R6 予備試験再現答案 刑事実務基礎

予備試験 再現答案 刑事実務基礎

設問1
1     (1)について
(1)     本件フェリーのチケットの各半券の押収は逮捕に伴う捜索差押(刑事訴訟法(以下略)220条1項2号)に当たり、令状なくできると考えられる(同条3項)。
ア     まず、Kらは、詐欺罪の被疑事実でAに対する被疑事実の逮捕状発付を受けているから、「199条の規定により逮捕する場合」(220条1項柱書)にあたる。同条1項2号の差押対象物は、被疑事実に関連する証拠に限られる。本件の被疑事実は、詐欺であるところ、本件フェリーのチケットは、Aが本件車両に乗っていた犯人である可能性を示すといえ、被疑事実に関連する証拠といえる。
イ     「逮捕の現場」(220条1項2号)とは、逮捕現場の管理者の管理権が及ぶ範囲をいうところ、本件車両内はTの管理権が及び、逮捕現場の範囲内といえる。
ウ     「逮捕する場合」とは、220条の趣旨が証拠存在の蓋然性が高い点にあることから、時間的接着性を前提として、ある程度幅のある場合も含むところ、Aはチケット押収後の直後に逮捕されているから、「逮捕する場合」に当たる。
エ     以上より、本件フェリーのチケットの押収は令状なく認められる。
(2)     現場の写真撮影は、証拠価値を確保するためのものとして、上記捜索差押に付随する処分として令状なく認められる。
2     (2)について
(1)     令状の種類
鑑定処分許可状と身体検査令状(218条1項)
(2)     理由
血液は体内のものであるから、採血は捜索差押とはいえない。また、採血は注射針を挿入して採取し、体内への侵入が予定されるから、検証ともいえない。よって、鑑定に当たる性質を有し、鑑定処分許可状が必要である。もっとも、222条は169条を準用していないため、鑑定処分許可状では直接強制できない。そこで、身体検査令状を併用する必要がある。
設問2
1     (1)について(いまいち何書いたか思い出せないが意味不明なことを書いた記憶はある)
本件フェリーのチケットの各半券は、Xが本件車両に乗って詐欺を行った犯人であることを示す証拠になると考えられる。しかし、チケットは、別の日時や遠い場所で購入することが可能であるから、チケットの購入日時と場所が解明されなければ、証拠としての意味がなくなってしまう。そのため、購入日時と場所を解明する必要があると考えたためである。
2     (2)について
(1)     たしかに、Aは所持金5万円であり、払うことは可能であるから、Aが後払いの懇願をしたのは、最初から本件車両を返すつもりがなかったためであるとも考えられる。また、AはVから現在地等を聞かれても何も答えることなく、その後も電話に出ることもなかったことからも初めから返す予定がないことの現れともいえる。さらに、Aは本件フェリーで島の外にでており、通常返す予定であれば島から出ないと考えられるから、返す予定がなかったことを推測させる。AはXに対し、昔から欲しかった車だと述べていることからも、Aの所有物にする予定であったといえるように思える。しかし、Aは逮捕時の所持金は5万円であって、余裕をもって支払えるわけでもないから、本当に後払いしてほしいために懇願したともいえる。また、AはXに対し、レンタカー屋で借りたと述べており、借り物である認識はある。島を出るための車両用チケットは、Vとの契約後に購入したものであるから、計画的に本件車両を取得する予定があったとはいえない。加えて、AはVからの電話に応答している時もあり、最初から返すつもりがなければ電話に一切出ることはないのが通常であると考えられるから、もともとは返す予定があったといえる。Aがだましとっていないと述べていることからも、最初は返す予定であったと推測できる。
(2)     以上より、詐欺罪ではなく、単純横領罪の成立可能性が高いと考えたためである。
3     (3)について
「横領」とは、不法領得の意思の発現行為をいう。そして、㋐㋑㋒の時点がかかる意思の発現行為といえる可能性があるから検討した。㋐㋑の時点ではAはまだ島の外にでておらず、本件車両を返すことが可能である。しかし、㋒の時点ではフェリーで島の外にでる行為を行っており、返還することはできない状態にしている。よって、㋒の時点で不法領得の意思の発現行為といえるからである。
設問3(時間なくてかけていない)
設問4
弁護士は、真実義務と誠実義務(弁護士職務基本規定(以下、規定)5条)を負う。そして、真実義務は消極的真実義務で足りる。(1)は消極的真実義務に反しないから問題ない。他方、(2)は消極的真実義務に反し(規定75条)、問題がある。

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