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解読 ボウヤ書店の使命 ㉜-6

朗読譜『カラスの羽根、あるいは雀の羽根、ヒヨドリの羽根』つづき。

 今日はさきほど《地球外知性体》をnoteで公開したので、精神的にはエネルギーを出力し終えた感が強く、もう休もうと思っていたのだが、ベランダに出た際にヒヨドリのピータがすぐそばに来て、ヒーヨヒーヨヒと鳴き、何かを言いたそうだった。
 それで、森から庭園へと歩いた時の写真を✖に投稿してみたり、カラスのカアスケが犬の形をした岩近くの樹木の上で「ワンワン」と鳴いた話を投稿してみたりした。カアスケが「ワンワン」と鳴いた時、ピータもすぐそばにいて、ピピプシュと鳴き、写真を撮るようにと私に促したのだった。
 夕食後、なんとなくボウヤ書店を見ていて、この《唯一の月》を見つけ、noteに載せようかと思って読んでいたところ、ハッとした。
 短いのでまずは読んでみてください。

《《唯一の月》            文 米田 素子

 尾道に帰る船の中、私の横に一人の男が立った。
「鞆の浦を旅してきてね、これから尾道の家へと戻ります」
「尾道在住とは羨ましい」
 私が言うと、男は首を横に振る。
「ご存知の通り坂が多く、それも階段だらけで手紙一枚運ぶのに筋肉痛。僕も若い頃に配達のバイトをしたけど、いくら坂からの景色が素晴らしいと言ってもあれは過酷ですよ。とにかく尾道は風情だけで便利さなし。勝手に住んでいるのだから文句を言うのもお門違いなのは承知の上だけど、郵便配達でもやってご覧と思う。でも現代は、荷物はともかく、手紙はよくなった。ほとんどがメールだから」
 上着のポケットからスマホを取り出した。「メール交換どう? 僕の家は坂の頂上にありましてね、これから帰る道すがら、どんなにひどい坂なのか、所々で証拠の写真を送りますよ」
 いつもなら慎重に断る私も、船の旅情に誘われアドレスを教えた。
「まずはこれ、千光寺の鏡岩」
 男は早速、写メを送り付け、「さんざん尾道をけなしたのでひとつ自慢もしておくと、世界でこれが唯一の月。これを映して夜空には月」と言う。
「映画の町ですからね」と私が言うと、男は「実に、その通り」と満面の笑顔を見せた。
 ホテルに着いてシャワーを浴びた頃、再び男からメールが届いた。夕日と坂の写真。翌朝には、朝日に染まる坂の写真。さらに翌日、自宅に着いた頃に届いたのは、猫と坂と男自身の顔が入った写真だった。「どういうわけか僕、あれからずっと坂の途中」とのコメントもある。それから毎日、坂の写真と「帰れない」のメッセージが続いた。
 冗談だろうかと友人に見せると、
「これ映画監督だよ」
と言う。
「へえ、知らなかった」
「こんなに有名な監督なのに? だけど――」
 友人は蒼ざめている。
「だけど?」
「言いにくいけど、彼は昨年の春に亡くなっているはずだよ」
「そんな!」
 私が叫んだ瞬間、一通のメールが届いた。
 今にも頂上の青空に届きそうな坂の写真。そして、
「FIN これが最後の映画です」(了)

制作20201123》

 自分でも今、この作品を読んでみて、なるほどなあと思う。

 ところで、森にある犬の形の岩は他の岩とそれほど変わらない形で埋め込んであるが、踏むとよくないことが起こる。気のせいかとも思うが、なんどか踏んでしまった時にそんな感じがしたし、実際に周囲の鳥達が甲高い声でヒステリックに鳴いたのだった。それ以来、踏まないようにし、摘んだ花を供えたり、そっと指先で撫でたりしていた。
 最近では、風邪をひいて嗅覚が無くなったことがあり、それはもう、二度と嗅覚が戻ってこないのではないかと思うほどの無くなり具合だったので(コロナだったのかな。ちなみにその可能性を考えて五日間は部屋に閉じこもったのでご心配なく。)、嗅覚を戻してほしいと犬の形の岩に頼みに行った。形が犬だから、嗅覚に関しては専門なのではないかと考えて(お気楽な奴だと思われるかもしれないが、私としては真剣にそう考えた。)、お願いしたのだ。しばらくして、嗅覚は戻った。岩のおかげで治ったと考えるのも思い込みに過ぎないのかもしれないが、それでも、感謝して損することもないので、時々、お礼を言いに、そして、優しく触りに行く。
 今日、路地を歩いている時に、カアスケが私の頭すれすれをシュワンと飛んだ後、なんとなくその岩のところに行くことになった。経験上、それはカアスケが私をその場所に連れて行ったのだと考える。上述したように、その時カアスケは「ワンワン」と鳴いたのだった。
 ――犬だからな。ハハハ
 と無邪気に笑って、ピータの指示に従って撮影し、特になんとも思わずに、北の庭園へと散歩を続けたのだった。

 で、今、思うに、「ワンワン」とは「one one」でもある。
 《唯一の月》の話に合致していて、今日中にこの話をnoteに出力しなければならないようだ。それはまさに、カラスとヒヨドリからの指示。
 余計なことだし、嘘みたいに思われるが、タイトルの『解読 ボウヤ書店の使命 ㉜-6』の㉜-6は、㉜-5をコピーして6に直すのだが、コピーした後、ふとみるとなぜか㉜-51になっていた。
 ――うわお。
 慌てて6に変更した。

#カラスの羽根
#ヒヨドリの羽根

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