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明け方と君と。


朝方、4時頃にバイトが終わった。
日付を見ると4月1日になっていた。

君に好きと言われたのは2月の中旬だった。
それから3月いっぱいまで、
わたしの中は君との思い出でいっぱいだった。
そのくらい、楽しかった。


4月の2.3日後から仕事の始まる君、
今日が引っ越しの日だった。
今日できみがこの街を出て行くって
わかっていたんだけど、
でもあっという間だった。
楽しくて、あっという間だったよ。


3日前に、君に好きなのをやめると言われた。
もう会わないと言われた。
それは本当に突然で、
そんなこと言われるなんて思ってなくて。
勝手だよね、付き合えないって、好きな人がいるって
そんなこと言ってるのに
君はわたしのことをずっと好きでいてくれるって
本当に思ってたんだ。
少なくとも、こんな突然終わりが来るなんて
思ってもいなかったんだよ。


付き合えないから、
わたしは思ったことを君に伝えたことは
一度もなかった。
君はいつも真っ直ぐに目を見て
真っ直ぐに気持ちを伝えてくれるのに、
それなのにわたしはいつもよそ見をして、
自分の気持ちは蓋をして君と接していた。
なんとなく、気まぐれなんだけど、
君が最後って言うんだったら
わたしも真っ直ぐに君に思っていることを
伝えようって少し思った。

君とのLINEを開いて、
まだ考えなんてまとまってもいないのに
気が付けばメッセージを打っているわたしがいた。
「今日バイト中にずっと君のことを考えていたんだけど、2.3月は君との思い出でいっぱいで、どれも本当に楽しくって、だから、ありがとう。」
とりあえず、これを送信した。
すぐに既読がついた。
わたしはきっと他にも言いたいことがあったけど、
なぜかそれを打とうとすると、
目に涙が溢れそうになった。
言葉も全然まとまってくれなくて、
あとはなにをどう伝えたらいいんだろうって
必死に考えていると、
「俺も本当は今日、LINEしようと思ってました」
「ずっとこないだの写真見て、なに言おうか考えてて」
なんとなく、もうこれ以上考えても
言葉なんて思いつかないし、まとまらないと思った。
「会いたい」
そう送った。
「今から1時間だけなら」
そう言ってくれたので、君に会いに行った。


さっきのLINEなんてなかったみたいに、
会った時は2人して少しおちゃらけてみせた。
まだ暗い中、少しだけ車を走らせて、
人気のない公園に車を停めた。


「ごめん、会いたいとは言ったけど、ちょっと言葉に色々するの難しくて、、、」
と言うと、
「ゆぽさん、いつも俺のこと馬鹿にしてくるのに自分も語彙力ないんですか?」
なんて馬鹿にしてくるもんだから、
うるさいなあ!ってじゃれあっていると、
「俺、本当に好きでした。」
と、君は真っ直ぐにわたしの目を見て言った。
「久しぶりにこんなに好きだって思える人に出会えて、俺幸せでした。」
と、寂しそうに笑って言った。
うん、うん、そっか、そっかあ。
「ありがとう」
と、一言、下を見ながら君に告げた。
「少しは、少しだけでも、俺のこと好きになってくれました?」
こんな質問をする時でさえ君は
わたしの顔を真っ直ぐに見るんだね。
「ごめんね、好きな人は、変わらないんだ。」
「そっか、そうですよね」
「でも、、、」
と言ってわたしは言葉を飲み込んだ。
わたし、なに言おうとしてんだろう。
ここで君のことを好きって言うのは
あまりにも残酷でワガママで最低なやつすぎる
言う前に気付けたからグッと堪えた。
「でもなんですか?」
「いや、間違えた、なんでもない」
「本当はなんでもなくないですよね?」
「、、、、、。」
「俺はちゃんと今日で気持ち最後にします、だからゆぽさんがどう思ってたか、素直に聞かせて欲しいです。なにを聞いてもずるいとか思いませんから。」

「、、、好きだったよ、ちゃんと。」
「それは友達としてですか?」
「ごめん、わかんない、、、。」
「でもね、連絡マメじゃないけど取りたいと思ったのは君だし、バイトが被れば嬉しかったし、会いたいとも思うし、会ったら楽しいと思えるのも君なんだよ。何かあったら話したいと思うのも君なんだよ。
、、、ごめん、こんなこと言って付き合えないとか最低だよね。」
「じゃあ、2番目には好きになってくれたってことですか?」
「、、、、うん、そうだね」
そうわたしが言うと、彼はすごく嬉しそうな顔をして
「俺、それだけでも充分に嬉しくて幸せです」
と言った。
「そっかあ、ありがとう」
と言い、君に抱きついた。
この頃には空が明るくなっていて、
だからわたしは涙が出そうな顔を隠すのに必死だった。


「最後にするって言ったけど、一人暮らし始めたから一度だけ来て欲しいです」
「その時に、恋人ごっこがしたいです、本当にそれで最後にします」
君の最後のわがままだもんね、
わたしは「いいよ」と頷いた。


考えれば、
わたしにくれた「可愛い」も「好き」も、
わたしの目を見て、逸らすことなく伝えてくれた。
最初は君の好きを信じられなかったし、
誰にでも言ってるんだろうと思っていたけれど、
君の行動と言葉がわたしを信じさせてくれて。
「たまに大好きな元カレにわたしは期待しすぎてるんじゃないか、君のほうがいいのかな」
なんて思ってしまうこともあったよ。


ねぇ、もう一度だけ。
もう、無しになるんだね。
君はそういう運命をとったんだね。


最後に2人で会えるの楽しみにしてるね。


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