【読書】『「タバコと酒」の健康常識は嘘だらけ』(橋内章)
はじめに
きっかけ:
ジェイラボに所属するうえで課される書評ノルマ。
選書理由:
喫煙者だからちょうどいい。
自分の立場
大前提として、私は喫煙者だがタバコが体に有害だと思っている。この本を読んでも考えは変わらなかった。本書は禁煙ブームに対して防御を行なったまで、それも当時(2013年8月)までの内容である。本当にタバコが体にどれだけ毒なのかを知りたいひとは、該当する学会の最新論文をちゃんと辿ったほうがいいだろう。
まあ別にそんなことしなくても、毒煙であることはほぼ自明だろう。序章にも書かれているが、大抵の喫煙者はそんなのわかっている。
だが私は吸う。繰り返す、私は吸う。
著者について
本書の内容は、タバコをこよなく愛する人物が自らの権威をもって禁煙に反駁したものだと受け止めた。権威というのは、著者が医学博士である事を指している。
タバコは悪くない、むしろいいものだ。というのを言おうとしているのだが、所々言い過ぎだろうと思えたり、明らかに喫煙を擁護しているせいで、禁煙で得られるポジティブな効果を回避していたりする。全体的に受け身なのである。ただ、さすがに博士だけあって知識の引き出しが多く、読んでいて退屈はしない。
大まかな分割
お酒 vs タバコ ← 1~2章
タバコの効用 ← 3~5章(5章は微妙)
嫌煙家に対するアンチ ← 主に6章(かなり癖がある展開の仕方…)
本書で得られた豆知識
・退薬症候
俗にいう禁断症状。
・禁酒法と処方箋
20世紀はじめに施行されたアメリカの禁酒法だが、アルコールが治療目的に限り飲用が認められていたせいで、医師が患者に処方箋として与えてしまっていた。
・お酒の「適量」には飲み方まで指定されている
毎日ほんのちょっとだけ飲んでいいらしい。週末だけ羽目を外して飲みたい人も多いけれど完全にアウト。
・水中毒
これは実体験がある。時々水を3~4L/日ほど飲用すると体が不調になっていた。水でも摂取しすぎると良くないらしい。
・平山雄
禁煙運動を始めた人……
・虚心性心疾患
たまに見る文字列だが、狭心症と心筋梗塞などの総称だった。
・トマトジュースとタバコ
マウス実験でトマトジュースがタバコによる肺気腫予防効果を示すとわかったらしい。
・放射線被曝量
軽度の放射線を照射するラドン温泉(←なんじゃそりゃ)は健康にいいらしい。本書では毒が薬にもなる例としてタバコの益に発展させている。
・森鴎外と麦飯
へぇー(詳しくはリンクを参照)
・ニコレットと潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎症状者はニコレットを利用すると劇的に改善する。ニコレット自体初めて知ったうえ、薬局で売られているらしい。
(気になるから今度勝手っみようかな…)
・ワインの効能
加齢性黄斑変性という老化に伴い視力が低下する病気があるが、ワインのポリフェノールが予防効果を示すらしい。加えてフレンチ・パラドックスについてもワインが健康にポジティブな効果があるとする考えを推す。後者に関してはワインじゃなくてもいいようだ。
・カラスの社会
カラスの群れには順位づけがあり。定期的に下剋上が行われる。
ちょっと古い本
そもそも出版されたのが2013年8月19日で、そこから10年ほど研究は進んでいるはずだ。本書が禁煙を促すための理由に反論する余地は10年前はあったが、最新の調査に従った場合はどうなるだろう。
専門の方、どなたか教えてください。
(たぶん悲しい結論になると予想……)
総括
面白い小話がちらほら
本当に吸ってはいけない人には控えるように言っている
めちゃくちゃ禁煙ブームを憎んでいる(ほぼ陰謀論なんじゃないか)
タバコ!最ッ高ォ!!
最後に
最後の6章はかなり癖があるので、1~5章がおすすめ。読むときは、喫煙支持者(?)の言論なのだと留意すること。ちなみに私もヤニカスである。お酒は堂々と飲めるのに、喫煙者ばかり責められて不公平だ。なので最初の1章は興味津々に読んでいた。お酒かタバコなら、個人的にはタバコを選ぶ。
え?どっちもやらない選択肢はないのかって?
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(ごもっともです)