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「大阪のオバちゃん霊能者」との出会い

■「ボン、お前には見込みがあるから、
 氣功を使えるようにしたるわ」

そんな急なことを急に言われたのは、
忘れもしない、26歳の秋口だった。

当時つとめていた会社の社長の知り合いに、
強烈な “霊能者” がいた。
ビジュアルは、
「兵藤ゆき」を自黒にして軽くコロッと丸めたような、
おばちゃん。

表に絶対に出たがらない方だったから、
ここでは仮に「ユキさん」とお呼びする。

ぼくはそのユキさんに、
なぜか「ボン」と呼ばれていた。
(たぶん「坊」と書いて「ボン」と読む、
 おいボウズ!的なニュアンスです)

いろいろ変わったところのある人……
というか、主に変わったところで構成された人(笑)
なかでも一番ぼくが面白かったのは、
「遠くにいる人の痛みがわかる」という能力だった。

■「おいボン、社長の腰が痛いから、
 左の肩を、親指と人差し指ではさむ感じで、つまんでやれ」

急に、こういう指令が来る。
当時「MSN」って呼ばれてた、チャットでね。
ピコピコーって。

で、社長ももちろん、
彼女の能力についてはよく知ってる。

だから、
「指令をうけました」って伝えて、
「うむ」みたいな顔(返事)をされたあと、
ためしにゆっくり社長の肩をつまんでみると……

「アダダダダアアダダダアア~~~~!!」

って、叫ぶ。

軽くしかつまんでないのに、身をよじって、叫ぶ。
(わしゃケンシロウか)

こわ!!!

「なんすかこれ、大丈夫なんすか?」

ってユキさんに聞くと、

「ええで、ええで!
 どうもスジがええな、
 それはお前が邪気を弾けてるから、痛いんや」

という返事。

■え? 俺いま、邪気をなんかしたの?
 余計こわいわ(笑)

……と思うのも束の間、

「次は、右の腰や」

「左のうちももやで!」

「ほいで右のふくらはぎ!!」

と、次々に指令が届きます。
ピコピコ、ピコピコ、ピコピコ……

そのたび、社長は、

「ぎゃああああぁぁあああああ!」
とか、

「んぐっ…………ごはぁっ!!……」
とか、

「マジ無理ムリ無理ムリ……もうムリ!」
とか言って、

のたうちまわってる(笑)

最初は怖かったけど、
ぼくも慣れてきてからは、

「ボタンを押したら大きな声で鳴く動物のおもちゃ感」

が出て来て、少し面白い……
(相手は社長だしね)

■しかし、そんなホノボノとした
平和から一転、ぼくは衝撃に襲われることになる。

それは、社長の体調がかなり悪くて、
それまでみたいに3か所とかでは
「超能力代行」が、終わらなかったときのこと。

ぼくは、ミスをした。

「次は左の肩」みたいな指令があったのに、
勘違いをして、
逆側の右の肩をつまんでしまった。

そしたら、それまでいつも
「ギャーーー」とか「ウゲーーーー」とか
「バッカルボーーーン」とか散々言ってた社長が、

しーーーーーーん…………

としてる。
全く反応がない。

あれ?

俺、ケンシロウなのに?

と思って、
「指令」をもう一回見直すと、

そっか!どうも逆側をやっちゃったみたい。

なーるほど……

彼女の霊視に従った場所をつまむんじゃない限り、
マジで痛みがまったくないんだ。
しかも、まったく同じ場所をさっきつまんだときは、
めちゃくちゃ痛がってたのに。

本当にすごいな。

……などと関心してたら、
チャットがピコピコーって、鳴った。

そこに現れたメッセージは……

「おいボン、いまお前、逆側やったやろ!」

いやいやいやいあいやいやいあいやいあやいいあいや!
マジで怖いわ!!!

何がどこまでバレとるんかもわからんし、
こっち見んといてくれ!!

でも、当時のぼくには拒否権なんてありません。
それに、すごく……

面白かった。

それからまた指令通りにやり直して、
合計で7~8か所「つまんだ」かな。

ものの10分もかかってないぐらい。

そしたら社長は、
スッと立って軽く背のびをして、言いました。

「肩こりも腰痛も、胃が重かったのも、
 ぜんぶ消えてる。
 相変わらず、あの人、便利だわー(笑)」

つってね……

ぼくは衝撃のあまり、
あんまり体験したことがない汗と
ニヤつきが止まらない!

でも、前から仲がいい社長からすると、
「ただもう慣れた当たり前」だったらしい。

なによこれ、めちゃくちゃ楽しい……

後にぼくの「レイキ(氣功)の師匠」となった方は、
そういうおばちゃんだった。

正直ぼくも、この体験があるまで、
氣功とか超能力みたいなことには、半信半疑。
面白そうとは思ってたけど、
本物なんてごく一握りなんだろうなー、ってね。

でもこの夜、
「あ、マジな人って、ここまですごいんだ」
って、体で納得できた。

■そんな
「たまに指令をうけて社長をつまむ代行業」を
3ヶ月ほどやった頃……

初めてぼくは、師匠と会った。
(それまではチャット会話のみ)

用事があるとかで、珍しく新宿のオフィスに来たときのこと。

沖縄のお祭りとかで着られる民族衣装を、
全体的にムラサキ色にした感じの、いでたち。
顔は兵頭ゆきを丸くした感じ。
眼光は、鷹のよう。
目をあわせるとぜんぶ見通される感じがして、
ぜんぜんリラックスできない……

どこの教組様やねん(笑)

で、挨拶もそこそこに、宣言される。

「ボン、お前には見込みがあるから、
 氣功を使えるようにしたるわ」

と。

―― ぼくは正直、思った。

「何この、ほとんどマンガな展開!!
 あたい、これから、どうなるの……
 5年ぐらいかけて、竜王でも倒すの?」

ってね。

さて、この後、何がどうやって、どうなるのか?

あんまりにも長くなったので、
次回に続く……(笑)

ではでは、くれぐれも、お大事に。
こうやって振り返ると、深い縁が
あったんだろうなぁ。


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