セルフマネジメント事始め 6
<就活NAVIノート>
他所にないなら自分で作るしかない。そう覚悟を決めかけていた折も折、学校に日本能率協会からカタログがDMで送られてきた。開いてみて「就活NAVIノート」という商品が目に焼き付いた。大学・短大の学生が就職活動をするための教材をA5サイズのシステム手帳に納めたものらしい。
https://pub.jmam.co.jp/book/b359455.html
さっそく取り寄せてみた。バインダーは真っ黒の塩ビ、リングは金属製でしっかりしており、中には就活用の各種教材に加えてチャックの付いた収納用リフィルその他も付加され、システム手帳としての機能を十全に備えていた。価格は1340円(当時)。
普通、システム手帳というだけで5千円は覚悟しなければならないのにこれは安い。これなら生徒全員に手渡せる。進路指導用教材として購入し必要なリフィルを校内で印刷して配布すれば高校でセルフマネジメントに触れさせることができる。
例え高校で十分に活用できなかったとしても、いざ働きはじめて手帳の必要性を感じた時に、ああシステム手帳というのがあったな、と思い出してもらえればそれで良いじゃないか。少なくとも、それをやってない人間よりも確実に前に出ることができる。そう確信した。
<ファーストコンタクト>
平成16年度、キャリア教育の研究指定を受けた。その予算を活用することを学年団に提案し、了承を得て2年生全員に「就活NAVIノート」を配布した。
初めて手にするシステム手帳。生徒たちはどんな反応をするだろう。大講義室に集まった2年生全員に趣旨説明を行い、ドキドキしながら配布。
手帳が順次、前から送られて手渡されているのを見守っていると、一人の男子生徒が私を見つけ、こう言った。
「先生ありがとう」
ああ、受け取ってくれた。本当にうれしかった。彼は、間に合わせではない本物の手応えを感じてくれたのだった。
この年の生徒たちは支援事業の一環である校外学習にNAVIノートを持参し、スケジュール確認とフィールドワークに大いに活用することになったのだった。
<全校運用開始>
この取組に手応えを得て、NAVIノートを全校に広げていく提案を16年度末の職員会議で行った。
生徒のみならず教職員も含めて全校で運用し、共通のプラットフォームとしてより効果的な使用法を研究するという提案に対し、何度かの検討が行われ、全校生配布の方針が決定。PTA評議員会での経緯説明では、保護者から強く期待する旨の発言があり、遂に平成17年度より全校運用が始まった。
18・19年度は、本校の独自プランが県教委「きらめく香川の高校づくり」事業に採用され、NAVIノートの新一年生への配布が可能となり、6穴パンチも各所に配置して事業を継続できた。(続く)