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ゲームレビュー: 九日ナインソール

クイックレビュー

どういうゲームなのかざっくり説明

  • 隻狼 x メトロイドヴァニアな高難易度アクション

  • 敵の攻撃をパリィしながら、攻撃を差し込んでいく高難易度ながら爽快感のあるメトロイドヴァニア

  • 中国古代神話や道教をベースにSFと融合させた独特な世界観 (タオパンクと呼ばれているらしいです)

  • 主人公は羿(げい)という名前の猫のような見た目の男

  • 9人の「太陽」と呼ばれる、特権階級の特権を奪って、システムの権限を完全に掌握することが羿の目的のようだが……


総合点:

  • 84点

雑感:

  • アクションの難易度は程よく高く、どのボスや中ボスも初見での突破は難しく、ちょうどいい歯ごたえ

  • パリィアクションが楽しい

    • タイミングよく防御アクションをするとパリィになる

    • 相手の攻撃をパリィすると相手に「内傷」と呼ばれるダメージが蓄積される

    • 「内傷」はお札を使った特殊攻撃を当てることで実ダメージに変換される

    • 連続でパリィして内傷を溜めて、お札で爆発させ一気に大ダメージを入れていくのが爽快

    • パリィに失敗しても、即座にダメージになるのではなく、自キャラに「内傷」が蓄積される。「内傷」は時間経過で回復するのでシステム的にパリィを狙うのがちゃんと正当化されている。

  • タオパンクな世界観は面白い、中国古代神話の知識がもっとあれば細かな要素もプレイ中に拾えてもっと楽しめたかも(この記事の後半で私が調べた内容は記載しておきます)

  • メトロイドヴァニアにありがちな、追加要素を手に入れてから、前にクリアしたマップを再度探索させられる、というちょっと面倒な部分はほぼなく、サクサクプレイできる

  • 専門用語や人名がかなり中国感あふれていてわかりにくい/覚えにくい

詳細レビュー

プレイ環境・プレイ/クリア状況

XBox GamePassでプレイ。
ノーマルで真エンドをクリア。
プレイ時間25.6時間で実績は82%。

詳細評価点

  • ストーリー性・世界観: 92点

    • タオパンクな世界観は独特で目新しく、面白い。黒神話悟空もそうだったが、中国のセンスは日本のそれとはかなり違っていて新鮮。

    • 羿のツンデレさもいいが、サブキャラクターもいい味を出している

    • 終盤で判明する、羿に届くメッセージの真相がわかったときは感動した

  • ゲーム性(アクション性など): 96点

    • アクションやゲームシステムは練られており、質が高い

    • 高難易度ゲームにありがちな道中のモブ硬すぎ問題については、頑張って調整している印象を受ける。終盤はちょっと相手するのが面倒でスルーしがちなモブもいたが、概ねちょうどいい強さになっていたと思う。

    • ボス戦はどれも楽しい。特に中ボス戦が良い。特定のボスよりも歯ごたえのある中ボスもいた。

    • 内傷のシステムを理解するのに少し時間を要した。(用語がわかりにくい)しかし、内傷やパリィ周りのシステムを理解してからはかなり面白くなった。

    • 壁ジャンプの挙動はちょっと違和感ある

    • 溜めパリィは受付時間がシビアで面倒だったので、もう少し簡単だと嬉しかった

  • ゲームバランス・レベルデザイン(難易度): 88点

    • 途中ストーリーの誘導が弱くて、どこにいけばいいのかわからない迷子状態になった。各マップの攻略順はある程度自由なのだが、その分不親切さを感じる点が多々あった。

    • 新規マップの休憩所に到達すると新アクションゲット、というのはわかりやすくはあるのだが、ちょっとありがたみが薄い。新しい要素を解放して世界が広がっていく、というメトロイドヴァニアに特有の楽しみは抑えられていた印象。

    • メトロイドヴァニアというよりはロックマンシリーズのマップ攻略に近いプレイフィールだった。(というかロックマンゼロっぽい)

  • ビジュアル・グラフィック: 78点

    • ビジュアルは割かしあっさりしているが、雰囲気は出ていると思う

    • 特筆すべき点はない

面白かった点・良かった点:

  • パリィ周りのアクションはかなりいい。隻狼をベースにして、簡略化した感じだったが、パリィ周りの攻防のエッセンスをしっかり味わえる良調整だった。

  • ボスはそれぞれ個性があり、死に覚えしながら、攻略していくのが楽しい。

欠点・改善すべき点:

  • 矢の存在意義があんまりない

  • ビルドの幅が狭い

  • 全体的にちょっと不親切

感想:

  • ホロウナイトやエンダーリリィのようなメトロイドヴァニアかと思ってプレイしたら、隻狼が始まって予想外に楽しめた。

  • 2024年にプレイしたゲームの中では屈指の出来。そんなに長くないのでぜひプレイしてみてほしい。

  • 以下、作中の元ネタである中国古代神話とかの調べた内容を記載しておきます。(ネタバレ注意)


羿

羿射九日(いしゃきゅうじつ)という話の主人公であり、弓の名手として知られる。
天帝の息子に10人の太陽がおり、1日に一人ずつ交代で地上を照らすことになっていたが、遊びたくなった太陽たちは全員がいっぺんに地上に姿を現すようになってしまい、そのせいで地上は灼熱地獄になる。
羿は天帝につかわされて、10の太陽のうち、9つを射落とし、地上の平穏を取り戻した。
このゲームの大筋はこの羿射九日に基づいており、ゲームタイトルもこの神話に由来している。

軒軒

猿人の中でも科学や芸術などいろいろな方面に才能を発揮する超天才児であることが次第にわかっていく、主人公の相棒。
おそらく、元ネタは中国の最初の帝である黄帝。黄帝の名前が軒猿 (けんえん)であるため。(猿人の軒軒→軒猿)
黄帝は蚩尤を討ったことで支持を集め、神農氏に代わって帝となる。

神農

毒を食らって、薬を生み出すビックリ人間。
神農は古代中国の伝承に登場する三皇五帝の一人。医薬と農業を司る神とされている。作中で毒から薬を生み出したりするのはここに由来しているのだろう。

李耳

道教の始祖である、老子のこと。


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