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減塩味噌汁に減塩分の塩を足すとどんな味?【第2回私のゆるネタ】 地主恵亮

"ゆるネタ"をゆるく楽しむ人々に、普段実践している"ゆるネタ"をご紹介いただく本コーナー。第2回では日常を独創的なセンスで面白くさせるライターの地主恵亮さんにゆるネタをご紹介いただきました。

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自宅にいると唐突に暇な時間が出現する時がある。その理由は人によって様々だとは思うが、私の場合は一人暮らしで、友達も少なく、仕事がないというのがその理由だろう。暇な時間が東京発新大阪行きの東海道新幹線の発着数くらい出現するのだ。つまり、だいたい暇ということになる。

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この記事を書いている暇な地主です!

私は自宅で仕事をしている。原稿を書いたり、写真を撮ったりしているのだけれど、仕事がないと、平日の日中からただただ家にいる人になってしまう。現にそうなっているわけだけど、なんとか華麗にこの暇な時間を埋めていきたいと思っている。

高校時代を振り返ると、暇だった。周りを見れば休み時間になると友達と話したりと、休み時間を短いと感じる人々で溢れていた気がする。私は今と変わらず時間を持て余していた。当時の余った時間をギュッと固めるとギネス級のウエディングケーキができるほどだ。

友達がいないから暇だったのだ。人は変わらないのだ。30代になった今の私も友達がいない。もちろん20代も友達がいなかった。人は変われる、という意見もあるけれど、変われないという面もある。これはひとつの事実として心に刻んでほしい。人は変わらないのだ。

話を戻して、高校時代の暇な時間、私は手洗い場に行って、レモン石鹸で手を洗っていた。みかんのネットのようなものにレモン石鹸が入れられ、蛇口にぶら下がっている。それを使い手を洗った。高校時代の3年間、私の手は綺麗だった。だって、休み時間の度に時間をかけて手を洗っていたから。今も私の手は汚くないと思うけれど、当時と比べれば汚い。人は成長と共に汚れるのだ。これも一つの真実として心に刻んでほしい。人は汚れるのだ。自宅にはあんまりレモン石鹸がないから。キレイキレイはあるけどね。

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今回は味噌汁の話です

高校時代の私は暇な時間を認めたくなかったから、レモン石鹸で手を洗う人という役割を作り出していた。そして、現在の私は世の中の不思議をなんとなく解決するという役目を自分で作り出して、その暇を埋めている。本日はその中の一つをご紹介したいと思う。

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スーパーで買ってきました!

上記は即席の味噌汁だ。味噌や具などが入っていて、それを器に入れてお湯を注げば味噌汁ができちゃう便利なやつだ。暇だったら、昆布や鰹節で出汁を取って作ってもいいのではないか、と思うかもしれない。違うのだ。それは悲しみの一歩を踏み出すことになる。

一人暮らしの私は手の込んだものを一人作り、一人食べていると、一人悲しくなることがあるのだ。そんな時にいいのが即席の味噌汁ということになる。スーパーに行けばいろいろなメーカーの、いろいろなタイプの味噌汁が売っている。

今回注目するのが、「減塩」の味噌汁だ。

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減塩と普通のがあるんです!

もう何年も減塩ブームが続いている。健康を考えると減塩は大切なことだ。企業努力の賜物だろう、減塩でも美味しく感じることができる。たとえば、上記の味噌汁は普通と減塩で0.7g違う。

そこで私の出番だ。ただの暇な人ではなく、世の中の不思議を解決する人になるのだ。減塩味噌汁に減塩分の塩を足すとどうなるのか? を実験するのだ。

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塩を入れます!

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0.7gの、

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塩を、

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減塩の、

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味噌汁に!

暇な時によくこのようなことをやっている。気分は研究者だ。家で一人なんだけどね、助手もいないし、別に論文を書いたりもしないんだけどね。ただの好奇心。暇を好奇心に使うのだ。

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そもそも色が違うんだね!

買った時は普通の味噌汁と減塩味噌汁だった。今では減塩味噌汁に減塩分の塩を足したことで、普通の味噌汁と普通の味噌汁、あるいは普通の味噌汁と元減塩味噌汁ということになる。

飲んでみると普通の味噌汁は美味しかった。減塩ではないけれど、別に塩辛いみたいなことはない。そして、元減塩味噌汁も美味しい。普通の味噌汁と比べると味が濃いとは感じられるけれど、塩辛いということはない。

塩を足しても普通の味噌汁と同じ味にはならないのだ。濃い味=正義の下で育ったので、むしろ美味しく感じる。おそらく、減塩味噌汁に減塩分の塩を足すという背徳感が美味しさを増幅させている気がする。

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こういうのもある!

味噌汁だけではなく、カップヌードルにも減塩が存在する。普通のカップヌードルとは食塩相当量が1.7g異なる。ここでも世の中の不思議を解決する私の出番だ。減塩カップヌードルに減塩分の塩を足したら、普通のカップヌードルになるのか? である。

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塩の量が違いますな!

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減塩分の、

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塩をはかり、

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減塩カップヌードルに投入!

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お湯を入れて3分待つ

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完成

結論から言うと減塩カップヌードルに減塩分の塩を足しても、カップヌードルにはならない。先の味噌汁もそうだったように、減塩分の塩を足しても違うものなのだ。失われたものは戻らない、そういうことなのだ。これも心に刻んでほしい。

ちなみに、減塩されたものも美味しいし、減塩分の塩を足したものも美味しいから、別に戻らなくていいんだけどね。暇で行った実験の結果わかったことだ。普通のカップヌードルも美味しいし、減塩分の塩を足したカップヌードルは少し尖った感じで美味しい。イメージだけれど、クラブで踊る感じのカップヌードルになるのだ。

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美味しんですよ!

暇な時、私はこんなことをしている。いい時間潰しにはなる。お金もかからないし、食事も兼ねているので合理的だ。問題は暇なので別に合理的にする必要のないことだ。世の中、難しいものだ。楽しんだけどね。

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終わるとまた暇、次は何をしようかな!



地主恵亮
1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。2014年より東京農業大学非常勤講師。著書に「妄想彼女」(鉄人社)、「インスタントリア充」(扶桑社)がある。
https://twitter.com/hitorimono

今回取り上げたゆるネタは「ラムネ」にて掲載中!

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