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ファンタジーのすすめ<LEAPバトン03>


Rexメンバーに「LEAPな思考を生み出すための習慣や日頃大切にしていること」を聞いていく企画「LEAPバトン」。第3回スタート!

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アカウントディレクターの湯浅です。

「言ってる意味がわからないです」
「なんとなくわかったけど、それどうやってやるんです?」
と社内のブレストで言われることが多々ありますが、どうやら私は情景から発想することが多いようです。

情景のストックは、本や映画だったりしますが、一番は妄想と体験。
今日は、私の妄想歴と体験の話をさせてもらいます。

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海を見ながら海藻サラダを食べる

中学高校と興味に対してとても貪欲な少女時代だった。
だいたい、部活も一緒で親友のゆりちゃんと一緒。

「ねえ、海を見ながら海藻サラダ食べたらどんな気持ちになると思う?」
早朝、靄がかったいつもの場所で待ち合わせをし、コンビニで海藻サラダを買い、部活の朝練を兼ねて海へ。
通っていた中学は裏に海岸があった。海の匂いも、波の音もする。

日本海の潮風を受けながら食べた海藻サラダは、特に何かの気持ちをもたらすことはなかった。
なるほど、こんな気持ちかと妙に冷めながら、ザバーンという荒々しい波の音のなか寒さに凍えながら食べた。

またある時は、
「国語の●●先生って地底人に似てない?校舎のどこかに、先生が地底と出入りしてる穴があるかもしれないから探しに行こうよ。」と、
しばし昼休みは、ゆりちゃんと一緒に「ここかな?」「案外このへんかな?」と、先生の穴を探しに出回っていた。
不可思議な行動は周囲から奇行に見えていたかもしれないが、半分妄想の世界に生きていることが楽しかった。

ギリギリアウトかもしれないので人様にはあまり言わないが、私はそういった妄想がもたらす体験を今もひとりで続けている感覚でいる。
世の中は、わくわくしようとすれば、いくらでもわくわくできる。
それは仕事の案件も同じかなと思う。

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[大人になり、娘と訪れた海にて。]​​

秘宝館

大人になってからは、秘宝館にとても心惹かれた。
今や絶滅の危機に晒されている秘宝館だが、私がファーストインパクトを受けたのは鬼怒川秘宝殿。2014年に閉館してしまった。

女友達と2人、興味本位で入ったのだが、隣でやってる食堂のおばちゃんから「あそこは怪しいから行かない方がいい」と言われるなど明らかに周囲からも孤立した施設のようだった。

中は圧巻だった。
ヤマトタケルノミコトから始まり、博物館らしく歴史に沿ってコンテンツが進んでいくのだが、動く人形の数々、目をそむけたくなる像の数々、滝がでてくるなど大掛かりな仕掛け、そのどれもが全て、くだらない発想がベースにあった。
ひと昔前の、べろんべろんに酔っ払ったおじさんがする、信じられないような下世話な冗談がそのままコンテンツになったような。

こんなにもくだらない発想を具現化するために、どれだけのお金とどれだけの労力をかけたのだろう。
昔は団体旅行客が多数訪れたのかもしれないが、今はもう団体もこない。
時代から置いていかれたコンテンツの数々は、私にとって限りなくアートに近かった。

だれが、なんのために?それを思えば思うほど、謎に高いクオリティと圧倒的な規模感・世界観には感動するばかりだった。

そんな感動をよそに、頭にバンダナをした中島らも風の館長が、ひとつひとつ丁寧に解説してくれた。
とても都会とは言えない場所で、周りから怪しまれながらも何十年このコンテンツを守ってきたのだろうと思うと、尊敬の念しかなかった。

この体験以来、目的や意味という概念の外にある面白さは、私の心を捉えて離さない。
夢想の具現化。そこに携わる人の姿もまた幻想文学内の登場人物さながらのようだった。

ちなみに弁明のようになるが、私は特に下ネタ好きというわけではない。
帰りに男性器と女性器を模した飴をもらったが、どちらも一緒にいた友達にさしあげた。

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[棺桶に入る。こちらは伊香保の秘宝館にて。]
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まじめな概念を外した楽しさ

私には娘がいるが、子供の世界はファンタジーそのものだ。
思ってもみないことが脈絡なく出てくるのは、まさにLEAPかもしれない。

先日、標識の意味を学校で習ったらしく、一緒に歩きながら目に映る標識を解説してくれた。
その中で「じゃあこれは何?」と一方通行標識を指差すと、
「お空に上がったらダメです」だそうだ。

たしかに、誰がどう見ても矢印は真上を向いている。
言われてみれば、私にはいつから直進を意味するように見えたのだろうか。
(ダメです、としたのは恐らく標識=禁止事項、という頭があるからだろう。)

彼女がそう思うなら、お空に上がれる世界があってもいいし、お空に上がれるけど禁止されている場所があったっていいじゃない。
大事なことは、「お空には歩いて上がるの?雲の上で何したりするの? へ〜それいいね。」と、その想像を共有して楽しむことだ。

こうして想像したことが具現化していくならば、世界は案外いろんな人のファンタジーの複合体かもしれない。

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[この標識は、娘にとって「お空に上がったらダメです」を意味する。]


自分だけが楽しい空想や体験、「誰の役にたつ?」「何のために?」という真面目な概念を外した楽しさ。
それらがふと情景として浮かぶ時、跳躍へのヒントになるようだ。

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バトンは西尾さんにお渡しします。

飛び抜けたものをたくさん持ってて驚きますが、圧倒的に欠落している何かも感じる(けどそれが何か分からない)、不思議な魅力のある西尾さんです。

アカウントディレクター・湯浅祐佳


イラスト:たなべあかね


▼LEAPバトンとは


▼前回のバトン アシスタントデザイナー・豊田メル


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