【連載】Vol.14 東京では味わうことの出来ないご当地ラーメン 飛騨高山「やよいそば」
1995年にインターネットが普及し、今まで入手できなかった全国のラーメン情報の一部(90年代はまだまだ一部だった)を入手できるようになった。
そこで今まで食べてなかった全国の「ご当地ラーメン」を食べようと決めた。
岐阜県高山へ行ったのは1997年11月。前日に名古屋で8杯食べ、名古屋に宿泊。そして翌朝に高山を目指した。なんせ高山は遠い。今だと東京から行くには電車だと名古屋経由、または富山経由、車だと山梨県&長野県経由だろうか。いずれも5時間近くかかる。当時は北陸新幹線が開通してなかったので、名古屋経由で名古屋に前泊を選択したのだった。
当時、10時から営業している店が何軒かあったので、10時着を目指して名古屋を出発。特急でも2時間半から3時間かかる。この時、ホテルを7時には出たはず。ある程度のラーメン情報は仕入れていたが、まだ高山ラーメンの情報はそんなになかった。10軒くらいだったろうか。高山市の街並みはとてもよかった。観光地らしいというか、私が地方出身だからか、こういう地方都市へ行くと気持ちが落ち着く。やすらぐし癒される。街並みを歩き回ってみたくなる。
高山ラーメンは高山駅周辺に集まっており、食べ歩きにはもってこい。確か、この時は全部歩いて回れたはず。
高山ラーメンの特徴は、清湯醤油味のさっぱり系。地元ではラーメンとは言わずに「そば」と呼んでいるが、関東の日本蕎麦のような出汁が多い。量もそんなに多くはないので昼だけで7軒食べることができた(笑)。
もちろん残したりはしないし、「麺少なめ」なんてことも頼んでいない。食べやすく、私の口に合い、体調もよかったのか、10時から14時頃までで7軒食べることができたのだ。
主な目的の店を食べることができたので昼のみで名古屋へ戻り、さらに1杯食べてその日のうちに東京に戻ることができた。
さて、やよいそばだが高山で4軒目に食べた。シンプルだがおいしかった。
高山の特長である、タレとスープが同じ寸胴で煮込まれているので昼と夜とでは濃度が違う、と言われていた。私が食べたのは昼なのでさっぱりした味わいだった。やはり蕎麦風のスープ。麺は低加水の細縮れでこれも好みのタイプ。即席麺みたいだ、という人もいるが私はそれをポジティブにとらえている。こういうご当地麺は意外とありそうでない。
何しろ、全国のご当地ラーメンが集まっている東京ですら、高山に店がある「高山ラーメン」はない。
そのため、本場の「高山ラーメン」はこの機会を逃すと高山に行かないと食べられないのだ。私も1997年以来、行けてない。
「あの銘店をもう一度」第12弾として、2023年2月21日(火)~3月13日(月)まで、飛騨高山「やよいそば」の出店が決定。
5時間かけて高山市に行くか、この期間に新横浜に行くか、選択はあなた次第。
文/大崎裕史
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