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ベスポークやぶれたり

年末に町田の弦楽器ショップ「パガニーニ」に行き、ヴィオラ弓の毛替えとヴィオラの顎当ての交換をしてもらいました。その際、いろいろと有益なことを教えていただき、大変感謝しています。

毛替えを待っている間、妻がチェロを弾かせてもらっていたところ、突然店長がやや強い口調で「ららトークさん、松脂は何を使っているんですか!」とおっしゃいました。私が「これですよ」とベスポークの松脂を取り出して見せると、店長は天を仰いで「これはダメです」と一言。ネットでは最強松脂と言われているのに何がダメなのだろうと思う間もなく、「こういう形状の松脂では弓毛に均一に松脂を塗ることができません」とのことでした。そして、「もしこれを使いたいのなら、木枠の部分を削って取り外してください」とアドバイスされました。

唖然としながらも、店長が松脂の正しい塗り方を丁寧に教えてくださいました。その塗り方に驚きました。世間の多くの人が間違った方法で松脂を塗っていることを認識させられたのです。ベスポークの形状では、弓毛にムラなく松脂を塗るという基本が疎かになることがわかり、納得しました。

以前、文京楽器さんで「ベスポークは最初は良いけれど、後でダメになる松脂だ。松脂の成分が悪い」と話していたプロの方がいましたが、その理由がよくわからなかったのです。しかし、店長の説明で、それが成分の問題ではなく塗り方の問題であることが理解できました。

そういえば、A線でたまに擦弦がスリップする現象があり、弦の品質や弾き方の問題だと思っていましたが、これは松脂の問題だったのだと気づきました。実際、この塗り方を実践したところ、スリップがほとんどなくなりました。

なお、この塗り方は非常にユニークで、3日間かけて塗り込む手法です。文章でその動きを説明するのは難しいので、興味のある方は毛替えのときに店長に直接尋ねてみてください。目から鱗の体験でした。

それにしても、木枠を削って松脂を露出させる良いDIY的な方法があればいいのですが…。新たな悩みが生まれてしまいました。

ベスポークの弱点はこれだったのか!
松脂は時間をかけてムラなく均一に塗るのが基本

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