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ナイルチドリの、絶大なる信頼。
鳥貴族で山芋の鉄板焼きの端っこに余ったやつをヘラでこそぐのに集中していた中、「人間が1番無防備な瞬間はいつか?」という話になっていた。
あからさまな下ネタをぶっ放すアホな友達を他所目に、私は「歯医者さんで椅子倒された後にタオルで目隠しされて、「はーい口開けてくださーい」って言われて口開けている時ちゃう?」と言った。
どんなに偉い社長さんや窓際族の上司だって、歯医者に行って「はーい口開けてくださーい」と言われたら、素直に口をアーンと大きく開けるしかない。
坂上忍やジャンボ鶴田だって、「はーい口開けてくださーい」って言われたら、黙って口を開けるしかない。
手にメリケンサックつけてようが、刀を持っている侍であろうが、歯医者さんに口を開けろと言われたら、絶対に口を開ける。
歯医者さんという特殊な環境で、タオルで目隠しされて「はーい口開けてくださーい」と言われて、誰も攻撃されると思っていない。攻撃されないという確証を持てるから、人は口を大きく開けられるのだ。
歯医者さん、歯科衛生士さんって、最強。
でも「私、歯医者さん行くのが好きなんです!!」なんて人は、きっとこの世にそうそういない。
99%ぐらいの人は億劫な気持ちもありつつ、大事でないことを願いながら行くことになる。
歯が染みるなぁ
詰め物取れたなぁ
歯茎痛いなぁ
理由はきっと人それぞれ。
私は歯医者が心底苦手だけど、それでも3ヶ月に1回は行く。今年の初めに、虫歯治療で6万以上飛んでいったから。
甘いもの食べると歯がなんとなく染みる感じを放置したから、こればかりは自業自得である。
なんでそもそも歯医者が苦手なんだろう。
1. やかましい
外を歩く時は常にノイキャン機能付きイヤホンしていないと不愉快な私にとって、あの
キーーーーーーン
キュイーーーン
ズコーーーーー
ガリッガリッ
という不協和音的機械音はストレスを爆増させる。
普段はしないラーメンの替え玉をしてしまいそうなほど、気が狂いそうになる。
でも、高速振動歯ブラシで丁寧に歯磨きしてくれる時、少し高揚する。ありがたい、綺麗になって嬉しい。
2.一回じゃ終わらない治療
体調不良で内科にかかるのと訳が違う。
小さい虫歯ならメンテのタイミングで少し削って、少し詰め物して終わるかもしれない。
でもそこそこの虫歯になると、次のアポのタイミングでめちゃくちゃ削って仮で蓋されて型取って詰め物作って、そしてしばらくしてからまた行って詰め物して、さらにまた時間を空けてから不都合がないかチェックされる。(ゼーゼー…)
なんやかんやで私も、たかだか1本の奥の虫歯を治すのに1ヶ月以上かかった。
「え、また来なアカンの?!」なんて口が裂けても言えなかった。
何遍も言うけど、歯医者さんは最強やから。
3. 笑顔で怒られる
ある程度の年齢になってくると、人から指導されることはめっきり減るものだ。
でもその、ある程度の年齢の人ですらズケズケ言われる場所が歯医者なんじゃないかと思う。
どこそこの磨き残しがあったとか。
どこそこの歯茎が炎症起こしてるとか。
どこそこ歯石が溜まってるとか。
ちゃんと歯と向き合ってなかった過去の自分に対して、憤りを感じ、ちゃんと言われた通りに歯を磨こうと心に誓って歯医者を出るが、次の日にはまたいつも通りの歯磨きになっている。
(自慢ではないけど、「よく磨けていますね」とこの間初めて褒められた。特技にしようかな。)
でも歯医者さんの良いところは、「…それ、前にも言ったよね?」「何回言ったら分かるの?!」と怒ってくる人はいない。
歯医者さんは、やっぱり寛容。最強だ。
なーんてことを考えながら、私は歯医者で無防備に口を開けていたけど、歯医者さんの壁にかかっていた写真が絵が目に入った。
大きな口を開けるナイルワニと、その口の中に止まるナイルチドリだ。
歯医者に行かなくてもタダで歯を綺麗にしてもらえるナイルワニのことが羨ましく思ったけど、むしろ私はナイルチドリが輝いて見えた。
あの強面のワニが、なんて無防備な姿に…!!
野生の歯医者さん・ナイルチドリ、最強やん。