【西武】松井稼頭央監督が休養「私の責任」最下位低迷 渡辺久信GMが28日中日戦から監督代行
堤前オーナーなら絶対許さないであろうこの失敗は「松井稼頭央監督就任」という既定路線を、途中で軌道修正する勇気が球団になかった事が原因であるように思う。
今はどの球団も知名度のあるOBが監督に就任するのが主流になっている。その方がファンが喜ぶし、あまり思い切った人選をして失敗した時のリスクを球団のお偉いが恐れているという事もあると思う。
松井稼頭央はスター選手だったから、ファンの多くは彼の監督就任を期待していたし、現に監督として低迷している現状でも彼を支持する声が主だった。彼が二軍監督として成果を挙げられていない時点で、あるいはその他の時点で「軌道修正」するチャンスはあった筈だが、ファンの「松井監督が見たかったのに」というブーイングの方が怖かったのかもしれない。
昔のファンには「名選手名監督に非ず」という考えが身についていたが、今のファンは「OBでスター」以外が監督に就任するのを嫌う傾向があるから、球団のお偉いの気苦労も理解はできる。
が、この状況では納得してもらうしかない。「この戦力では、松井監督が辞めたからといってチーム状態が上向くわけではないでしょう」とまだ松井監督をかばう声は大きいが、あくまで「この低迷の責任を取って辞めてもらう」のであって、その後チーム状態が上向くかどうかは別の問題なのだ。
では今後「上向く」か。二軍のスタッフは戦力を育て、一軍に送る事が「成果」だ。彼は二軍監督としてそれができなかった。ではドラフト戦略がまずかったのかというと、どうだろうか。
私はアンチ西武だった頃から、「西武のドラフト」は凄いと思っていた。近年では呉念庭がショートのレギュラーに定着しかけていたにもかかわらず源田を指名した。「源田」が毎年出現するわけではないからだ。そしてリーグを代表するショートにのし上げた。去年は打者が一番の補強ポイントの筈なのに武内投手を指名し、すでにエースの活躍を見せている。
この、「補強ポイント」よりも「選手の実力」を優先し、実力ある選手を獲るためには「補強ポイント」など割と平気で覆す姿勢に共感し、頼もしく思っている。そんな編成の顔触れはさほど大きく変わっていない筈である。「西武のドラフト」が、ここ数年でそんなに急速に劣化するだろうか。
本当にそれだけの戦力ならこの成績も仕方ないのかもしれないが、人間の仕事である以上、使う側、育てる側の意欲や能力は反映される。言葉は悪いが「もう少しマシな人」が指揮を執れば「もう少しマシな結果」になっていた筈なのだ。
渡辺GMは今の球団で唯一、現場で指揮を執った経験のある人だから代行としては今できうるベストな人選だとは思うが、今シーズンいっぱいだろう。
後任は?というのが今シーズンのこれからよりもある意味ファンの関心事だと思う。昔は、球団のお偉いの学閥とか同郷とか、そういう、ファンからは見えにくい線で監督が選ばれる事が多かった。今は、球団内での内部昇格(その球団で選手として活躍した人)が多い。
どちらが良いかは一概に言えないが、かってヤクルトの相馬球団社長が、純粋に「理論に惚れ込んで」自軍と縁もゆかりもない野村監督を招聘したようなケースが本当はもっとも理想だと思う。内部昇格の理由には「チーム事情を熟知している」というのが多いが、能力ある指揮官はチームを一目見れば「事情」は理解する。漫然と「熟知」している凡将よりも深く、的確に。かって野村監督がヤクルトを、星野監督が阪神を、広岡監督が西武を、バレンタイン監督がロッテを、ヒルマン監督が日ハムを変革した。人はそれを「外様」と呼ぶが、西武はそんな指揮官を呼べるだろうか…。