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#2 麺が美味しい3要素

ラーメンを食べる人で「麺自体の美味しさ」を評価する人は少数派かもしれない。
実際「麺自体が美味しい」というラーメンは100店に1店ほどだろう。(チェーン店や町中華料理店のラーメン含む)

しかしその1%の「麺自体が美味しい」ラーメンに遭遇すると「本当に麺が美味しいということがあるのだ」と感動する。
この「麺自体が美味しい」という体験は次の3つのステップから構成される。

1,しなやかなコシ

麺のコシとはしなやかでありながら、噛み進めに従い増していく弾力のことだ。このしなやかな弾力が「噛む快感」を生み出す。

しば田(仙川)

「麺は硬いほどコシがある」「麺は硬いほど良い」と勘違いをしている人もいるかもしれないが、それは本当のコシではない。

2,気持ちの良い歯切れ咀嚼性

次にこのコシ食感を連続して体験できる歯切れの良さが重要となる。
たとえしなやかなコシがあったとしても、それが連続して噛む体験できなければ意味がない。
お餅のように噛んだあとにネチョりと粘つく麺や、一見歯切れは良いがブツりブツりと塊になる麺では「噛む快感」は体験できない。

一八亭(西武柳沢)

3,鼻から抜ける小麦風味

しなやかコシと歯切れの良さから、噛む快感を堪能していると、鼻から抜ける香りにほのかな小麦の風味を感じる。これは「良い小麦」「良いかん水」「良い打ち粉」を使った麺が醸し出す風味だ。

くろ㐂(浅草橋)

自家製麺のジレンマ

良い製麺所であれば、これらの3つの条件を兼ね備えた麺を実現する技術はある。そのように腕のある製麺所に特注すれば実現可能だろう。しかし麺の単価やロット数の関係から、一般の個人ラーメン店では難しい。

自家製麺であれば、良い小麦を小ロットで製麺することは可能だ。しかし風味のある小麦はグルテン性が弱い傾向にあり「しなやかなコシ」「気持ちの良い歯切れ咀嚼性」を実現するのは技術的に難しい。
自家製麺に挑戦しているラーメン店でも「硬い麺」「ネチョる麺」が少なくない理由だ。

このため多くのラーメン店ではそんな苦労は選択しない。
・製麺所が作ってくれたプロの麺を購入する。
・そして製麺所が想定したよりも若干短い茹で時間に仕上げて「コシのある麺」。
・麺に小麦の風味がないのは当たり前。スープに塩味と脂味と人工旨味でガツンとパンチ。
そんなラーメンの方が、ビジネスリスクが少なく儲けが見込めると判断されるのは当然だろう。

ただそんな99%のラーメンではない、本当に「麺自体が美味しいラーメン」を提供し続けている1%のラーメン店と、そういうラーメンを評価する少数派のラーメンファンのためにこの記事を書く。



・ネットや動画で評判のラーメン店には、麺自体の美味しいお店とそうでないお店がある。
・行列の出来るお店には、麺自体の美味しいお店とそうでないお店がある。
・スープの美味しいお店には、麺自体の美味しいお店とそうでないお店がある。
ただし
・麺自体が美味しいお店はスープも間違いなく美味しい。ラーメン自体間違いなく美味しい(店主の愛想が悪い場合はある。笑)



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