高校野球 7イニング制導入検討に超名門強豪校出身の元プロが猛反対 「その前にやるべきことがある」 DH制、リプレー検証導入は賛成
7イニング制に関しては私も反対。「野球は九回までやるものなのだ」と硬直した事を言いたいのではない。時間を短縮するのが世界の潮流である事は理解できる。クリケットも1イニング制やオーバー制が主流になっている。
しかし、時間短縮が目的なら7イニングではなく6イニング制を導入して欲しいという話。
打者は9人で9イニング、3ストライクで1アウト、3アウトで攻守交替。野球は3の倍数で推移しないと歪が出る。それに「3イニングハーフ」であれば他の競技のようにまとまったハーフタイムが取れるし、戦術も立てやすい。「前半五回を終了し」などと耳を疑うような実況が野球界では普通に行われている事に違和感を感じてはいる。せめて「五回表」終了をもって「前半」と言えないのだろうか。
象徴的なのが「規定打席」だろうか。MLBもNPBも「試合数 × 3.1」を規定打席数としているが、これは9イニング制ならば一番から九番まですべての打者に必ず回ってくる打席数が「3」である事と、「+0.1」に関しては「日常的に途中で代えられるような選手はレギュラーとは言えない」と言う思想が込められているらしい。厳密なのかどうかはともかく、わかりやすく、共感もできる。
対して7イニング制だと、必ず3打席が回ってくるのは「三番打者まで」であり、その時点で不公平だ。もちろんそれは「完全試合」が行われた場合に限られるが、例えば四番打者にとって3打席が回ってくる事が前提ではなく展開によるものであるのはやはり筋が通らない。
7イニング制だった女子プロ野球では規定打席は「試合数 × 2」だった。ソフトボールのJDリーグでは「試合数 × 2.1」としている。意図がわからないわけではないが、三番打者までと四番打者以降の「条件の違い」が吸収されているとは思えないし、吸収しようがないだろう。
高校野球には規定打席などないから良いだろう、という意見もあるとは思うが、9イニング制の野球で四番を打ってきた打者のプライドや心構え的な部分に影響はないだろうか。
それと中田氏が言う「七回から始まる終盤の3イニングが野球の醍醐味」は六回までの攻防が前提だ。だからこそ、七回以降に「勝負をかける」事ができる。7イニング制は中途半端にこの趣を削ぐ。
それに対して6イニング制ならば野球の質が大きく変わる。先発投手は最初から飛ばすだろうし、打つ方も早くから仕掛けるようになる。限られた時間にエネルギーを使うのでダレた部分が少なくなる。怪獣映画に例えると開始10分くらいでゴジラが出て来るようなもので、それもアリだろう。試合時間の短縮だけでなく、1チーム当たりの選手数も削減できる。
「6イニング制野球」という新しいジャンルとして興し、成長させる意義は十分あると思う。大学や独立で6イニング制野球を採用するリーグがあっても良い。それに対して7イニング制は中途半端でどうにも据わりが悪い。
要は、中途半端な事はしないで欲しいという話。
DHに関しては、賛成反対以前に高校野球には「必要ない」んじゃないか、という意見ではある。「エースで四番」が普通にいるのだし。
エースに打たせたいならDHを使わなければ良い、と言われるかと思うが、練習試合ならともかく公式戦では双方が同じ条件で戦う事がやはり原則なのではないかと。