人の名前の呼び方
以下の内容について、「賛同が出来ない」という人もいるかも知れない。
もし、そう感じたら、読むのを、やめて、
この内容自体を、無視していただきたい。
1.「さん」付けに、こだわる人
貴方は、人の名前を言う時、何と呼ぶだろうか。
私は、基本的に、人の名前に「さん」や「君」をつける。
しかし、場合によっては、つけない場合もある。
つけない方が、相手に、自分の話が分かりやすいと思った時などだ。
ある時、その中で、「必ず、人の名前に、『さん』をつけろ」と言う人がいた。
その人が、私の事を、「おかしい」と言い出した。
たとえば、私が、山田太郎という人に対して、
「山田太郎」という言い方をしたとする。
その人にすれば、もう、それで、「おかしい」という。
その人は、「山田太郎さん」と言わないと、失礼なのだ、という。
つまり、人の名前について、「さん」をつけなければ、フルネームで言う事さえ、失礼なのだという。
その人にすれば、私の言い方よりも、
名前に、「ちゃん」がついている方が、まだ、ましだ、と言う。
「山田太郎ちゃん」という方が、まだ、気を遣っているという。
私は、こういう人に、何と言ったらいいのか、とっさに分からなかった。
私を問題視した人は、女である。
年齢は、五十代後半〜六十代前半と思われる人である。
その人は、事あるごとに、人に嘘をつくタイプの人間で、
その事を注意したら、逆に、私の事を問題視して来た。
その人との、話し合いの中で、私は、その人から、突然、
「あんたは、人の名前に、『さん』をつけていない。
おかしい」と言われだした。
2.呼び捨てにする言い方
周知の通りだが、
人の事を、呼び捨てにして来る人間を見かけた事のない人は、いないだろう。
人の事を、「お前」、
もしくは「あんた」と言い、
名前でさえ呼ばない人間もいる。
これは、特に、男に多い。
年上の人間だとか、先輩だとか、
職業なら、学校の教師だとかに多い。
このような事を不快と思っても、いちいち、目くじらを立てるだろうか。
私は、逆に、男というものは、このような、ぞんざいな言い方をするものだ、と思っていた。
つまり、周りが、そのような言い方をするなら、
自分も、相手に、そういう言い方をしても、いい筈だ、と思うようになる。
だからと言って、たとえば、山田という人に、私は、
「おい、山田」と言ったりはしない。
私の言い方は、そういう言い方とは、違うのである。
人の名前を、フルネームで言ったのである。
意味合いが違う、というのが分かるだろうか。
3.「さん」付けは強制ではない
今、学校や会社などでは、このような、人の名前への「さん」付けに関して、
規則が設けられている所もあるかも知れない。
つまり、場所によっては、人の名前に、「君」、「さん」をつけろ、と強制する所もあるかも知れない。
しかし、「さん」付けは、法律のような、絶対的なものかというと、そうではない。
学校や会社に、「さん」付けへの規則はあっても、
地域には、そのような決まりはない。
いわば、ある特定の社会の、そこだけの慣習のようなものだ、というのが分かる。
要するに、名前に「さん」をつけるかどうかなど、
やはり、その人の気持ち次第で決めれば、よいだけの事だ。
親や家族でもない相手に、そのような事を言われる覚えはない。
それなら、自分も、相手の事を、親、家族だと思って、遠慮のない事を言えばいいのだろうか。
このような事を疑わずに、言われたまま、いつでも、守るのは、何も知らない、無垢な子供くらいではないか、と思う。
大体、会った事もない、
尊敬も出来ない、
好きでもない相手について、
本人がいない所にまで、わざわざ、「さん」をつけるだろうか。
もし、そのような事さえ、強制して来る人間がいるとしたら、
私の経験で言えば、それは、不良の上級生である。
不良の上級生に、「おはようございます」と、挨拶しなければ、殴られる。
不良の上級生に、「○○先輩」と言わなければ、殴られる。
ゆえに、嫌々ながら、言うことを利くしかない。
そのような、滑稽な慣習を強制して来るのは、大抵、不良であった。
私からすると、私を問題視して来た女の人は、
そのような人間を思い起こす雰囲気の人だった。
4.敬称
人の名前につける、「君」、「氏」、「様」、「殿」、「先生」、
引いては、「ちゃん」、「さん」というのは、
尊称だとか、敬称という言い方に当たる。
この敬称には、人の名前に気を遣う、という意味がある。
しかし、同時に、相手に媚びるとか、
相手から気に入られたい、という、
卑しい気持ちが、少なからず混ざっているように思う。
いわば、客から、金を払い受ける、客商売の気持ちが入っている。
こんな言い方をすると、
何らかの、客商売をしている人は、嫌な気持ちになるかも知れない。
しかし、金銭を儲けるとは、そもそも、どのような事か、考えてもらいたい。
商売では、店に来る客に気に入られる事が大事だ。
その時、
客に「さん」や「様」をつけたりして、
やたらと、気を遣うのは、果たして、本心から、だろうか。
実際のところ、本当に、それで、人に、気を遣っているのかというと、そうではない事が多い。
慇懃無礼という言葉が、それに当たる。
公的機関などの対応などが、代表的である。
それは、誰でも、年を取れば、自然と分かる事ではないだろうか。
つまり、「さん」付けの意味は…。
だが、私にも、誰かに、「気に入られたい」とか、
「好かれたい」という、客商売のような気持ちが、ない訳ではない。
5.敬称略
アメリカなど、外国では、基本的に、人の事を、そのまま、名前で呼ぶ。
(但し、アメリカにも、"Mr."、"Ms."、"Sir."という敬称は、当然、存在する)
日本にも、敬称をつける言い方に対して、
敬称略という言い方がある。
これは、要するに、私が問題視された、呼び捨てに当たる言い方だ。
これは、どんな人間だろうと、特に、贔屓しない、
持ち上げない、という、中立、公平な言い方である。
たとえば、学校の、卒業証書の授与の時は、この、敬称略の言い方である。
出版、スポーツ、囲碁などの世界では、この敬称略が、通例になっている。
他に、自分が何らかの会社に勤めているのなら、
取引先との電話などでは、
自分が所属している会社の社員の事は、相手に、敬称略で伝えるのが、原則である。
ある程度の年齢の人なら、
「〇〇は、留守にしております」という言い方を聞いた事があるだろう。
最近では、ある野球選手などに、人々は、寧ろ、親しみを込めて、敬称略で言っている場合もある。
その場合は、ビッグネームという扱いである事は、明瞭である。
このような言い方をしたからと言って、一体、誰が苦情を言って来るだろうか。
もし、いるとしたら、その人は、よほど、自分を持ち上げてもらいたいのだろうか。
ゆえに、敬称略が、おかしいわけではないだろう。
6.不敬罪
但し、例外として、戦前の日本には、
皇族などの、特定の身分の人間には、必ず、気を遣え、という決まりがあった。
これに違反すると、人は、不敬罪という扱いを、科せられていた。
しかし、今の日本には、このような、恐ろしい法律の適用の例はない。
私が、言っている事は、このような、高貴な身分の人の事ではない。
飽くまで、一般の人間に対してである。
7.人の、正しい呼び方とは何か
一体、日本における、
人の、正しい呼び方とは何だろうか。
私には、分からないが、
私が知っている、ある女の人のように、このような事を問題視して来る人がいる。
それなら、そもそも、人前で、名前など、呼ばない方がよいのか、と思う時がある。
これでは、人と話をするのも、自然と気が引けるようになる。
それとも、その人は、単に、私の事が気に入らなくて、そんな事を言ったのだろうか。