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セルフマネジメント事始め 5

<A5版システム手帳>

いろいろとやってみたが私にはやはりシステム手帳がベストだ。しかしリフィルを切り出す作業はもうイヤ。さてどうするか。

そう考えていた時、ふらっと入った文房具屋でA5サイズのシステム手帳を発見した。折しも学校現場ではB判からA判へと規格が移行しつつあり、A4用紙の印刷が容易な環境となった。

A4を半切して6穴を開ければA5判のリフィルができるから、A5システム手帳を採用すれば校内で独自のリフィルが簡単・安価・大量に自作できる。そうかこれなら、と大きく心が動いた。

が、やはり本格的に使うにはバインダーそのものがかなり高価。システム手帳への回帰を決断するにはまだ躊躇があった。実はシステム手帳を生徒たちに提供することを考えていたからだった。


<高校でセルフマネジメントを>

その頃、進路指導を担当することになった私は、セルフマネジメントを学校教育に取り入れる方法を模索していた。

後期中等教育の目的は自立への援助である。進学・就職に関わらず、人生の中で成功する基盤を高校生活で身につけてやりたい。そのためには何が必要か。もちろん基礎学力は必要。それは授業で身につけられる。

しかし、勉強だけではダメだということを私は身をもって学んだ。右も左も分からない自分が曲がりなりにも仕事ができはじめたのはシステム手帳によってセルフマネジメントという思想を習得したからだ。

仕事をするためにはこのスキルは絶対に必要であり、それを習得して自立を支援するためには一人ひとりにシステム手帳を持たせるのが何より有効な方法だ。それは自分の経験からも自明である。キャリア教育の観点からも絶対に有用であるに違いない。特に総合学科では時間割が一人ひとり違い、生徒は各自が自分のスケジュールで動く。つまり自己管理を身につけるには最良のステージと言えるのではないか。


<リサーチ>

アイデアを温めながら、それを実現する方法を考えた。何かをやろうとする時は、どこかそれに取り組んでいる所を参考にするのが手っ取り早い。このことに着目して取り組んでいる教育機関がきっとあるはずだ。うまくすればセルフマネジメントについて研究している大学などがあるかもしれない。

そう思いついてから、進路指導室を訪れる大学・短大・専門学校の方に片っ端から就職支援のありようについて尋ねる日々が続いた。

しかし返ってくる答えは判で押したようなものばかり。面接対策、ペーパーテスト対策、パソコンスキルの習得…。ビジネスに絶対に必要なセルフマネジメントについては一切、取り組まれていなかった。

秘書科の短大やビジネス系の専門学校でさえ、セルフマネジメントについてはまったく触れていないことが次第にはっきりしてきた。

実際に仕事を始めてみればすぐ分かるが、商談や電話の際にはノートパソコンを開くよりもすぐに手帳などにメモをすることが何より大事だ。それなのに私と同様、誰もそのスキルを正式にきちんと教わっていなかったのだ。(続く)

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楽水
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