内部統制の「構築」とは?
経理・監査・アドバイザリー業務で頻繁に使用する「内部統制の構築」という言葉。この「構築」という言葉の意味を正確に言える人、内部統制の構築と整備の違いを言える人は少ないのではないでしょうか?
自分は意味を深く考えずに使用していましたので調べた内容を書きます。
結論から言うと、「内部統制の構築」とは、内部統制の評価・報告・監査に対応する体制を作ることだと言えます。また、「内部統制の整備(内部統制のデザインと適用)」よりも広い範囲を指しており、意味が異なってきます。
会社法と財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(以下「実施基準」)の記載を見ながらこの内部統制の構築の意味を考えていきます。
1.会社法
会社法における内部統制に関する条文としてよく参照される362条。実は362条では内部統制の構築義務は定められてはいません。
「あれ?構築義務がないの?」と思った方も多いと思います。
意外と知られていませんが、362条では構築義務ではなく「内部統制の決議義務」が定められています。そのため、どのような内部統制を構築するかというのは、善管注意義務の一つという位置付けになります。
参考に条文を見てみると確かに構築義務は定められていません。
構築の定義から逸れますが、会社法における内部統制の構築義務については企業法務で有名な中村直人弁護士の東京証券取引所での講演資料がとても勉強になります。
「上場会社に求められる内部統制の水準」~リスクへの適応~
2.実施基準
それでは実施基準ではどうでしょうか。
実施基準のⅠ 5. (2)「財務報告に係る内部統制の構築」では「内部統制の評価及び報告に先立つ準備作業として求められる一般的な手続を示す」と記載されているため、構築とは「内部統制の評価・報告・監査に対応する体制を作ること」と言えます。
このように内部統制の構築とは内部統制の整備に近い意味を持っていますが、構築は内部統制を整備する体制も含めた整備よりも広い意味を持っていると言えます。
以上、監査やアドバイザリー業務で頻出の「内部統制の構築」について書きました。
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