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人種差別についての備忘録

先月の終わりから、オーストラリアの新聞では、毎日、#georgefloyd に関する黒人差別抗議運動が一面を飾り、インスタ、Facebook、Twitterを含むsnsでは#blacklivesmatter のハッシュタグで抗議をサポートする運動が盛んに行われています。

今週の火曜日には、インスタの投稿欄がほぼ真っ黒になりました。よく見てみると、#blackouttuesday のハッシュタグと黒い写真。そして、黒い写真と写真の間には、日本の友人が投稿したレストランの美味しそうな料理や、ズーム会議をしてる様子を写した写真。

事件の日から、日本のニュースとオーストラリアのニュースの両方を読み比べています。オーストラリアでは毎日、暴動がトップ記事として扱われてるのに対し、LINEニュースのヘッドラインに暴動の話が出たのは一度だけでした。日本語でニュースを検索してトップに出てきたのは、「デモ隊の一部暴徒化」「デモ隊を警官が怪我」「大統領が軍隊の派遣を検討」「遺族の声」の見出しがほとんどで、「デモ隊が暴れてる」という印象を受けました。

ここで、一つ言っておきたいことは、決して、SNSでハッシュタグをつけて、暴動について何かを発信すべきである、と伝えたいわけではありません。むしろ、SNSを使ったデモ支援は、新たな歪みを生む可能性があるため、使用方法に気をつけたほうがいいと個人的には考えています。しかし、この世界的なパンデミックの最中に起きた、米国の黒人差別に対するデモを通して、私たちが注意しなければいけないことは、差別のシステムがどこの国にも存在するということです。

メルボルンでは、今日(6月6日土曜)、大々的なデモが行われました。オーストラリアにはアボリジナルと呼ばれる先住民族が、英国率いるヨーロッパ諸国の植民地支配によって、差別的な扱いを受けてきた歴史があります。そのため、デモでは、ジョージフロイドの追悼のほか、アボリジナルの人々に対する差別への抗議活動が共に行われたようです (写真は、ルームメイトが撮ったメルボルンCBDでのデモの様子)。

一方、日本では、まだ「人種差別」に対する問題意識がそこまで高くありません。それゆえ、今欧米諸国、オセアニアで起きている黒人人権擁護に関するデモも、対岸の火事として、日本国内ではそこまで注目を浴びていない状況が伺えます(新聞記事やLINEニュース、Yahoo!等のトップ記事を見て)。日本の若者が、どのくらい国際的な差別問題に注目しているかはわかりませんが、このことを身近な問題として捉えている人はおそらく少ないでしょう。また、彼らの暮らしている環境を考えれば、それは当然のことだと思います。

私は留学を通して、日本社会がいかに「日本人」の形成するコミュニティに信頼を寄せているか、そこで「日本人」として生きられることがいかに特権であるか、ということを改めて認識しました。そして、それを踏まえて、今後の日本社会が「日本人」だけでは支えきれなくなること、「日本人以外」の存在する社会でどんな問題が起こりうるのか、についてそろそろ深刻に議論する必要があると、考えています。

差別の問題は、加害者への怒りや被害者への同情といった一時的な行動で解決できる問題ではなく、問題解決に向けた持続的なサポートがあってはじめて前進する社会問題です。

そのため、いま私たちが取り組めることは、社会の中で、どんな問題が起きているのか、なぜ起きているのか、について関心を抱くことなのではないか、と個人的に考えています。

また、状況をすぐに変化させることは難しいですが、まずは、自分の家族、友人、大切な人を気に掛けることや、困っている人がいたら手を差し伸べることから、少しずつ思いやりの輪を広めていけるといいなと思います。

長くなりましたが、最後まで読んでくださった皆さん、ありがとうございま

Kunoichi

6/6/2020

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