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「親会社の親会社」は関連当事者に該当するか?
監査やIPOアドバイザリーを行っていると関連当事者の開示に必ず触れます。今回は稀に遭遇する「財務諸表作成会社の『親会社の親会社』は関連当事者の範囲に含まれるか?」という論点について考えてみます。
結論からいうと、「親会社の親会社」は関連当事者の範囲に含まれると考えられます。
その背景を会計基準等を参考に書いていきます。
1.会計基準等での「親会社の親会社」の扱い
以下の会計基準等の関連当事者に関する定めを見ましたが、「親会社の親会社」が関連当事者の範囲に含まれるか否かの記載はありませんでした。
関連当事者の開示に関する会計基準 5項(3)
関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針 3・4・23項
財務諸表等規則 8条17項
連結財務諸表規則 15条の4
会社計算規則 112条4項
2.考察
会計基準等には「親会社の親会社」の取り扱いが明記されてはいませんでしたが、私は以下の理由で関連当事者の範囲に含まれると考えております。
「関連当事者との取引は、一般には見ることのできない条件で行われることがあり、その状況が財務諸表から容易に識別できないため、財務諸表作成会社の財政状態や経営成績に及ぼす影響を、その利用者が適切に理解できるようにすべき(関連当事者会計基準 第17項)」との観点に基づけば「親会社の親会社」は親会社を支配しており、実質的に関連当事者に該当すると言える。
財規 8条では「子会社の子会社(いわゆる孫会社)」は「子会社」に含まれるとの記載があり、その結果孫会社は関連当事者に該当する。財務諸表作成会社の孫会社が関連当事者に該当するのであれば、財務諸表作成会社にとっての親会社の親会社も関連当事者に該当すると解釈するべきである。
連結財規に準拠し作成された有価証券報告書で、「親会社の親会社の親会社の親会社」を親会社として開示している企業がある。(ソフトバンクグループ㈱の玄孫会社であるバリューコマース㈱・アスクル㈱・㈱ZOZOが、ソフトバンクグループ㈱を親会社として開示。出所は2022年における各社の有価証券報告書。)
以上が「親会社の親会社」が関連当事者の範囲に含まれると考えた理由です。
なお、余談ですが、理由の最後に記載した玄孫会社が上場しているというのは非常に珍しいケースで、経産省や東証の資料では利益相反の観点で親子上場の解消が議論されています。