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10年間つみたてたひふみ投信を売却したのでその運用結果を公開

まずは結果をドン!

ひふみ投信 積立額と資産残高の推移
ひふみ投信 月々の積立額に対するパフォーマンスの推移

資産はつみたて額に対して、10年7ヶ月で約1.77倍になりました(2023年11月に全て売却)。

つみたて投資の結果に対して年率リターンを求めることに意味があるのか、最初にドン!の一括投資のときの計算方法をそのまま適用していいのか分かりませんが、つみたて総額と売却時の資産残高で計算すると、毎年8.02%の複利で増えていった計算になりました。

TOPIXとの比較はこうなった!

ひふみ投信(基準価額)とTOPIXとつみたて投資のパフォーマンス比較

10年7ヶ月でTOPIXは約2倍だったのに対し、ひふみ投信は約3.2倍になりました。年率リターンを計算すると、ひふみ投信が11.52%なのに対し、TOPIXは6.88%でした。

TOPIXが上がればひふみ投信も上がり、下がるときは同じように下がるといった感じなので、上昇期にTOPIXをアウトパフォームしたことでこれだけの差をつけることができたという、ごくふつーの理由ではないかと思います(下降期に上昇していたらそれはそれで凄いのですが、何かヘンなことをやっているのではとも思ってしまいます)。

10年ちょいで約1.7倍というのは納得のいく結果なのか

一括投資で約1.7倍だったらTOPIXに負けていますので「下手くそ」と言われても仕方ないでしょうが、つみたて投資は最終的には一括投資のときと同じ額をつみたてるとしても徐々につみたて総額が増えていく仕組みなので、一括投資のときより売却時に上昇していたらどうしても不利になります。ですので約1.7倍はいい方ではないかと思います。むしろ投資対象が約3.2倍まで増えないとつみたて投資は約1.7倍にならないということの方が私的には驚きでした。そんなわけで投資対象がTOPIX連動のものを買っていたら「なんでひふみ投信を買わなかったんだろう」という後悔と悲しい思いをしなずに済んだと言えそうです。あとこの約10年はブレながらも上昇し続けていたという、非常に運のいい時期だったというのも追い風になっていたと言えます。

反対に売却時に下がってしまっていた場合はつみたて投資の方が有利(?)ですが、損失額の差はあっても損には変わりはないので悲しい結果で終わります。もっとも、売却時につみたて開始の水準まで戻っていれば、平均取得価額が下がることでつみたて投資の方は利益が出ている可能性は高いと思いますが。

薄っぺらい経験則

ここからは薄っぺらい経験則のお話ですが、一括投資だと最初にドン!と投資するので途中で追加投資などをおこなわなければ投資対象のパフォーマンスがそのまま反映されますが、つみたて投資だと徐々に投資額が増えていくので途中で投資対象が好パフォーマンスを出してもつみたて総額が小さいときだとあまり恩恵を受けられないという特徴があります。なのである程度の規模のときに好パフォーマンスを出してくれた方が嬉しいと言えます。

反対に下げているときはつみたて総額が小さいときだと平均取得価額が下がりやすいので、その後上昇したときは下がらなかったときよりも美味しい思いができますが、ある程度の規模のときに下がってもつみたて総額に対して毎月のつみたて額が小さいため、つみたて総額の規模が小さいときよりも平均取得価額は下がりにくいです。

つみたて投資の本を読むと、下がったら多く買え、上がったら少しだけ買えるのでうんぬんとか、下がれば平均取得価額が下がってうんぬんといったことは書かれていますが、つみたて総額が大きくなったとき平均取得価額が動きにくくなることを書いている本は見かけたことがないので、それなりの規模になるまでつみたてた経験がないのかなという気がします(10万円に1万円追加と100万円に1万円追加では、1万円追加の影響力が違うことが分かるかと思います)。

あと投資対象の価格の変動ですが、1%の上げ下げでもつみたて総額が100万円なら1万円、1億円なら100万円になり、同じ1%でも動く金額が大きく違ってくるので、つみたて総額が大きくなるにつれて変動率は同じでも変動額は大きくなることに慣れていく必要があります。別の記事で書きますが、3~5%までの変動は普通に起こることなので、その度に変動額を見て一喜一憂していたら心も体も持ちません。毎月のつみたて額が大きい人ほど早くつみたて総額も大きくなりますので、変動額を気にしやすい人ほど変動額の大きさに早く慣れる必要があります。

私は米国株やiDeCoをやっていますが、米国株は持っているだけで何もしなくても毎日100~300万円上げ下げしてますし、iDeCoも1,000万円を超えたらS&P500連動でも数万円の変動は当たり前で、10~20万円動くと「あー動いたなー(棒読み)」といった感じですが、すぐにそのことを忘れています。そのくらいの慣れというか胆力は必要です。

余談になりますが、X (旧Twitter)で「○○万円儲かった!」「△△円損した、死にたい」というのを以前ほどではないにしても見ますが、そのとき常に最初に思うのは「その時の投資額はいくらなの?」です。100万円で10万円の利益を出すのと1億円で10万円の利益を出すのとでは難しさが全然違ってきますから、その人の腕前というか運用能力というか、そういったことが見えてきません。まだ「○パーセント増えた・減った」の方が資産の規模に関係なく運用能力が分かりやすいので絶対額信仰者の方にはそのときの投資額も合わせて教えていただくか、何パーセント増えた・減ったでポスト(ツイート)して欲しいなぁと常々思っております。

他には「ピーター・リンチの株で勝つ」の中で、投資家として求められる資質として以下のように述べています。

資質として出てくるのは、忍耐強さ、自主性、常識、苦痛についての耐久力、こだわりのない自由な思考力、利害に対して超然としていられる強さ、根気、謙虚さ、柔軟性、独自の調査をする意欲、失敗を認める強さ、パニックを無視する力などである。

ピーター・リンチの株で勝つ

突然ですが、私が純金積立を初めた頃は純金の価格がまだ下がり続けている時期で、一時は1グラム1,000円を切り(今、田中貴金属のWebページを見たら1グラム10,800円なんですね。10分の1の価格で買えた時期があったわけですから凄い時期があったものです)、どのくらいつみたてたかは忘れましたが評価損も15万円になり、つみたてを続けるか、ここで売却してやめるかかなり悩みましたが、下がれば多く純金が買えるし、金の延べ棒に早く近づくと思って続けました。その後上昇に転じて利益を得られ結果オーライでした。ただ、金の延べ棒が1本約12.5kgあると後日知り、知らなかったとはいえずいぶんと大きい目標を立てたものだと思いました。

投資信託では金の延べ棒みたいな目に見える目標がないので難しいかも知れませんが、投資対象を間違えてなければ続けることが大事なので頑張って下さい。

ファンドマネージャー交代の影響について

藤野さんが一時期CIO(最高投資責任者)を退いていたという記憶があったのでその頃のパフォーマンスはどうだったのか調べたのですが、私の勘違いでした。

けどひふみ投信のファンドマネージャーが藤野さんから替わったというニュースを見つけ、それがつい最近というのを知りました。後継者が育ったのかなと思っていたら、1年も経たないうちに藤野さんが復帰という記事を見て「ファンドマネージャーを評価するには短すぎない?」と思っていたのですが、レオス立ち上げの頃に1年未満でファンドマネージャーを変更していたという記事を見つけました(ひふみ投信は2008年10月に設定)。

"レオスキャピタル、公募投信運用者を1年未満で変更-藤野前社長に - Bloomberg(2009年8月31日)"

この記事を読むと、ひふみ投信一本でいくか、複数のファンドを立ち上げるかの意見の相違によるもののようですが、原因はどうあれ、1年未満というのは短い気がします。

とりあえずファンドマネージャー交代によってひふみ投信はどうなったかを調べてみました。

ひふみ投信(基準価額)とTOPIXのパフォーマンス比較

これだと俯瞰しすぎなのでファンドマネージャーが替わった2022年からのパフォーマンスを見てみると以下の通り。

2022年4月1日にひふみ投信のファンドマネージャーが替わってからのパフォーマンス

ファンドマネージャー交代期間はTOPIXに負けていますが、1年未満で-5%程度の下落は誤差の範囲とも言えるので、これまたずいぶんと短い期間で復帰を決めたなぁという感じです。

ファンドマネージャー復帰後のパフォーマンスは以下の通り。

2023年1月からひふみ投信のファンドマネージャーに復帰してからのパフォーマンス

私が11月で売却してしまったのでそこまでのパフォーマンスになりますが、TOPIXに負けており、「復帰しないでそのまま続けていたらどうだったんだろう?」という気もします。

同じく「ピーター・リンチの株で勝つ」からの引用ですが、アクティブ型ファンドでも同じ事が言えると思います。

  • 9ないし10%というのが、一般的かつ歴史的にも平均的な長期株式投資の収益率である。

  • 三年か五年たってみて、あなたの投資がS&P500への投資と同じ効率であるなら、S&P500全銘柄を買うか、あるいは、運用成績のよい株式ファンドを探せばよい。

  • 自分で銘柄選びをするとしたら、複利で12~15%には回せるようにせねばならない。

ファンドマネージャーになる前にアナリストを経験すると思うのですが、ファンドマネージャーへの転向は早すぎたなりそこまで育ってなかったなりそもそも間違いだったなりの判断に至った理由があると思います。その判断を1年未満の短期間でするということは、その人事を決めた人のミスでもあります。組織として何かうまくいってないのか分かりませんが、藤野さんに大きく依存したファンドだったことがハッキリと証明されてしまったと言えそうです(アクティブファンドのリスクにファンドマネージャーの変更がありますが、これに該当しますね)。

まとめ

あーだこーだと書いてきましたが、投資対象がTOPIXをアウトパフォームできたファンドで、しかも運良く上昇相場に乗ることができて資産を増やせて良かったね、と言えそうです。ただ、毎月のつみたて額が途中から1万円と少額だったのは資産形成としては少なすぎたと言えます(日本市場を信じられなかったのが一番大きな理由ですが)。

最近では「入金力」なんて言われたりしてますが、これまた私の経験からですが、自分がどういう性格でどういう行動を取り、どのような投資家なのかを知るには最低でも月3万円から。資産を作るとなれば月5万円が最低ラインだと思います。未経験者に対して投資がどのようなものなのか、痛みがほぼ無い額で経験させようとしているのか、月100円からつみたてられるものもありますが、少額過ぎて話になりません。あと仮想つみたてといいますか、実際につみたてず、つみたてた「つもり」で経験してみるというのもありますが、シミュレーションと現実はやはり違いますし、実弾を食らってみないと分からないことが多いですから、早々につみたて投資を始めてまだつみたて総額が小さい頃にいろいろと経験した方がいいと思います。

しかし遅筆なうえに締まりが無くダラダラと余計なことの方を多く書くのは直らないのかなぁ。

備考

  • 2022年4月にファンドマネージャー交代

  • 2023年1月にファンドマネージャー復帰

投資信託「ひふみ」シリーズ、運用体制強化のお知らせ(2022年4月1日)

ひふみ投信マザーファンドの運用責任者 藤野英人の復帰について(2022年12月23日)

レオスキャピタル、公募投信運用者を1年未満で変更-藤野前社長に - Bloomberg(2009年8月31日)


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