乾坤一擲と今年の終わり

2020年も終わりを迎える今日この頃, 何気なく本を読んでいると「乾坤一徹」という言葉を見かけた。

なんとなくかっこいい漢字の羅列である。「けんこんいってき」と読むらしい。これから先に,何気なく使って威張れるよう意味を調べてみた。

乾坤一擲とは、いちかばちかの思い切った勝負を意味する表現である。主に「乾坤一擲の大勝負」のような言い回しで用いられる。(Weblio辞書)

漢字に同じく意味も猛々しい。もし将来的に掛け軸に飾るなら, 喜んでこの文字を選びたいくらいだ。

今年を振り返ると,まさに乾坤一擲の言葉が似合う勝負の年だった。その理由は人生の分かれ道,就職活動があったためだ。毎夜毎夜,うなだれながら記入したエントリーシート,慣れることなく最後まで腹を壊し続けた面接の日々…思い返したくもなく,戻りたくもない日々である。

そんな中,今年は何回も神社に足を運んだ。私は普段無神論者であるが,なんとしても内定が欲しかった当時は頼れるものにはなんでもすがりたかったのである。毎度賽銭をお供えし,頭を面接のとき以上に下げるように心掛けた。待ち構えている狛犬様にもお辞儀をし,無礼でないようにした。そうした甲斐もあってか無事内定を頂き,来年からもなんとか過ごせる算段を立てることができた。こんな無礼者の私に対しても優しい神様には本当に頭が上がらない。神様バンザイ,ビバ神社。

そう考えると,神様は「乾坤一擲の大勝負」の勝敗を左右する,なかば勝利の女神のようにも思える。ただ,勝負のたびに私のような「その場限り信者」に祈られ駆り出される神様の立場を考えると,非常に申し訳ない気持ちになる。せめて新年が開ける前のこのタイミングで温泉旅行にでも行って日頃の疲れを癒してもらいたいものである。私のお供えした額では銭湯までの電車に乗ることすらできないが…。

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