2020年 マネジメント一年生が「現場で回る」チームにするために実践したこと
#新年ベルリレー 8日目、@rakushitainoda こと野田です!
※他の人の記事はこちらから
はじめに
チームマネジメントに関するポストですが、1on1やチームMTGなど具体的な手法というよりは、「考え方」みたいな内容になりました。
また、様々な書籍や記事に書いてある、一般的なベストプラクティスと重なる部分も多いです。そういったナレッジ自体をお伝えしたいという内容ではなく、「実際に心がけてみた結果」としてお読みいただければ幸いです。
読み手としては、以下のような方を想定しています。
■ 過去にマネジメント経験のない新任マネージャーの人
■ 業務移譲に悩んでいる現場上がりマネージャーの人
■ 事業企画やオペレーション設計のチームに所属している人
私とチームの紹介
元々はフィールドセールスやインサイドセールス等の営業系のキャリアからスタートし、2017年に成長企業で仕組みづくりを一から行いたいという想いでベルフェイスにJoinしました。
当初はテクニカルサポートを担当する傍らでSalesOpsの設計・実装を行い、2019年から今のオペレーションマネジメント・ビジネスインテリジェンスの担当部署「ビジネスイネーブルメントチーム」を立ち上げました。
元々は収益最大化を目的としてオペレーションづくりやトレーニング企画を行うという名目で「ビジネスイネーブルメントチーム」というチーム名でしたが、今は「ビジネスプラットフォームチーム」というチーム名になっており、より全社横断の業務基盤を構築するというミッションを持っております。今私はそのチームでマネージャーをやっています。
組織内の機能としては「業務の最適化」「データの正規化」「データの可視化」と定義しており、Salesforceを中心としたマーケティング・セールスオペレーション・マネジメント等のプラットフォームを構築しています。
具体的には、事業戦略に合わせて戦術を最速で遂行できるようにするためにCRM周りを開発したり、Bizサイドが入力したデータが財務情報として正確に運用されるように手を入れたり、BIツールを使用して全社横断で指標とする数値の可視化を行ったりします。
今期はカスタマーサクセスのKPIの可視化をするためのデータ作りをしたり、多くの会社で問題となっている企業情報・人物情報の名寄せをオートマチック化する仕組みの企画と開発を行ったりしました。
今期も盛りだくさんだったので、この辺りはまたどこかで発信したいと思います。w
ベルフェイスの組織について
2020年4月からマネージャーになりました。
ベルフェイスの組織は現在、以下のような階層構造になっています。
グループ
Bizサイドはグロースビジネス向けとエンタープライズ向けのビジネス組織でグループが分かれ、それ以外にはプロダクト開発のグループ、管理部門のグループなど、「領域」の大分類で分けられている
ディビジョン
Bizサイドならマーケティング・セールス・カスタマーサクセスなど、グループ内の「役割」で分けられている
チーム
実際に業務が行われるメンバーの単位で分けられている(人数や、行われる業務の枝分かれによってさらにユニットに分けられる)
「マネージャー」以上が管理監督者と定義されています。
私が所属するビジネスプラットフォームはBizサイド・Devサイド・管理サイドでもなくCEO直下の「社長室」の中ではあるので、上記レイヤーとは少し異なっているのですが、負っている責任・権限範囲としては「チームマネージャー」のレイヤーです。
私のチームは現在8名です。
■ CRM設計/開発/運用:4名
■ ビジネスインテリジェンス:2名
■ レベニューオペレーション:2名
コロナ禍に突入してからは「リモート組織でのマネジメント」にフォーカスしたトピックが多く見られますが、弊社では地方在住のメンバーも少なくないことから元々リモート勤務をするための仕組みが用意されており、組織としては比較的スムーズにフルリモート体制へのシフトができていたので、ここに関してはこの記事では割愛します。
※先代マネージャーの清水 @shimizt がコロナ禍に伴った働き方やマネジメントの変化について発信しているので、こちらもご参考ください。
現場上がりマネージャーの課題
私は今、社会人7年目です。
営業をやっていたのが約4年なのですが、現在の領域にジョブチェンジしてから3年という早いタイムラインでマネージャーにアサインいただき、今の会社には本当に良い成長機会を与えていただいたと有り難く思っています。
私のマネジメントのモデルは先程の引用にもある先代マネージャーの清水なのですが、清水のマネジメントは私から見て
■ とにかく意思決定はっきり
■ リソースと仕事はチーム外からどんどん取ってくる
■ 上記2つをやったらあとはもうガンガン現場にやらせる
というスタイルでした。
当時は気づかなかったことでも、今自分がマネージャーという立場になって改めて思い返すと「そういうことだったのか」と気づくことも多く、本当に様々なことを学ばせていただいて感謝が尽きません。
ただ、清水は私が先にガツガツ実務をやっている状態であとからマネージャーとして入ったので、そもそも「マネージャーが多くの実務をやっているところから引き継いでいく」という作業は必要がなくスムーズに体制を構築することができました。
しかし、私がマネージャーになった時は、私自身が「現場上がりマネージャー」(しかも社内でもかなり古株)である上、メンバー全員が私より後に入ったメンバーだったので、業務そのものの移譲、および「野田が全部知ってる」状態からの脱却が新たな問題でした。
そこでどうやって「現場で仕事を回せるようにするか」をマネージャー視点で考えます。
「思考の切り分け」で企画業務をメンバーに移譲
マネジメント以前に、私自身が仕事で心がけているのは、「切り分け」です。
いわゆるITサービスのサポートとしては単純に「システムトラブルの切り分け」=「どこの機能で問題が起こっているのか?」を調査することですが、ここではもう少し概念的な「思考の切り分け」です。
(これは私がテクニカルサポート畑にいた時に身についた感覚だと思います。)
例えば、どんな議論でも、まずは以下の3つに切り分けることが可能です。
①Goal: 目的(誰がどうしたいのか)
②Start: 現状(既存の状態、背景、問題点)
③Task: 課題(誰が何をする必要がある)
※「問題」と「課題」という言葉はよく同じような意味で使われてることがありますが、ここでは「問題」は目的を阻害する事象そのもので「課題」はその言葉の通り「やる必要があること」として使っています。
こんなの、プロジェクトマネジメントの本を読めばどこにでも書いてあると思いますが、意外と出来ていないかも…という人もいると思いますし、特にベンチャー企業では仕事上のコミュニケーションでどのプロジェクトにも属さない話題がある日突然湧いて降ってくることもザラです。
そういう話題も、全て都度切り分けて思考していくのです。
今期実際にあった例を挙げると、
①Goal: 目的(誰がどうしたいのか)
カスタマーサクセス部門のプロセス指標となるお客様ごとの利用状況を、PDCAに合わせて柔軟に改変可能な形でモニタリングしたい
②Start: 現状(既存の状態、背景、問題点)
データ分析基盤がクローズな状態のためにビジネスプラットフォームチームでしかログなどの細粒度のデータの出し入れができず、抽出や可視化、改変の度にそれなりの時間を要すため、データ形成を伴った頻繁なPDCAが想定されるモニタリングができない
③Task: 課題(誰が何をする必要がある)
セルフBI環境を構築し、使いやすいデータマートを整備することでカスタマーサクセス部門内で自由度高くデータを可視化できるようにする
こんな感じです。ちなみにこのプロジェクトは2021年1月から本格始動し絶賛進行中です。
また、私のように組織内で複数部署間を横断して調整する動きが多い仕事だと、「こっち部署のAさんはこうしたいらしい」「でもあっちの部署のBさんはこうしたいって言っている」という意見の相反が発生することも非常に多いです。
ここで教科書通りに「要件定義のオーナー立ててもらえないと決められないです」「AさんとBさんで話し合って決めてください」とやっているとプロジェクト(※もしくは、物事)は進みません。これ絶対。
クライアントワークのようにはいかないのですよね。社内プロジェクトを回してる同職種の方は思い当たる節が多いのではないでしょうか。
そこで、同じ問題において全体最適視点で何が最終目的なのか?というドリルアップをしていきます。
ポイントは、ドリルダウン(分解する)のではなく、ドリルアップ(概念化する)することです。
そうすると、AさんとBさんの考える[①目的]と[②現状]の最小公倍数が必ずどこかにあるので、それを言語化して合意を取りにいきます。
※多分それができない組織はそもそもミッション設定が間違ってますよね…
このように、[①目的][②現状]をはっきりさせていけば、[③課題]を考えることは、言ってしまえば能力のある方なら社外の方でもできてしまうわけです。
これを私自身の仕事のサイクルとして常に行ってきたわけですが、マネージャーとなってからは、メンバーに[①目的][②現状]を整理し合意するプロセスをやってみせ、[③課題]をメンバー自身に考えてもらうようにしました。
具体的なやり方としては、弊社でドキュメントツールとして採用しているQuipを使って、以下のようにまとめた上で仕事を任せるようにしています。
ちょっと見せられる範囲が限られているのでわかりにくいかもしれないですが、「誰が」「何をしたい」「どんな情報がある」を簡潔に整理した上で、このキャプチャの部分の下に、[①目的][②現状]が詳しく続きます。想定される課題の粒度にもよりますが、仕事を任せる時は、この粒度のものをほぼ毎回作っています。
現在地と目的地を明らかにし、行き方はメンバー自身で考えてもらうようなイメージですね。
まぁ当然、既存の状態を熟知している古株の人は、[①現状][②目的]が明らかになった時点で[③課題]もなんとなく見えていたりするものですが、そこはぐっとこらえてメンバーに考えてもらうようにしました。
こらえられず[③課題]も示してしまったこともこれまでありましたが、その場合、やはり実際に取り組むメンバーの[③課題]に対する主体性が上がりきらないことが多くなります。
そのため、一つ一つのタスクのディティールが中途半端になったり、その後も細かい粒度で指示を出さないと動けなくなってしまい、プロジェクトの進捗は遅くなる上に、本人の考える力も成長しません。
そして、[①目的][②現状]を整理しつつ[③課題]を託すサイクルを続けていくと、メンバー自身の[②現状]の解像度は時を追うごとに上がっていき、[①目的]を整理し定義する力も向上していきます。
このサイクルによって、実際に[①目的][②現状]を整理できるようになったメンバーに、元々私がやっていたプロセスも徐々に移譲していくことができるようになってきています。
来年にはメンバー企画のプロジェクトの成果を何件も発表できるようになっていると嬉しいですね。
さいごに
マネジメントのナレッジによく「指針を示し、自分で考えさせる」というものがありますが、私なりに実践してみたところ上記のような形になりました。
なかなか普段はこういった内容を文章にして公開することはないですが、せっかくリレーブログとして機会をいただいたので、皆と一緒なら怖くない!と思いきって書いてみました(笑)
これは、企画業務をメインでやっている私のチーム特有のものではなく、例えば営業チームでも、営業力を底上げするための勉強会の運営や、KPIを最大化するためのキャンペーン企画などでも活用できる考え方ではないかと個人的に思っています。
マネジメントベテランの諸先輩方からすると、当たり前のことかもしれないですが(むしろこの記事を読んだ諸先輩方には是非、アドバイスをいただきたい…!)、これからマネジメントを行う現場上がりの新任マネージャーの方に対して、少しでも参考になれば良いなと思います!
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