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なぜFX裁量取引をあきらめ、EAを使っているのか

MACDとボリンジャーバンドを組み合わせた自作EAを使っています。このEAはEURUSDのみでプラスの成績を収めます。ほかの通貨ペアで、バックテストしたところ、散々な結果でした。作った本人でも理由は分かりません。
5万円からスタートし、わずか8週間で42万円まで到達しました。しかしその後、2日間ほど戻りがない上昇相場になってしまい、大幅な損切を余儀なくされ、残高は14万8千円にまで減ってしまいました。そこから4週間経過し、現在では21万5千円にまで回復しました。

前回の上昇相場があと数日、いや数時間続いていたら、間違いなく口座破綻していたでしょう。私は僥倖に助けられたにすぎません。
そこで反省し、もっと安全に運用するにはどうすべきかを考えました。つまり、儲けることは当然ですが、退場しないことを優先して考えるようになりました。

このEAの特徴は、レンジ相場、または戻しながら上昇/下降する相場には実力を発揮します。逆に、一本調子で上昇/下降する相場は苦手です。つまりマルチンゲール手法とGrid手法を含んでいるナンピンEAなのです。ただし、ナンピンできる回数を外部入力できるため、ナンピン回数=0に設定すれば、ナンピンEAではなくなります。

期間やイニシャルの所持金額を変えて、複数回バックテストしたところ、MACDとボリンジャーバンドの最適なパラメータの範囲は、割と簡単に確定できました。一般的な証券会社のウェブサイトで多く紹介されている、デフォルト値が正解でした。
バックテストにおいては、初期金額の多寡によりアウトプットが大きく異なります。最小ロットでエントリーしても、連続して損失がでれば、所持金が少ないほど破綻しやすいからです。今回はロバストテストでもあるため、少額の100USDスタートで試験します。

①ナンピンの最大回数、②ナンピンの幅(pips)、③エントリーロットの増加関数、の3つのパラメータを最適化しようと試みました。
期間を変えて、50回ほどバックテストをしました。与件として、最大ドローダウンは50%としました。これは極私的な理由です。経験上、私がパニックになる/ならない、の閾値が50%なのです。

その結果、収益を最大化するパラメータの範囲が分かりました。
①ナンピンの最大回数=7回から9回
②ナンピンの幅(pips)=310pipsから410pips
③エントリーロットの増加関数=係数34から39(関数の詳細な形式については割愛します)

ここから計算すると、必要残高は、たとえばLot=0.02のときには5万円、Lot=0.1のときは54万円となります。この値が線形にならない理由は、残高などのパラメータに応じて、Lot数が変更されるためです。

①②より、上昇または下降が2,170pipsから3,690pips程度で収まってくれれば、最大DDが50%以内でしのぐことができます。じっさいのEURUSD相場では、日足チャートを見ると2,000から4,000pips程度のトレンドは、しばしば発生しています。ただ、その多くが戻しをつけながらの上昇/下降であるため、甚大な被害は出にくいです。

例外的に2017年4月から2017年12月までの9ヶ月間は、戻りがなく、2,000pips上昇しています。このようなブラックスワンが現れると、厳しいです。2017年はバックテストの開始日によっては通年で利益が出ませんでした。

面白いことに、2017年の上昇相場を境にして、最適なパラメータが大きく変わりました。
参考までに、2017年以前の最適なパラメータは、
①ナンピンの最大回数=5回
②ナンピンの幅(pips)=260pipsから310pips
③エントリーロットの増加関数=係数9
となります。

2017年以前はパラメータの分散の幅が小さく、2017年以後はパラメータの分散が大きくなっています。私のEAのクセによるものかもしれませんが、もしかするとマクロ要因かもしれません。
仮説としては、2017年を境に、市場に多くの売買ロジックが投入されたというものです。おそらく商用AIの普及が大きいと思われます。ということは今後もパラメータの分散が大きくなることが予想されます。
これからFXや株式や暗号通貨を始める人は、まずはAIでEAを数十個作ることから始めるべきだと思います。MQLが分からなくても、カンの良い人なら、AIに指示して、1時間に1つのペースでコンパイルできるでしょう。ロジックの異なるEAを複数同時に作動させると、1+1=3になったり、1+1+1=マイナス5になったりします。この現象はポートフォリオ理論に似ています。今後はEAのカンブリア爆発が起こり、世界では数十億から数百億のEAが24時間稼働することになります。そして市場に最も適したものが生き残る、ダーウィニズム的競争が起こるでしょう。

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