米国株:S&P500に勝ち続けているセクターがあるのか、調べてみました

今年の米国株ポートフォリオのパフォーマンスが悪いので、何が原因なのかを調べていたら、ポートフォリオのかなりの割合を占めている情報技術セクターのパフォーマンスが市場平均を下回っていることが分かり、それじゃあ勝てませんよね、というのが前回までの結論。

では、ずっと市場平均を上回っているセクターはあるのかが気になり、調べてみました。データはバンガードのセクターETFを使いました。理由は簡単で、過去10年間の平均リターンなどのデータが入手しやすかったからです。それに合わせて2020年の年間、2021年の年初来、2020年から2021年5月までのパフォーマンスもバンガードのデータに置き換えました。バンガードのETFに不動産がないようなので、10セクターでの調査になります。

結果は以下の通り。緑色になっているのがバンガード・S&P500(VOO)を上回っているセクターです。

S&P500と各セクターのパフォーマンス

これを見ますと、長期で見ると情報技術、一般消費財、ヘルスケアの3つで、1年、3年、5年といった期間でも勝ち続けているのは情報技術と一般消費財の2つだけ。

情報技術が勝っているのはなんとなく分かる気がするのですが、一般消費財が市場平均を上回り続けているのは意外でした。シーゲル博士の「株式投資の未来」にはセクター戦略として石油および天然資源、医薬品、有名ブランドの生活必需品の3つが上がっており、生活必需品の方が一般消費財よりアウトパフォームしているものだと思っていましたが、事実は違っていました。もっとも「株式投資の未来」の日本語版が出版されたのが2005年なので、そのときと状況が変わっている可能性はあります(石油および天然資源が入るエネルギーセクターの悲惨さを見ると・・・)。

一般消費財がアウトパフォームしている原因としては、一般消費財の中にアマゾン・ドット・コムやテスラが入っていること。アマゾン・ドット・コムやテスラがいつからこのセクターに入っているのかは分かりませんが、これらの銘柄が大きく影響しているのかもしれません。

ほかに注目すべきセクターとしては、通信サービス。2018年9月24日に電気通信サービスから通信サービスへと衣替えをし、その際、アルファベットやフェイスブック、ネットフリックスが組み入れられました。そのため長期ではアンダーパフォームしていますが、過去3年、1年ではアウトパフォームしています。今後もアウトパフォームするのではないかと思います。

景気によってセクターを乗り換えて行くセクターローテーション戦略がありますが、そういう面倒くさいことをしなくても、情報技術、一般消費財、通信サービスの3セクターのウェイトを大きくして持ち続けるだけで市場平均に勝てるのではないかと思いました。

参考までに、各セクターの組み入れ上位5銘柄を、以下に記します。

情報技術(Information Technology)
アップル、マイクロソフト、NVIDIA、ビザ、マスターカード

ヘルスケア(Health Care)
ジョンソンエンドジョンソン、ユナイテッドヘルス・グループ、ファイザー、アボット・ラボラトリーズ、アッヴィ

一般消費財(Consumer Discretionary)
アマゾン・ドット・コム、テスラ、ホームデポ、マクドナルド、ナイキ

金融(Financials)
JPモルガン・チェース、バークシャー・ハサウェイ、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、シティグループ

通信サービス(Communication Services)
アルファベット、フェイスブック、ウォルト・ディズニー、AT&T、コムキャスト

資本財(Industrials)
ハネウェル、ユニオン・パシフィック、UPS、レイセオン、ボーイング

生活必需品(Consumer Staples)
P&G、コカコーラ、ウォルマート、ペプシコ、コストコ

素材(Materials)
リンデPLC、シャーウィン・ウィリアムズ、エアプロダクツ&ケミカルズ、エコラボ、フリーポート・マクモラン

エネルギー(Energy)
エクソン・モービル、シェブロン、コノコフィリップス、EOGリソーシズ、マラソン・ペトロリアム

公共事業(Utilities)
ネクステラ・エナジー、デューク・エナジー、サザン・カンパニー、ドミニオン・エナジー、アメリカン・エレクトリック・パワー

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