を享受することができ、高い利回りが期待できます。
注意点としてはFRBが利下げを開始すると追随して翌月以降、すぐに利回りが低下する点です。これは残存期間の短さという点がプラスにもマイナスにも作用することに起因します。
ここまでを整理すると以下の通りです。
・円資金の待機ファンドとして活用できる。
・為替が円高のタイミングで購入するのが良い
・米国の政策金利がある程度高止まりしている間、旨味が存在する
※尚、調べた範囲では国内の主要なネット証券ではSGOVは直接購入できないようです。
運用が開始されたら分かると思いますが、SBI SGOVは殆ど値動きがないファンドになるはずです。価格変動の要因は「為替変動」に尽きるかと思います。よって為替変動を許容できる投資家で米国の金利リターンを得たいと考える投資家に向いています。
具体的には先進国債券インデックスに連動する投資信託よりも緩やかな価格変動になるかと思います。今後、日銀は新体制のもとで異次元緩和の出口を探ることになります。
どこかの局面で円高が進む可能性も否定できません。そのようなタイミングで本ファンドを購入することが出来れば、低リスクで「為替差益+米金利」の両方を享受できる可能性があります。
私はすぐに飛びつくのではなく、為替のタイミングを伺いながら2~3年程度の待機資金置き場として活用したいと考えております。なぜ2~3年かというと、3年後には米国の政策金利が2%程度まで下がっている可能性が高いと考えているからです。2%程度の金利の場合、為替リスクを考えると積極的に利用するか悩みます。
今回はSBI VIGに隠れ注目度が低いであろう、SBI SGOVを円建待機資金として活用する方法を紹介しました。SBI Vシリーズを含む新商品の動画は下記を参照ください。