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【連載】Vol.2 伝説の銘店 和歌山「井出商店」

さてさて、「あの銘店をもう一度」 の第一弾はどこだろう?自分なりにいろいろ考えてみた。5店舗くらいに絞ってみたがその中にあった。
和歌山の「井出商店」である。ラー博約30年の歴史の中で、いくつかの記録を打ち立てた伝説的なお店である。

和歌山「井出商店」の中華そば

『開店から卒業まで238日間、連日行列が途絶えなかった。』『最大待ち時間210分(3時間半)』『1日平均約900杯提供』などなど。

1998年期間限定で出店していたころの和歌山「井出商店」

どうしてそんなに人気になったのか?私なりに思ったことを五つ挙げてみる。まず、重要なのはその開業日、1998年10月である。これが半年でも前後にずれていれば、また結果は違っていたのだと思う。

1-1998年1月1日に放送されたテレビ番組『日本一うまいラーメン決定戦』(テレビ東京)で優勝し、「井出商店」が『日本一おいしいラーメン店』として紹介された。この番組を見てラー博が出店を決めたのかどうかは、わからない。1月の放送を見て動いたとすると10月オープンというのは、普通に考えると期間が短すぎる。でも、偶然だとしたら奇跡のようなタイミングである。そんな「日本一のラーメン店」が新横浜にやってきたのだから人気になって当然。

2-和歌山カレー事件が同年7月に起こり、マスコミが和歌山に殺到。
長期間滞在を余儀なくされた。その期間、和歌山ラーメンを食べて過ごし、中でも「井出商店」を気に入り、そのお店が新横浜にやってくると知って取材が殺到し、マスコミ露出が多かった。

3-インターネットを一般の人が使い始めて、慣れた頃が1997年から1998年頃。ラーメンサイトや掲示板も登場した頃で、そのインターネットの波に乗って情報が拡散された。

4-ラー博が始めた「全国ラーメン紀行」。1997年10月の出店が旭川ラーメンの「青葉」でこの頃から“ご当地ラーメン”の存在に注目が集まっていた。そして和歌山ラーメンの登場でさらに話題になった。

新横浜着 全国ラーメン紀行 第4弾 旭川「青葉」

5-和歌山ラーメンの中でも「井出商店」のような濃厚豚骨に醤油ダレというのが首都圏にはあるようでなかった。しかし、横浜家系ラーメンのように味が近い存在は多数存在していたので違和感なく受け入れられた。

そんなこんなで「井出商店」ブームは1年続いたのであった。

私と「井出商店」の出会いは1997年。
インターネットの普及で地方のラーメン情報も入手しやすくなった。そこで出張の際には地元のラーメンを食べまくったし、「ラーメンツアー」と称して『ラーメンのためだけに地方に行く』ことを始めた時期。
和歌山ラーメンは口に合って食べ回るのが楽しかったし、中でも「井出商店」は衝撃的だった。

和歌山「井出商店」本店の行列

札幌・博多・喜多方くらいはその存在を知っていたご当地ラーメンだが、和歌山にもあったのか!?と驚かされた。
後に和歌山ラーメンは『井出系』『車庫前系』と二つに分けられるというのも斬新だった。そもそも地元では和歌山ラーメンという名称すらなく、多くは「中華そば」だった。

さらには『井出系』『車庫前系』というのも当時ラー博に在籍していた元祖ラーメン評論家の故・武内伸さんの造語である。私も後にラーメン評論家として活動をすることになるのだが、ラーメンのジャンル分けやネーミングなども「ラーメンの面白さ」の一つだった。

和歌山の「井出商店」にも何度か食べに行き、ラー博出店時も何度も食べた。もちろんこの“3週間”の間に何度も食べに行く予定だ。


文/大崎裕史

あの銘店をもう一度 第1弾 和歌山「井出商店」
出店期間:2022年7月1日(金)~21日(木)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 新横浜ラーメン博物館地下1階
     ※旧支那そばや跡地
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる。詳細はコチラ


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