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2023年振り返り_書籍編


1. はじめに 

 本当は年末にポストする予定でしたが、年末は体調を崩してしまい半月ほど体調不良でした。ようやくリカバリ出来たので書き溜めていた記事をいくつかシェアいたします。 

 昨年同様、年末の振り返り書籍編を投稿します。参考になった書籍をいくつか紹介いたしますので是非、年始のお供として活用いただければと思います。

 2022年のお勧め書籍は下記の記事からご確認ください。流行を意識した選定はしておりませんのでいつ読んで頂いても得るものがある書籍です。

2. 投資・経済・歴史

 最初に紹介するのはレイダリオ氏の「世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか」(日本経済新聞出版)です。9月に出版されました。

 本書は世界最高峰のファンドマネージャーであるレイダリオ氏の投資を支える歴史的な世界観・経済モデルを説明した良書です。レイダリオ氏は投資家という顔だけでなく、歴史家という一面も併せ持つ知識人です。 

 歴史上の帝国の盛衰をサンプルに資本主義の原則・ビッグサイクルという大きな経済循環について分かりやすく解説しており、覇権国家の盛衰が経済・投資にどのような影響を及ぼすのか詳しく考察されています。 

 投資テクニック本ではなく教養本に近い立ち位置の本となります。ボリュームもかなり多く纏まった時間が確保しやすい年末年始の課題図書にお勧めです。特に大きな視点で世界経済の循環を理解したい投資家にお勧めです。 

2. ライフマネジメント・人生設計

 ライフマネジメント分野からは橘玲氏の「シンプルで合理的な人生設計」です。橘氏は好き嫌いの分かれる作家かもしれませんが、歯に衣を着せぬストレートな物言いや誰もが避ける話題に切り込む点が素晴らしいと感じます。 

 本書は前書「幸福の資本論」の続編となります。本書では「金融資本・人的資本・社会資本」という3つの異なる資本について「合理性」という切り口で著者独自の視点で解説しています。

 金融資本は合理性が強く作用し、次に人的資本と続き、最後に社会資本となります。昨今の投資ブーム・FIREブームの中で、“とにかく金融資産を貯めればいい”と考えている方は是非一読をお勧めします。人生設計の視野が広がります。 

以下は本書からの抜粋です。

・選択とは「有限な資源の配分問題」で、意思決定の目的は、「短期的にも長期的にも幸福度(効用)が最大化するような資源の最適分配を達成すること」だ。
 
選択を避けるもっともシンプルな戦略はお金持ちになること
 
成功者と言うのは「自分の能力を効率的にマネタイズしているひと」
 
競争の本質は競争しないこと。

ナンバーワンになれるオンリーワンの場所をかくとくしなければ生き延びることが出来ない。

戦う場所は絞る、しかしオプションは捨てない
 
人生100年時代には、「好きな仕事をずっと続ける」ことが最適戦略になる

シンプルで合理的な人生設計から抜粋

 もし著者の考え方が肌に合っていると感じたなら、橘氏の過去の書籍も読んでみることをお勧めします。有益な情報が専門書のような難解な表現ではなくシンプルな表現で解説されており、実用性の高い内容となっています。 

3. 投資教養・マインド

 資産運用を支える教養本としては「JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則」をピックアップします。これは昨年紹介した、「サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット」に似た感じの書籍です。 

 投資初心者の方が投資を継続する支えとなる考え方が詰め込まれています。今年から新NISAが開始されます。これを機に資産運用を開始してみようという方も多いかと思います。

 投資初心者の方は相場の変動やメディアの情報によって戦略がコロコロと変わってしまいがちです。本書はそのような軽率な行動の戒めとしても作用します。 

 本書が気に入った方は是非、「サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット」もあわせて一読ください。 

4. 社会・格差

 次は社会問題としての「格差」に焦点を当てた「格差と階級の未来 超富裕層と新下流層しかいなくなる世界の生き抜き方」です。本書は2019年に出版されましたが、内容は全然古くありませんでした。2023年時点でも問題なく通用する内容です。 

 本書では「富の食物連鎖」という概念に基づき、人間社会の生態系を解説しています。経済的視点に基づいたこの生態系では、資本家→経営者→労働者の順で序列が定まっております。 

 本書のテーマや論点に関心がある方は「資本論」や「21世紀の資本」などの資本主義と資本主義が及ぼす影響に関して論じた書籍を読んでみることをお勧めします。資本主義と格差は切っても切り離せない関係です。 

 私たちは資本主義に併存する格差と上手く付き合っていく生き方を学ばなければなりません。これは一種の妥協かもしれませんが大きな社会のルールの中でどのような生存戦略を描くかを考える必要があります。 

資本主義が加速するとピケティが指摘したように上位1%が多くの富を有することで格差が拡大します。国家としても資本主義の負の側面である格差にどう対処するか真剣に考えなければなりません。なぜならグローバル社会では中流が下流に転じるのはある意味で必然だからです。(そこで必要となるのは意味のある再分配政策です) 

 直近では日本でも社会保障の文脈で金融資産課税の検討について新聞記事で触れられましたが、資本主義において格差は必然であり安直な結果平等は悪手でしかないことを肝に銘じる必要があります。

 他にもお薦め書籍がございますが、別の機会に紹介させていただきます。

 

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