マスターズリーグ復活を妄想する話
昔あったマスターズリーグを、復活させるならこんな風に、という話。
と言っても、本拠地がどうとか、この選手はこのチームとかではなく、思想とか、コンセプトとか、そういう話。
マスターズリーグという発想が面白いので、初年度(2001年)の11月に西武ドームへ行った。東京ドリームスは高橋直樹が投げていた。子供の頃は彼の大ファンだったので、その華麗なアンダースローをいつも真似していた。その高橋直樹の、実に久々の勇姿である。良い時に来た、と思った。
しかし、仕方のない事だが、アンダースローとは呼べないほど腰高になっていた。それでもテクニックは生きているので、キャッチボールのような軽い投げ方でも不思議と名古屋エイティデイザーズ打線を抑えた。高橋直樹のヒーローインタビュー。本当に何年ぶりだろう。プロ野球の大先輩に対してこういう言い方は何様感があるが、合格点を与えられる内容だった。
そう、マスターズリーグと言えど、選手はあくまで戦力である事を最優先に考えて欲しいのだ。名前通り「マスターズ」として位置付けるには、「マスター」ならではの何かを見せる必要がある。
結論から先に言うと、マスターズリーグとは、当時マスターズながら140km/hを投げてファンを驚かせた村田兆治(故人)のような人のためにあるものだと思う。もちろん140km/h出せとかいう事ではない。それでは選手がいなくなってしまう。要は、「ちゃんと野球の動きができる」人達でやって欲しいのである。
なぜかというと、村田兆治のように現役を退いた後も、鍛錬を怠らずアスリートであろうとした人達もいるからだ。いくら現役時代に名のある選手だったとしても、引退したとたんに太りだすような人が出て来るとかえって幻滅してしまう。逆に、マスターズリーグの選手として十分な動きができるのならば、現役時代の実績はまったく問わない。旧マスターズリーグにはそういう選手もいたが、もっとたくさんいても良い。
往年の名選手が登場するというのがマスターズリーグの第一の売りだったと思うが、年齢的にどう考えても無理はさせられないという人もいる。またそういう人達に野球そのものができるとしても(実際還暦野球というものもあり、下手な若いチームより強かったりするが)、引退して間もない三十代の選手と同じ土俵でやる事に無理は無いだろうか。
もちろんどんな世代のリーグがあっても良いが、明らかに身体能力に差がある編成は、普通のスポーツでは当然問題になる。
プレーの質などは度外視した、往年の名選手が登場するイベントは十分価値があるし、楽しい。しかしそれは単発のイベントとしてやるから面白いのであって、少なくとも5チーム総当り40試合のリーグを作ってまでやるものではないと思う。第一、飽きられる。
要は「マスターズ」を名乗って行う以上、それにふさわしいものであって欲しい。少なくともゴルフや競泳の「マスターズ」に対して恥ずかしくないものであって欲しいのだ。ましてやお金を取って行う以上は。
逆に「マスターズ」が高い質を保ち、当たり前のように定着すれば、何だかんだ言っても「新興」のスポーツである野球のステータスも上がるように思える。引退後、半端なタレントになるよりもそこでプレーする方が尊敬される。そんなマスターズリーグがあったらと思う。
例えば、こんなストーリーを妄想している。
そんな、マスターズならではのドラマが観たい。
ついでに体制レベルの話を。ドームを本拠地にという事ならば、西武ドームにチームがあっても良い気がするが、冬場にやる事を考えるとやはり無理か。ならば大館樹海ドームを本拠地に、東北出身の選手を集めたチームを作るのはどうだろう。広さもキャパも、マスターズリーグには丁度良い気がする。そんなつまらない話も付け足しておきたい。