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野球ものの名文・名セリフ(17)

 乃枝はきりっとした顔で、バナナのすばらしさに関して熱く語るべく口を開いた。こういうときの乃枝は目がきらきらしていて、なんというか「神々しいかわいらしさ」とでもいうような不思議な雰囲気を発する。途中でしゃべることは小梅の小さな脳みそではどうせわからないから、結論が出るまで乃枝のきらきらした表情を眺めることにしている。

神楽坂淳『大正野球娘。~土と埃にまみれます~』

 漫画とかアニメとか色々メディア展開された有名な作品だが、原作を読んでみると割としっかりした小説なので好感が持てた。時代が大正末期という事で「日本運動協会」等の事にも触れているかと思いきや、それはなかった。できれば当時の野球事情についてもっと触れてほしかったところ。

 紹介した一文には、主役である小梅たちの微笑ましい友情というか、作者の優しさが良く出ていると思った。


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