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ハチミツとクローバーの主人公の話

私のオールタイムベストの一つに「ハチミツとクローバー」がある。
2000年に連載が始まり、2005年にアニメの放送が始まった海羽野チカ先生の漫画です。
舞台は都内にある美大『浜美』の学生を中心に描かれていく恋愛だけに留まらない、人生がテーマの作品。

私は小学生のときに漫画を読んで以来、ずっと「ハチクロ」の世界に憧れを持ったまま生きている。美大に行こうと考えたこともあったほどだけど、実際に学校で受ける美術の授業は全然楽しくないし、絵も下手だから無理だった。

ハチクロの何がそんなに私の心を動かしていたのか思い返してみた


物語序盤はテンション高めのギャグパートも多く、なにより作風がふわふわと可愛い。だから、みんなの心の内が少しずつ見えてくることにギャップを感じて、物語に引き込まれていった。

誰かを想うとこんなにも人は強くなれることや、誰かのせいで弱くなってしまうこと。
初めて教えてもらったのが、この作品だった。

主人公は竹本祐太君。素朴で優しいが、自分には取り柄が無いと感じながらも授業やバイトに誠実に打ち込んでいる青年。アニメでは神谷浩史さんが演じていて、それがまた素晴らしい。ああ、竹本君ってこんな声なんだって、すぐに腑に落ちる声の出し方とお芝居なんです。


そして私は大人になっていくにつれて、どんどんハチクロを好きになっていった

その理由が、この竹本君だ。

竹本君の、自分にできることや将来の目標もわからないと、悩みもがく姿にどんどん共感してしまうようになった。

才能があるキャラクターも恋や人生に悩んではいるけど、いつも竹本君の悩みは私の悩みと近くて、読むたびに胸がざわざわした。
生まれ持った才能があって、やりたいことが目の前にある他のハチクロのキャラたちが羨ましかった。

だから、そんな私と似ていると感じる竹本君が、少しずつ前に進んで自分を見つけようとする姿にかなり勇気をもらった。


ハチクロは、メインキャラみんなの心と出来事がしっかり描かれている。
それがわりとみんなかなり辛い過去だったり、悲しい現実と闘っていたりする。



でも、この物語の主人公は間違いなく竹本君だった。
平凡だけど優しくて、みんなにとって絶対に必要な大切な存在。

そのことが、私もまったく取り柄も無くて平凡な人生だけど、主人公でいていいんだと、竹本君が教えてくれたような気がした。

きっとこれからも劇的なことは無い人生だけど、ハチクロの世界のように優しい気持ちで生きて行きたい。

どんな自分でも、自分で決めたことなら間違ってない。
それがこの作品が教えてくれた一番大切なことだと思う。

ぜひ、見てみてください。

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