なくなって欲しくない

 昼を過ぎ、外に出かけるのもめんどくさくなって、ゲームをしたり、YouTubeを観たり、本を読み、ダラダラと過ごした。今日の天気がわからない。帰ってきた妻が、車に雪が積もっていると言っていたので、雪は降っていたのだろう。

 あなたの住む町、あなたの好きな町、あなたのよく行く町にはたぶん、あなたがいいなと思い無くなって欲しくないなと思う何かがあるはずで、それがあるからこそ、あなたがその町が好きで、その町に通い、その町を歩く。それならば、あなたはその何かをとても大事にしなければならない。例えば銭湯。いいなと思う銭湯があり、その銭湯がそこにある景色をあなたが愛しているならば、あなたがすることは、素敵だねと感想を言い合うことではなく、写真を撮ることでもなく、あなたはその銭湯に入るべきだ。週一回でも月一回でも、あなたのできる範囲でかまわない。それをすることもせず、あなたの好きな何かが町から消えたとき、いい銭湯だったのに、どうして潰れたんだろうね、と知らないふりをするのは許されない。なぜならば、その何かが町から消えたのは、それを好きだと言いながら何もしなかったあなたのせいなのだからだ。あなたの好きなものが銭湯でなくてもいい。飯屋でも酒場でも雑貨屋でも本屋でも古本屋でもいい。あなたの好きな町のあなたの好きなものたちは、誰かではなく、あなたが大事にし、守るべきだ。

武藤良子『銭湯断片日記』p332-333

 武藤さんの銭湯に行く理由を垣間みた気がした。私にとっては、どのような場所だろう、と本を読みながら、考えた。『shabby sic ポエトリー』と『Anarakcity』が浮かんだ。

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