熊本に新球場「官民分担で」 アマ12団体が独自構想、県に提言へ 整備費110億円想定、一部を民間が負担
この話はやはり「藤崎台球場をどうするか」に関連していて、「有識者」による会合や火の国サラマンダーズによる「調査」も行われている。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkk/1385997?display=1
https://nishispo.nishinippon.co.jp/article/796451
藤崎台球場は私がまだ子供で、両翼90m程度の球場が普通だった時代から「広い球場」として全国のプロ野球ファンに名前が知られていた。
もっとも「広い球場」は今のスタンダードなので、何らポテンシャルにはならないのだろうが、改めて地図で見ると、これ以上ない良い場所にある。
この球場がプロ野球(NPB)チームの本拠地だった事がないから、地元の人はその凄さに無関心なのかもしれない。
「新球場」の話になると大抵のファンは前のめりになるが、藤崎台球場を放棄する事には賛成できない。NPBの球団が本拠地にするというアドバンテージでもない限り、どこに新球場を造るにしても、今より劣る場所に、今よりスケールダウンした球場を造る事になると思う。マツダスタジアムでさえ、場所の良さでは旧市民球場に遠く及ばない。
新球場は熊本駅の近くを想定しているとも言われているらしいが、藤崎台球場は熊本城が近く、市電が取り囲む正に「熊本の街」と呼べる場所にあり、求心力が違う。熊本駅前の、何かの跡地に一大ボールパークを開発する事も出来るのかもしれないが、それは「熊本の街」と呼べるものだろうか。
地元の人間では全然ないが、街のランドマークが「老朽化」を理由に壊され、跡地にマンションが立ち並ぶという悲惨な光景は想像したくない(市が管理する土地らしいからそれはないか)。
ヤクルトの村上宗隆選手が、郷里である熊本県の蒲島知事に「新球場の建設か藤崎台球場の改修」を「お願い」した事があったが、「藤崎台球場の改修」が第2候補のように出て来るのは、やはり愛着というか無意識なものではないだろうか。
ある県議会議員が、新球場をJリーグのスタジアムがある「熊本県民総合運動公園」に、という事を言っていたが、この公園は市街地よりも空港の方を向いており、Jリーグのクラブがどういう意図でここをホームにしているのかは知らないが、「地元の人たち」に来て欲しい筈の、スタジアムの趣旨に合わないように思う。
かって「企業の広告塔に過ぎない」などと言われてきたプロ野球が、半世紀以上の歴史を経て「事業」として成り立つようになってきている。そうなると当然、興味を示す上場企業が出て来て、現行の12球団も閉鎖的な「サロン」ではいられなくなってくる可能性はある。エクスパンションに関してNPBは頑なに否定しているが、NPBの方向性がNPBの思惑だけで決まるわけではない。大阪府警のように「開けんかい!」とガンガン扉を叩いてくる「外からの力」が常に歴史を動かしている(?)。
これから2万人以上を収容する「野球場」を造るなら、その可能性を視野に入れて欲しいのだ。だから陸の孤島のような場所には追いやらず、建造物の「長寿命化」の技術が注目されている昨今、そうした歩みと歩調を合わせ、「場所」というこれ以上ないポテンシャルを放棄しないで欲しいと思う。