デザイナーが選ぶ、魅力的なフォントとは?
こんにちは、ラナエクストラクティブ(通称: Rex)広報のしまだです。
それぞれフォントには、「堅い」「カジュアル」「ポップ」「優雅」など個性があり、デザイナーは与えたい印象やそのブランド・企業等の歴史、今後の展開など様々な要素を踏まえてデザインをしています。
今回は「フォント」の世界の入り口に触れてみるべく、Rexメンバーに好きなフォントを聞いてみました。また、後半ではそんなメンバーが手掛けたWebデザインをフォントに注目して見てみます。
気軽に色々なフォントを知るきっかけや、デザインする際の参考にしていただけると嬉しいです!
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Rexメンバーに、好きなフォントを聞いてみた。
デザインをする際に優先されるのは、そのブランドや企業の(与えたい)印象、ユーザーの好みなどで、制作者自身の好みは注目されることはありません。そんな、いつもは二の次である制作者たちの好みをここでは聞いてみようと思い、メンバーに好きなフォントの特徴や魅力を語ってもらいました。
1. GT Sectra
回答者:デザイナー・S
▼フォントの特徴
斜めの直線のラインが特徴的で、鋭くクセの強い印象を受けます。エッジィなデザインで見かけることが多いので、とんがった印象や個性的な主張をしたいときによく用いられる気がします。
▼そのフォントの使用事例
ユニクロの『LifeWear magazine』。プロダクトデザイナーAndrew LeguayさんのWebサイト。など。
▼そのフォントの魅力、好きなところ
直線のラインが美しくて好きです。もともとは海外のクリエーターのサイトなどで見て知ったのですが、最近ユニクロの『LifeWear magazine』で印象的に使用されているのを見て、これまでとは違った印象を受けました。こういった多くの人が見る媒体での使用にも耐える懐の深い側面を知ってまた好きになりました。ギャップ萌えというやつですね。
2. 貂明朝
回答者:アシスタントデザイナー・T
▼フォントの特徴
2017年にリリースされたアドビオリジナルの和文書体です。江戸時代の瓦版印刷に見える運筆の特徴も取り入れた、伝統的な趣もありながら、愛らしい明朝体。タイプデザイナーの方が制作された鳥獣戯画を彷彿とさせる、絵文字がフォントの中に含まれています。
参照:Adobe Fonts
▼そのフォントの使用事例
絵文字がほんとうにかわいいので話を続けてしまいますが、アドビ公式でマグカップや缶バッジなどをグッズ化されていているのがよかったです。こうやってファンを増やしていくんですね!
▼そのフォントの魅力、好きなところ
フォントにマスコットキャラクター的存在がいることが衝撃でした。2018年にバージョンアップされ、干支の動物たちがカラーで追加されています。制作の際、絵文字使用する機会はあまりないかもしれませんが、フォントの中にこの絵文字が隠されているというだけで、愛着が沸いてしまいます。戌は2種類あるのはどうしてなんでしょう…?
3. Univers
回答者:アートディレクター・A
▼フォントの特徴
[1957年にスイス人アドリアン・フルティガー (Adrian Frutiger) によってデザインされ、フランスのデュベルニ&ペニョー鋳造所から写植活字として発表されたラテン文字のサンセリフ体書体。欧米諸国をはじめ世界中で広く使用されている。]
参照:Wikipedia
▼そのフォントの使用事例
スイス インターナショナル エアラインズ。HelveticaやFrutigerに押されてあまり目立った事例がないのが残念です。
https://www.swiss.com/jp/de/homepage
▼そのフォントの魅力、好きなところ
初めてのデザイナーとしての上長がデザインに使っていて、カッコ良かったので印象に残っています。Helveticaばかりが使われることが多い中で、それらと同じくらい読みやすく使いやすいフォントとして自分の中に存在しています。使っているPCにインストールされていないのでここ数年使用していないのが正直なところですが、いつまでも好きなフォントのひとつです。
4. Bernhard Fashion
回答者:デザイナー・M
▼フォントの特徴
Lucian Bernhardさんが制作されたフォントで、かたちがかわいいです。アールデコの雰囲気があり素敵です。
▼そのフォントの使用事例
フランスのカフェの看板として本で紹介されていました。
▼そのフォントの魅力、好きなところ
個性的で目を引く、レトロな雰囲気のある形状。
5.Garamond
回答者:アカウントディレクター/プランナー・Y
▼フォントの特徴
古典からある伝統的なフォント。昔(活字の頃)の書籍本文に用いられるスタンダードな書体のひとつとききました。
▼そのフォントの魅力、好きなところ
ごくごくスタンダードでありながら、洗練されたスタイルの良さを感じます。Timesほどの生真面目さもなく、TRAJANほどの主張もないけど、小さな級数でちょこちょこっと打つだけでも文字としての佇まいがあり、美しくかわいい。
6. Avenirシリーズ
回答者:アートディレクター・I
▼フォントの特徴
洗練されていて、優しさを感じるフォントです。
▼そのフォントの使用事例
弊社、ラナエクストラクティブのWebサイトでは、Avenir Nextのウェブフォントを使用しています。
▼そのフォントの魅力、好きなところ
美しくモダンでウエイトも豊富なので使い勝手が良いです。
フォントに注目!なWebサイト
前半では、Rexメンバーに好きなフォントの魅力を語ってもらいました。後半では、そんなメンバーが手がけた事例の中から、フォントに注目してデザイン紹介をさせていただきます。
1. まるまるまるもりプロジェクト プロジェクトサイト
宮城県伊具郡丸森町をフィールドに、移住起業家を募集し、サポートするプロジェクトのWebサイト。Rexは立ち上げ時より、プロジェクト全体のクリエイティブディレクション、企画運営、各起業家サポートなどにも関わっています。
このWebサイトで使用しているフォントは、砧書体制作所「丸丸ゴシック BSr」です。丸森町が持つ雰囲気の柔らかさ・あたたかさを表現する書体を選んでいます。また「まるまるまるもり」というプロジェクトにぴったりの「丸丸」という名前がついているところも選んだ理由のひとつです。
サイトのデザインは、日本の・宮城県の・ちいさな町ではじまるプロジェクトにふさわしい縦組みのテキストレイアウトを採用。縦長のまるもり柄イラストと親和性の高いデザインを心がけました。(アートディレクター・A)
2018年には「たてよこWebアワード」で最優秀賞を受賞しました。
▼Webサイトはこちらから
▼丸丸ゴシック BSr
2. 深川製磁ブランドサイト
明治時代から続く、宮内庁御用達ともなった有田焼の窯元「深川製磁」のブランドサイト。「フカガワブルー」と呼ばれる鮮やかな青と、うつわの透き通るような白を基調としたシンプルなデザインで、深川製磁の製品へのこだわりと誇りを表現しました。
深川製磁は1900年のパリ万博で金牌を受賞した、フランスに縁のあるブランドです。そのため欧文書体には、Adobe Fontsの「Adobe Garamond」という、フランスのタイプデザイナーClaude Garamontが作った書体からインスパイアされたフォントをポイントで使用しています。
また、和文書体は「凸版文久明朝」という縦組みの可読性を第一に考えられたフォントを見出しのワンポイントとして縦組みレイアウトで使用。
本文には「秀英角ゴシック銀」を使用。本文での見やすさと、書体が持つクラフトな印象を深川製磁のクラフトマンシップと重ねて選択しています。(アートディレクター・A)
▼Webサイトはこちらから
▼Adobe Garamond
▼凸版文久体
▼秀英角ゴシック銀
以上、今回の記事ではフォントに注目しました。
みなさんはフォントは好きですか?日頃、注目して見ることはありますか?
わたしはデザイン初心者なので、「かわいくて温かみがあるな」「スタイリッシュでカッコ良いな」など、雰囲気だけで見ることが多かったのですが、今回改めてデザイナーにフォント選びの裏側や心くすぐるポイントを教えてもらったことで、より興味が湧きました。
フォントデザインの歴史や、ひとつのフォントができる過程など、気になったことをさらに調べてみようと思います!
それでは、また次回。
広報・しまだ
イラスト:たなべあかね
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